Camp Gear

2018.05.10

世界のアウトドアブランドとリンクするA&Fの40年変わらぬポリシーとは?

昨年創業40周年を迎えたアウトドアショップの老舗A&F(エイアンドエフ)。二代目社長の赤津大介さんに同社の創業秘話や理念を伺うと共に、ヘリノックスやミステリーランチなど、A&Fおすすめのアウトドアブランド&ギアを教えてもらった。

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70年代という時代背景と類稀な道具好き

「実は、僕が免許を取って最初に乗ったのがJeep® だったんです。家にあったというか、親父の愛車がジープ ラングラー サハラ(Jeep® Wrangler Sahara)で、教習車とは違う左ハンドルに緊張しながら、夜な夜な仲間とあちこち出かけました」

2017年に創業40周年を迎えたアウトドアセレクトショップの老舗、A&F。Jeep® との思い出を語ったのは、5年前に代表取締役に就任した赤津大介さんだ。A&Fを立ち上げたのは、大介さんの実父で現会長の孝夫氏。同社設立の翌1978年に生まれた大介さんが、父から聞いたという創業物語を話してくれた。

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「A&Fができる1977年以前の父親は、銃砲店に勤めながら、自身でもアメリカを旅する人でした。ただ、当時はアメリカでも今のようなアウトドアというジャンルが確立しておらず、大きな見本市も釣りと狩猟を意味するロッド&ガンという括りだったそうです。そんな1970年代のアメリカはベトナム戦争の末期を迎えて混沌とし、まず戦争に反対する若者のカルチャーとしてヒッピームーブメントが生まれた。さらに、ヒッピーのセックス、ドラッグ、ロックンロールとも違うと感じた若者が自然の中に向かい、バックパッキングという文化をつくった。それがおよそ40年前。今ではすっかり有名になったザ・ノース・フェイスやパタゴニア、そしてA&Fの創業年が同時期なのはそこに理由があります」

以上はアウトドア創成期の社会背景。海外の優れたアウトドアグッズを日本で紹介するA&Fが生まれたのは、創業者たる孝夫氏の類稀な道具好きが重なったという。

「中でもナイフに関しては強いこだわりを今でも持っています。よく聞かされたのは、『ナイフは人類が手にした最初の道具であり、すべての道具の原点であり本質である』。だから今でもA&Fはナイフを取り扱い続けています。時代がどう変わろうとも」

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幼少期は父親に連れ回された記憶しかない

アウトドア文化とともに成長したA&F。その創業家に生まれ落ちた大介さんはどんなアウトドアライフを過ごしてきたのだろう。

「父親に無理やり連れ回された記憶しかないですね。子供の頃は毎週土曜日になると、ショップも兼ねた事務所のシャッターを開けるところからつき合わされて。昔の土曜日は昼まで仕事だったので、その後は中禅寺湖のキャンプ場へ。A&Fのスタッフや、様々な人たちとキャンプに出かけるんです。家族では山菜取りにもよく行きました。親父が食べちゃいけないキノコを食べて腹痛を起こしたこともあったなあ。でも、それらをアウトドアと呼ぶ感覚はなかったです。強いて言えば田舎暮らし。父親が長野出身で、彼が子供の頃に経験したことをそのまま教わった感じでした。そんな環境の中で、父親とともに最新の道具を試していましたね」

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他社の同系商品が数千円だったのに対し、2万円の値札をつけて販売したグレゴリーのデイパック。丁寧な造りや背負い心地の良さゆえの販売価格だったが、孝夫氏自身もさすがに売れないだろうと思っていたそうだ。

「ところが、一部のセレクトショップやアウトドアショップが『これはおもしろい!』と手に取ってくれました。何が良いものなのか。その線引きは感覚値でしかありません。ですから物をつくらない僕らは、その道具を実際に使ってみた自分たちの感覚を信じ、胸を張ってご紹介できるものだけを販売してきました。それもA&Fの変わらぬポリシーです」

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丁寧に販売した先には信じられるお客様がいる

アメリカがそうだったように、この日本でもアウトドアがひとつの文化として育ったのがこの40年。特に最近の10年間では、高齢者の登山人気に始まり、山ガールと称された女性登山者の増加、音楽フェスにおけるアウトドア業界との融合など、様々なブームが誕生した。そんな中でもA&Fは、流行に左右されず、ファンの間では硬派なショップとして知られている。その路線を守ってきた理由を大介さんにたずねたら、ちょっとおどけた答えが返ってきた。

「いやいや、実際のところは『山ガールいいなあ』と指をくわえていたんですよ。先にも言いましたが、僕らはメーカーじゃないので、すぐに流行りについていけないのもありましたが、それはそれで僕たちのスタイルかなと……」

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現在のA&Fは70以上のブランドを扱い、オンラインを含み全国27店舗を有する規模に成長している。そこには歴とした理由があるはずだ。

「この世に誕生する道具には生まれる背景と訳があり、それら数多くの製品の意味を見極める目がA&Fの全スタッフにはある。その目を通して丁寧に販売した先には信じられるお客様がいる。そのつながりが、我々が今も二本足で立っていられる理由じゃないでしょうか。それから、日本人ならではの物の見方、使い方というものもあります。たとえばスウェーデンのヒルバーグ。このブランドはエクスペディションの塊と言うべき高スペックで高価なテントをつくりますが、あるとき突然ベースキャンプ用ドーム型テントが売れ始めたんです。なぜだろうと探ったら、ウチで買って頂いた方がキャンプ場で使っているのを見て、少しずつ広まったようなんですね。その合理的な応用法はメーカーの人間も驚いていました。そんな風にお客様に道具の使い方を教わることも少なくありません」

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画像提供:Hilleberg Archive

最後に、今後のA&Fについてたずねてみた。しかしそれも、「メーカーではないウチにしかできない企画が進行中ですが、今はまだ言えない」とはぐらかされてしまった。

「でも、様々な縁をつなぎながら、世界中の優れた道具を見つけ出し、販売するというスタイルは今後も変わりません。物が好きな父親の跡を継ぐ者として。しかし、いまだ父親には敵いませんね。今でも昔とは別のラングラーに乗っていますが、コンテナ同梱でいろんなパーツを輸入しては使っている。あの感覚は、いくら勉強しても追いつけそうにないです」

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