Music

2011.10.31

“感動”を鮮やかに描き出す ローラーアートの魔術師

ローラーアートが秘める無限の可能性

  • main181 "感動"を鮮やかに描き出す ローラーアートの魔術師
    「ローラーアートには、もっともっと可能性があると思う」と
    常に新たなスタイルを求めて活動するさとうさん。
  • main266 "感動"を鮮やかに描き出す ローラーアートの魔術師
    描く絵のサイズはさまざまで、大きいものだと幅4m近いものも。『Over The Rainbow』
  • main359 "感動"を鮮やかに描き出す ローラーアートの魔術師
    別々の柄とローラーを組み合わせ、使い勝手を追求した自作のペイントローラー。

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さとうさんのパフォーマンスの様子はYouTubeで見ることもできる。

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三味線、ジャズ、ロックなどさまざまなジャンルの生バンドを交え、セッション形式でパフォーマンスすることも多い。

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絵の完成と音楽の終了が同時になるよう、イベント前には入念な打ち合わせを行う。

らゆる芸術表現は模索され、出し尽くされたといわれて久しい昨今。ライブペイントの分野で常にイノベーティブであり続けようと、果敢な姿勢で新しいアプローチを模索しているのが、仙台をベースに国内外でペイントアーティストとして活動するさとうたけしさんだ。

「僕のライブペイントは、まだ始まったばかりの段階。ようやく人真似じゃない、オリジナリティで戦える武器が揃ったような気がしています。それでも、目にするものとペイントローラーの可能性をリンクさせては、何ができるか考える毎日です」

絵を描くという一見シンプルな行為をショーアップして見せるライブペイント。それをペイントローラーだけで表現するのが、さとうさんのスタイルだ。驚くのは、そのスピード感。「同業者から見ても、あいつ凄い! と思ってもらいたいから」下絵は描かないのがポリシーだというのに、そのローラーさばきには迷いが感じられない。

「ショーとはいえ、お客さんの目を絵だけに集中させることができる時間は15分程度。その短い時間のなかでいかに完成度の高いものを作って、驚きや感動を与えることができるかがポイントだと思っています」

そのために心がけているのが、シンプルでわかりやすい絵を、パフォーマンス性に富んだスタイルで描くこと。道具や色数が少ないのも、時間や作業の効率を追求した結果だという。「僕の絵はパブリックアートだから、誰もがいいと思えるものでないとダメなんです。それは演出や見せ方にしてもそう。たとえば絵の肝になるような重要なパートは、あえて最後に描くようにしています。そうすることで、それまでよくわからなかったモチーフが途端に鮮やかに見えてくるし、会場も俄然盛り上がるんです」

完成した絵の上に別の新たな絵を重ねて描くことで、まったく新しい絵を作り出す手法もこうした試行錯誤の中で生まれたもの。

「同じイベント内で続けて公演したときに、キャンバスを取り替えたり道具をたくさん使うのがどうも美しくなくて。なんとか削れないかな、と考えたのがきっかけでした」

「ローラーアートには、もっともっと可能性があると思う」と目をキラキラさせながら話すさとうさん。自分にはない視点や表現を求め、子どもや年配の方の意見にも耳を傾けては試してみるのだという。そんな彼に、最終的な目標を訊ねてみると……。

「僕が目指しているのは、ローラーアートというジャンルを浸透させること。広く認知されるのは僕より一世代も二世代も下のことになるかもしれません。でもそこに一生をかけるつもりで、生きている間に何かを形にすることができたらいいと思っています」

さとうさんのライブペイント革命は、まだまだ始まったばかりだ。

LIVE PAINT act

http://livepaint.jp/