Jeepが導き出す、もう一つの4WDスペック

ここからは、いよいよJeepのスノードライブ章。前編では、今季は暖冬の影響を受け、帯広からトマムまでの高速道路では雪が皆無だったと伝えた。それは雪道経験が浅いドライバーにとって安心材料になったが、拍子抜けしたのも事実。しかし、道東自動車道トマムICを降りて星野リゾート　リゾナーレトマムまでの約6㎞の一般道では事態が一変した。

周囲は雪のホワイト一色。しかし道路の上には白と黒のまだら模様が続いていた。白い部分は圧雪。黒く見えるのはアスファルトではなくブラックミラーバーン。つまりカチカチに凍った氷の路面だ。その異様なコントラストから想像できたのは、急がつく加速・減速・ハンドルは危険な状況を招くということ。これは相当なプレッシャーだった。当然のことながらスピードを落とし、「肩の力を抜け」と自分に言い聞かせることとなった。

▲道路上のブラックミラーバーンの様子。

だが、トマム周辺から足を延ばし、ワカサギ釣りで有名なかなやま湖あたりまで往復3時間程度のドライブを実行した中で、怖い場面に一度も遭遇しなかった。それはやはりJeepの確かなパフォーマンスによるものだ。鍵となったのは各車のモード設定である。
セレクトラック™フルタイム4×4システムを備えた『ジープ ラングラー アンリミテッド スポーツ（Jeep Wrangler Unlimited Sport）』は、副変速機を使い4H AUTOへ。これは、通常はほぼ後輪駆動状態ながら後輪が滑ると瞬時に前輪へ最大50％の駆動が伝わるというモードだ。これで全域がしのげた。

▲『ジープ ラングラー アンリミテッド スポーツ（Jeep Wrangler Unlimited Sport）』

『ジープ ラングラー アンリミテッド ルビコン（Jeep Wrangler Unlimited Rubicon）』も同様。ルビコンには、セレクトラック™フルタイム4×4システムを基にした、前後のディファレンシャルギアをロックする機能を追加したロックトラック™4×4システムが備わっているが、圧雪された一般道でその恩恵に与る場面はなかった。

▲『ジープ ラングラー アンリミテッド ルビコン（Jeep Wrangler Unlimited Rubicon）』

この4H AUTOモード、2019年2月に同じく北海道で催された雪上試乗会でも好評だった。用意されたクローズドコースには雪で固めた坂道などJeepの性能を試すセクションが設けられていたが、他のモードを試さずとも4H AUTOだけで走破できたという。ゆえに今回のドライブでも感じたことだが、ルビコンのセレクトラック™フルタイム4×4システムをフル活用したらいったいどこまで行けるのか、そのパフォーマンスの懐の深さは計り知れないものがある。

一方、Jeepが卓越した4×4モデルに与えるTrail Ratedを獲得したTrailhawkグレードで足並みをそろえた『ジープ レネゲード トレイルホーク（Jeep Renegade Trailhawk）』、『ジープ コンパス トレイルホーク（Jeep Compass Trailhawk）』、『ジープ チェロキー トレイルホーク（Jeep Cherokee Trailhawk）』、『ジープ グランドチェロキー トレイルホーク（Jeep Grand Cherokee Trailhawk）』は、いずれもセレクテレイン™システムを搭載している。スロットルコントロールやトラクションコントロールなど12種類の車両マネジメントシステムを連動させ、あらゆる路面状況で高度な走行安定性を実現するこのシステムの場合は、数種のモードからSNOWを選択。それだけで『Jeep Wrangler Unlimited』と等しく走れた。

▲『ジープ レネゲード トレイルホーク（Jeep Renegade Trailhawk）』

▲『ジープ コンパス トレイルホーク（Jeep Compass Trailhawk）』

▲『ジープ チェロキー トレイルホーク（Jeep Cherokee Trailhawk）』

▲『ジープ グランドチェロキー トレイルホーク（Jeep Grand Cherokee Trailhawk）』

それらJeepのシステムが導き出すのは、言うまでもなく安全で安心な走りだ。耐寒のために履いた分厚いスノーブーツでは、いかに注意を払おうともそれなりにラフなペダル操作となったはずだ。にもかかわらずJeepは、常に最適なトルク配分や制動効果を計算してくれたに違いない。
だから勘違いしないでおく。最後まで破綻なく走れたのは、自分の技量ではないということ。そして、もしJeepのパフォーマンスがなければ「冬の北海道は楽しかった」と口にできなかったことを。4WDと言えば道なき道を行くワイルドなイメージが強いが、ドライバーの不安を取り除くためにも機能するスペックという事実と、ラインナップすべてでその機能を一貫させているJeepの使命感の高さを、今回の北海道で改めて思い知らされた。

▲動画で見る Jeep Snow Driving in Tomamu はこちら！

今回使用したクルマ

『ジープ ラングラー アンリミテッド スポーツ（Jeep Wrangler Unlimited Sport）』

【主要諸元】
全長：4,870mm／全幅：1,895mm／全高：1,845mm／最低地上高：200mm／車両重量：1,950Kg／乗車定員：5名／エンジン種類：直列4気筒DOHCターボ／総排気量：1,995cc／使用燃料：無鉛レギュラーガソリン／最高出力：200kW（272ps）/5,250rpm[ECE]／最大トルク：400N・m（40.8kg・m）/3,000rpm [ECE]／後2輪・4輪駆動・オンデマンド方式4輪駆動（選択式）／全国メーカー希望小売価格¥5,110,000〜（消費税込）
※記載の価格は2020年2月6日現在のものです。

商品に関するお問い合わせは、FCA ジャパン株式会社まで。
ジープフリーコール 0120-712-812（9：00～21：00、無休）
https://www.jeep-japan.com/

Text：田村 十七男
Photos：大石 隼土