Jeep Wrangler in British Columbia
FWT世界大会転戦が、佐々木を大きく成長させた
国内から参加していたほかのクルーと違い、佐々木はこのカナダトリップが今年最初のハートでの撮影だった。1月の白馬で開催されたFWT、つまりフリーライドワールドツアーで4位入賞を果たしたことで、世界ツアー転戦の資格を得て、そこからカナダ、オーストリア、アンドラとFWT全戦に出場したからだった。初参戦とはいえ善戦した佐々木の最終ランクは総合14位。12位までに入ればスイス・ヴェルヴィエで行なわれるグランドファイナルに進めただけに、惜しい結果だった。
だが、佐々木にとっては、実りの多い2カ月間の世界転戦だった。世界のトップライダーと同じバーンで戦うことで、多くのものを得ることができた。それはライン取りやジャンプといった技術的な部分もさることながら、この1本に賭ける集中力の高め方にまで及んだ。
なかでも驚かされたのは、本戦当日のコンディションだった。少雪のヨーロッパにパウダーは少なく、氷結した急斜面が随所にむき出しになっていた。そのなかで、平然と試合が行なわれていたのだ。そうした佐々木の経験は、今回の撮影でも遺憾なく発揮されることになる。
スキーリゾートの人混みを避け、ローカルしか知らないフィールドで撮影するためには、多くの場合、狭い林道を進んだ先から入山する必要がある。その際、ラングラー本来の性能がいかんなく発揮された。雪道やオフロードでの安定した走行はもちろん、見かけ以上に小回りがよく効き、急な下り坂でのエンジンブレーキも十分なものだった。ドライビング自体を楽しみつつ、余計なストレスを感じない。バンクーバーの街にも違和感なくなじむラングラーだが、やはり、自然のなかにほど本来の姿が表に出てくるようだった。
滑る斜面に到達し、コンディションを見極め、光を待ってスタートを切る。その一連の過程はクルー全員の協力態勢が不可欠だ。長年、切磋琢磨してきたメンバーから生まれる家族のような一体感。これこそ『ハートフィルム』の持ち味である。だが、今年のカナダは例年に比べて雪が少なく、最高のコンディションとはいい難い状況だった。そんなクルーの不安を打ち消すように、佐々木は攻めの滑りを貫こうと思った。強い意志を抱いたハードなライディング。世界転戦で得たスキルと精神力を発揮するのは、まさにいまだった。
撮影準備完了を告げる無線からの声。先に滑り降りたメンバーたちはいま、この斜面を見上げていることだろう。いまの自分の位置からは、深く落ち込んだ先のラインは見ることができない。だけど仲間が見守ってくれるから大丈夫。大丈夫だから迷わず攻めよう。もう一度自分にそう言い聞かせてから、無線を手に取って叫んだ。
「ドロップイン・ファイブ!」
カウントダウンがはじまった。5、4、3、2……。すっと息を吐き出し、そして空間に身を躍らせた。
【今回の旅をまとめたムービーはこちら!】
Jeep Wrangler in B.C.~カナダ・BC州のローカル・スノートリップ~
▼PROFILE
佐々木 悠(ささき・ゆう)
今回使用したクルマ
『ジープ ラングラー アンリミテッド サハラ(Jeep Wrangler Unlimited Sahara 3.6L)』
商品に関するお問い合わせは、FCA ジャパン株式会社まで。
ジープフリーコール 0120-712-812(9:00~21:00、無休)
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Text:Chikara Terakura
Photos:Heart Films