Fashion

2012.01.25

関わった人すべてを幸せにする ジュエリーを求めて

さらなる自由を実現するために
気鋭のエシカルジュエリーブランドがようやく出会った場所

  • main120 関わった人すべてを幸せにする ジュエリーを求めて『HASUNA』 代表の白木夏子さん。
    耳元には、中米ベリーズ産の貝殻とフェザー、ボヘミアンガラスをあしらったイヤリングが光る。
  • main25 関わった人すべてを幸せにする ジュエリーを求めてミクロネシアのポナペ島にある真珠養殖場。
    真珠の養殖が島の産業となったことによって、都会に流出していた若者が留まるようになった。
  • main32 関わった人すべてを幸せにする ジュエリーを求めてエンゲージリングやマリッジリングも取り扱う。
    親が使用していた結婚指輪をリサイクルしたいと持ち込むお客さまも多いそう。

sub1_thumb7 関わった人すべてを幸せにする ジュエリーを求めて

ミクロネシアの美しい森林と海。豊かな熱帯雨林が育んだ栄養分が海中に溶け出すことで、真珠の育成に適した海になっているという。

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中米ベリーズの浜辺に打ち上げられた黒サンゴとアマゾナイト、シトリンのブレスレット。黒サンゴは職人がひとつひとつ手磨きしたもの。

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2011年3月には東京・南青山に初の直営店がオープン。エシカルを意識したナチュラルでやさしい雰囲気が特徴的だ。

古の時代から、人間を魅了し続けてきた宝石。人類の歴史より遥か昔に誕生し、いくつもの偶然が積み重なって結晶となったものだからこそ、私たちはその輝きに魅せられてしまうのだろうか。

そんな宝石がジュエリーという商品になって私たちの手に触れるまでには、採掘やカッティング、研磨、加工など、さまざまな行程や人の手を経る。その過程の多くが行われるのが、宝石の原産国が集まるアジアやアフリカ、中南米にある発展途上国。宝石の鉱山を含む小規模鉱山ではほとんどが過酷な労働条件にさらされ、全世界で100万人もの子どもたちが従事しているといわれている。

人を飾り、心を豊かにしてくれる宝石がこのような状況で生まれている現実。学生時代、さまざまな国を旅して国際協力を学んでいくなかでそのことを知り、どうにかして解決できないかと考えた白木夏子さんは、3年前、27歳の若さでエシカルジュエリーブランド『HASUNA』を立ち上げた。

「昔からバックパックひとつで旅を続けていたこともあり、過酷な旅には慣れているので(笑)。入坑可能なすべての採掘地を直接訪ね、自分の目で確かめてからフェアトレードで取り引きしています。大資本がないと採掘できない鉱物に関しては、使わなくなったジュエリーを溶かしてリサイクルするなどして、人や社会、環境に優しいエシカルなジュエリーのブランドを目指しました」

とはいえ、その道のりは楽なものではなかった。

「密輸が横行している宝石の世界では、問屋に並んでいても採掘地はおろか加工した場所すら分からないものがほとんどなんです。国際協力の現場で働いていた頃のネットワークを使って、不当に買い叩かれて貧困にあえぐ職人や鉱山労働者たちを探していきました」

そうやって少しずつ宝石の種類を増やしていくなか、ブランドの大きな転機となったのが、2010年7月に訪れたミクロネシアだそう。?

「ミクロネシアには10世帯以下の住民で成り立つ小島が無数にあり、そこでは過疎化が深刻な社会問題となっています。学校を卒業した若者が島での仕事がないため、やむを得ず都会に出た結果、過疎化を招いてしまうのです」

その状況を改善するために、過疎化の進む島で若者の雇用創出を目的として立ち上がった真珠の養殖場を訪ねた。?

「この真珠養殖場をサポートしたいと思い現地に飛びましたが、地元の養殖場で働く人々の生き生きとした姿や家族で助け合って養殖をする姿に感動し、より一層応援したいと思いました」

その真珠が現在ではHASUNAのジュエリーの中でも非常に人気の高い商品として店頭に並んでいるのだとか。

「よく途上国現地で耳にするのが、モノは作れるけれど、どうパッケージして誰に向けて売ればいいのかわからないということ。やはりマーケティングやPR、デザインを現地でこなすのはハードルが高いんです。私たちにはそれができるから、互いにシェアすることで、いい形でものづくりをしていきたいと思っています」

金銭的にはもちろんだが、自分たちの商品を海外で販売することができるということが職人や鉱山労働に従事する人々の働く喜びや、やり甲斐につながるHASUNAの活動。作る側も使う側も笑顔にするエシカルジュエリーは、今日も世界から貧困や格差を減らし続けている。

<HASUNA

http://www.hasuna.co.jp/