Fashion

2012.02.03

アメリカン・ヴィンテージショップさながらの まるで見たことのない美容室

ここって本当に美容室?
ヘアカットだけではない、独自の世界観を発信

  • main138 アメリカン・ヴィンテージショップさながらの まるで見たことのない美容室1950~1960年代のカリフォルニアをテーマにした1階。
    店内にある「SERVICE」という古びた鉄看板は、アメリカのフリーマーケットでの上野さんの戦利品。
  • main223 アメリカン・ヴィンテージショップさながらの まるで見たことのない美容室ランプシェードのデザインが印象的なサロンの2階は1930~1940年代のシカゴがテーマに。
    他にない空間に惹かれてやってくるゲストは高校生から年配まで幅広い。
  • main319 アメリカン・ヴィンテージショップさながらの まるで見たことのない美容室シャンプーコーナー。壁のフォトフレームにはアイビーファッションやスポーツルックに身を包んだかつての
    アメリカン・スクールボーイズの写真などが飾られている。
  • main47 アメリカン・ヴィンテージショップさながらの まるで見たことのない美容室オーナー兼美容師の上野達也さん。床屋に生まれ、ハサミを握り続けて約30年。
  • main54 アメリカン・ヴィンテージショップさながらの まるで見たことのない美容室ヴィンテージショップのショーケースのような一角も。

sub1_thumb23 アメリカン・ヴィンテージショップさながらの まるで見たことのない美容室

徒歩5分のレンタルスペース「Bariquan」は昭和の一軒家を改造した空間。アーティストの作品展示や期間限定ショップなどを開催している。

sub2_thumb21 アメリカン・ヴィンテージショップさながらの まるで見たことのない美容室

立地は中央区赤坂の閑静な住宅街、けやき通りの裏通り。目の前に筑紫女学園中学校・高等学校があり、少し歩けば大濠公園や舞鶴公園もある。

sub3_thumb17 アメリカン・ヴィンテージショップさながらの まるで見たことのない美容室

普通の住宅の間にあって、倉庫を改造したこのたたずまいの「THE BEEHIVE DELUXE」はとにかく目に留まる。

い頃は近所の床屋で髪を切っていても、年頃になり洒落っ気が芽生え始めるとウワサの美容室に通うようになるのは男とて同じ。しかも実家が床屋ともなれば、美容室選びにも熱が入るというものだろう。福岡の閑静な住宅地・赤坂で「THE BEEHIVE DELUXE – HAIR DRESSING SERVICE –」を営む上野達也さんも、かつてはそんな一人だった。高校生になって、地元の福岡からわざわざ東京のヘアサロンに出かけたところ、「ゲストがよりリラックスできるように」とガウンにわざわざ着替えさせられた。ただ髪を切るだけではなく、自分らしいサービスや世界観を表現できる場所としての美容室。そのスタイルに衝撃を受けた。

美容師を目指す若者が東京のヘアサロンで腕を磨いて故郷に戻り、自分のサロンをオープンするという話はよく聞くが、東京でカルチャーショックを受けた上野さんが違っていたのは、技術だけでなく感性も磨きたいとロンドンに渡ったこと。そこでハマったのが、週末のフリーマーケット。すっかり古いものに魅せられた。

その後、東京で10年間美容師として活躍した後、地元に念願だった今の店をオープンしたのだが、そのインテリアたるやご覧の通り、まるでヴィンテージショップ! 他の都市と比べると通勤時間がかからないとか、女性の未婚率が高いとか、自分のためにお金を使えるとかで屈指の美容室激戦区といわれる福岡にあって、そのたたずまいは女性にこびていないという意味でも異質だ。

「独立したら、古い時代のジャンクなものに囲まれて仕事をしたいと思っていました。空間はその店の個性や感性を主張するものという意識が強くなっていたので、インテリアにもこだわりたいと思っていましたね」

そこで福岡で店を始めるにあたり、早速、アメリカに買い付けへ出かけた上野さん。フリマに通い詰めたロンドンを目指さなかった理由は、高校時代に見た雑誌『ブルータス』の特集記事で西海岸のインテリアスタイルに強烈に刺激され、自分の店を開くならアメリカンスタイルでと漠然と考えていたから。実際、西海岸から南部のメンフィス、ニューオリンズ、ナッシュビル、フロリダ…… そこで目にした店の看板のレタリング、ペンキの剥げ方、色、空気や匂いに触れ、「すっかりドツボにハマってしまいました」。その後、店をオープンしてからも何度もアメリカに通い、什器、家具、ヴィンテージ小物が陳列されたショーケースまで、徐々にお気に入りを買い足した結果、今の店が完成した。たしかにTHE BEEHIVE DELUXEの”BEEHIVE”という店名が1950年代にアメリカで大流行した、文字通り”ミツバチの巣”のような女性のレトロな盛り髪を意味しているのも頷ける話である。

数年前には別空間として、徒歩5分のところに「Bariquan(バリカン)」という、一軒家のアトリエ兼レンタルスペースもオープン。「若い人たちにも自分のやりたいことをとことん追求してほしい」という上野さんの想いのもと、異業種の若い人々のスペースを活用してもらうための場所で、最近では都市の公共空間を自発的にガーデニングするイギリスのNPO団体”ゲリラ・ガーデニング”にスペースを貸したりも。また、野菜を作りながら働きたいというスタッフの声を実現させるべく、敷地内に菜園も作っている。

理想のヘアスタイルをお任せできるだけでなく、その店の”やりたいこと”があふれている美容室。だから、相手のそれにもとことんつき合う。店名の後にさりげなく付け加えられている”– HAIR DRESSING SERVICE –”には、ゲストの個性や感性を理解し、そのもてなしに力を尽くす美容室としての懐の深さをも感じさせてくれる。

THE BEEHIVE DELUXE – HAIR DRESSING SERVICE –

http://beehivedeluxe.com/

RECOMMEND

RECOMMEND