Interview

2012.10.05

スタイリスト作原文子が26人の写真家と描く、
自由で心地いい「山の朝」

「山の朝」の風景を立体的に展開する展示会、
「マウンテンモーニング」が10/8まで開催中!

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    オープニング前日は夜を徹して仲間たちと設営していたという作原さん。撮影現場に欠かせない、カーキ色のエプロン姿で。壁にあしらわれているのは、盟友であるJetMinMin(http://www.jetminmin.com/)の2人が手がけたオリジナルクロスだ。
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    テントにグリーンに、質実剛健なアウトドアギアに……。真っ白なギャラリー空間に出現した、山の中のキャンプ場のような風景。
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    「マウンテンモーニング」のためだけに作られたオリジナルアイテムも多数登場。こちら、アーティストの小町渉さんがカスタムしたラジカセは限定2台のお宝品だ。
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    展示した写真に合わせたのは「Play Mountain」や「ZAKKA WORKS」、「KARIMOKU NEW STANDARD」など人気ショップのプロダクトたち。会期中はショッピングもできる。
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    写真作品とインテリアプロダクトが醸し出す濃密な山の気配に、あなたはどんな景色を見つけるだろうか。10月8日まで開催中。

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プロジェクトの目玉である「マウンテンモーニング」ポストカードセット。26人の作品が2セットずつ箱に入って¥3,675で販売中。前回分も出品されている。

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雑誌、作品発表、ムービーなど活躍するジャンルは異なれど、作原さんが信頼する26人が参加したポストカードの数々。

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ちなみに、オープニング前日の朝はこんな感じ。カーキの合板を使った立て込みで、白い空間に山小屋のような雰囲気を作るところから始まった。

2011年、恵比寿のインテリアショップ「PACIFIC FURNITURE SERVICE」で開催された、インテリアスタイリスト作原文子さんによるインスタレーション「マウンテンモーニング」。彼女と交流のある写真家20人とコラボレーションしたポストカードの作製をきっかけに、その世界観を立体的に展開したインスタレーションだ。会場では20人が撮り下ろした写真に作原さんが家具や雑貨、アウトドアグッズを絡めて独自の世界を提案。20の「山の朝」のシーンを、暮らしのアイデアをちりばめながら展示して話題を呼んだ。

そして、この「マウンテンモーニング」の第二弾が現在、「代官山 T-SITE ガーデンギャラリー」で開催されている。26人の写真家が参加している今回も前回同様、その写真に合わせた世界観をファッションスタイリストやデザイナー、アーティスト、インテリアブランドとコラボレーションしたオリジナルアイテムを織り交ぜながら、作原さんがリアリティのあるスタイリングで表現している。

「このポストカードのアイデアは、一昨年の夏、軽井沢の古い蔵で行われた『extension/store 歩いていたら。』というインテリアのエキシビションをきっかけに生まれたものなんです」

以前からの知り合いであるインテリアスタイリストの黒田美津子さんが企画したもので、3人のインテリアスタイリストが寝室、ガレージ、ダイニングというシーン別に、軽井沢にちなんだ「山の朝」を表現しようという試みだった。ダイニングを担当した作原さんはいれたてのコーヒー、いびつな目玉焼き、お気に入りの器に素朴な野の花が並んでいる……そんな小さな幸せがたくさん詰まった、「山の朝の食卓」を再現した。

そのエキシビションの開催に際し、「軽井沢での展示だし、東京から来てくれる人にお土産になるようなものを作りたい」と考えた作原さん。軽井沢の朝の思い出を自宅に持ち帰れるようにと制作したのが、「山の朝」をテーマにしたボックス入りのポストカードだった。

「海外のひなびた土産物店で売っているようなポストカードにしたくて、カードの厚みやボックスのデザインにも気を配りました」

日頃から親交のある写真家にテーマを託し、寄せられた写真をポストカードにしてみたら、透き通った朝の情景がボックスの中からあふれ出た。そんな思い入れの詰まったポストカードをお披露目したいのと、協力してくれた親愛なる写真家たちへ恩返ししたいという気持ちから、ポストカードにちなんだインスタレーション&ポップアップストアを東京で企画。日頃から交流のある編集者やイラストレーター、デザイナー、スタイリスト、家具やプロダクトのメーカーなど、テーマに共感してくれた仲間がたくさん集まって仕事を超えた協力関係が生まれ、ごく私的なプロジェクト「マウンテンモーニング」はいつしか、「大人の文化祭」のようなイベントになっていた。

その盛況ぶりを受けて開催が決まった第二弾。今回は「気がつけばいつも必ず、身近にある」という作原さんの永遠のユニフォーム、「カーキ」をテーマに、それぞれの写真家が見つめた「カーキ」色の風景を発表する。

「サンドベージュから深いオリーブグリーンまで表現の幅が広い色だからこそ、26人がそこにどんなシーンを切り取るのか楽しみにしてください」と作原さん。作原さんも真っ白なギャラリーにカーキ色の合板を設営、空間全体を「カーキ」に染めてインスタレーションに臨む。前回より規模が大きくなった分、身内だけが盛り上がるのではなくふらっと立ち寄った人にも十分に楽しんでもらいたい。だからオリジナルのプロダクトの展開はもちろん、「山の朝」にちなんだワークショップや朝ご飯イベントなど盛りだくさんの内容を考えている。

気がつけば軽井沢の展示から2年の時が過ぎ、その間に作原さん自身もアウトドアの魅力に開眼。山で過ごすひとときの心地よさや和やかさ、誰にでも平等に訪れる朝の美しさを肌で感じて、自身がスタイリングにおいて心がける「リアリティのある暮らし」もアウトドアの影響を色濃く受けるようになったとか。

「季節感や時間帯をことさらに肌で感じられる『山の朝』というシーンを、あえて街の中で再現してみます。山に行けない人やその習慣がない人にも、山の朝の心地よさや透き通った空気を味わってもらいたいな」

親しい人と焚き火を囲んで過ごした晩。あるいはたった一人でシュラフにくるまり、太陽の光を待ちわびた夜。どんな夜の先にも等しく訪れる山の朝の情景は胸が痛むほど希望に満ちていて、それを味わう度、次に進むエネルギーが体の中に沸いて出る。「マウンテンモーニング」では、そんなとっておきの朝が体感できる。

作原文子

インテリアスタイリスト。雑誌やカタログのほかショップディスプレイやエキシビションなどでも活躍中。国籍、年代、テイストを自在にミックスして、リアルな生活感のある心地いい暮らしを提案する。

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