【Jeep Real Games】ストリートのカッコよさを証明し続けていく〜BMXフラットランドライダー・内野洋平氏〜
独自のカルチャーとパフォーマンスで人々を魅了する5種目で、世界屈指のバトルを披露するスポーツコンペティション『Jeep Real Games』。各競技のメンターを紹介する第3回は、BMXフラットランドライダーの内野洋平(うちのようへい)氏が登場。
Jeepが実施するRealスポーツコンペティション『Jeep Real Games』。独自のカルチャーとパフォーマンスで人々を魅了する5種目(パルクール、BMX、ダブルダッチ、スラックライン、フリースタイルフットボール)で、世界屈指のバトルを繰り広げる。本大会における各競技のメンターを紹介する第3回は、BMXフラットランドの第一人者、内野洋平(うちのようへい)氏が登場。世界トップレベルのライダーでありながら、独自大会の開催も行うアスリートがもっとも大事にしている考え方をたずねた。
国内最高の練習ができる場所をつくりたかった
「カッコいいボディカラーですね!」
『ジープ ラングラー アンリミテッド ルビコン(Jeep Wrangler Unlimited Rubicon)』に設定されたスティンググレーは、ラングラーの精悍さを引き立たせた上で見る者に都会的な印象を与える。そうした渋めの色味を好む嗜好性は、アスリート活動の拠点からもうかがい知ることができた。
神奈川県の寒川町で2020年11月にオープンした『THE PARK』は、BMXフラットランドのステージとスケートボードのパーク用セクションを備えた屋内練習場だ。2種目併設の施設は世界でも稀らしいが、ルビコンと似たグレー系で統一された室内空間からは、ストリートスポーツに疎い者でも稀有な、あるいは練習場らしいストイックな雰囲気が感じ取れた。
スタジオとしても使えるよう設計したという『THE PARK』をプロデュースしたのが、BMXフラットランドのプロライダー、内野洋平氏だ。フラットランドとは、文字通り平坦な舞台の上で自転車と舞うような技の難度を競う、アクロバティックかつアーティスティックな競技である。内野氏はこの領域で、2008年以降11度の世界タイトルと、2012年から2014年の世界ランク1位をその手中に収めてきた。現在はコロナ禍が終息するのを待ちながら、次の世界タイトル獲得に向けて準備を整えている最中だ。
聞きたいことはたくさんあるが、まずはこの質問から。新たな練習場の開設に当たって、なぜ専門外の競技用設備まで用意したのか?
「ストリートスポーツを大きい枠で捉えたかったんです。2種目を同じ場所でやれれば、それぞれのヤバい子たちが集まってきて、互いのマインドを知ることができるじゃないですか。いやしかし、“ソラ”はコンクリートを敷くことにこだわりましたね」
ソラとは、先の“国際的なスポーツイベント”のスケートボード男子ストリートに出場した白井空良(しらいそら)選手だ。彼も『THE PARK』を練習拠点としている。
「“本番の環境と同じじゃないと練習にならない”というソラの主張を尊重しました。費用はかさみましたけれど(笑)。とにかく国内最高の練習ができるカッコいい場所をつくりたかったんです」
BMXは一切の言い訳ができないスポーツ
現時点に至る内野氏とBMXとの出会い。本人は“しょうもない話”と前置きしたが、これが偶然の怖さを知るエピソードだった。水泳が得意だった内野氏は、故郷の神戸でスポーツが盛んな高校に進学。2年生になったある日、クラスメート10人でこんな話が持ち上がった。
「全員が未経験の種目で、誰がもっとも運動神経がいいかを競おう」
そこで選ばれたのがスケートボード。しかし運動漬けの10人は取っ掛かり方すら知らなかった。そんな折、神戸のメリケンパークで大会が開かれるという情報を耳にする。
「これが誤報でした。スケボーじゃなくてBMXのフラットランド。けれど全員が“カッコいい! ”と魅了されて、順番にBMXを始めていったんです。もちろん僕がブッチギリの一番で上達しましたけどね(笑)」
その言葉通り、BMXと出会って3年でプロデビューを果たし、23歳になる2005年には全日本チャンピオンを獲得した。短期間で急成長できたのはなぜだろう。
「たぶん、水泳じゃなければ何でもよかったんですよ。高校生になり体格差が出てきてタイムが伸びなくなると、速い仲間たちのグループから外されたりして……。そんな悩みを抱えた頃にBMXを知りました。これは一切の言い訳ができないスポーツだと思えたんです」
それが未知の競技にのめり込めたモチベーション?
「元々の性格じゃないですか。とにかく友だちと楽しく笑っていたいんですよね。友人にすれば自慢できる仲間の一人に。両親であれば自慢の子どもでいたいという。それが今も変わらない僕のモチベーションです」
アスリート・内野洋平を語る上で不可欠なエピソードをもう一つ。全日本を制覇した2005年には世界大会に出場し8位となるも、世界レベルとの圧倒的な差を痛感。帰国した内野氏は2年ほど表舞台から遠ざかった。
「方々で悪口を言われましたね。アイツはもう消えたとかって。こっちは世界に到達するための練習に打ち込んでいただけなのに。でも、それまでのスタイルや技をすべて捨てて、1日10時間自転車に乗り続けた時期をもう一度過ごせと言われたら、無理です。血尿まで出ましたから(笑)」
世界基準を体得した自信を携えて臨んだ2008年の『VOO DOO JAM』。アメリカ開催の世界大会で、ノーシードから優勝をつかみ取るという劇的な物語を展開した。この年をきっかけに世界の頂点に立ち続けているのは先述の通り。そうした栄光の道を突き進む中で、内野氏は新たな取り組みに挑む。それは、傍から見ればトップアスリートの活躍を阻みそうな大仕事だった。
よりJeepらしいタフさとこだわりを兼ね備えた大会に
2013年、自らが主宰者となり『FLATARK』と命名したBMXフラットランドの世界大会を神戸で開催。2017年にはスケートボードを加え18,000人を動員。その後ブレイクダンスを種目に追加し、同大会は『ARK LEAGUE』に名を変え現在に至っている。
「大変? 楽しいですよ。人が喜んでくれるのが好きだし、世界のトップ選手もみんな手弁当で参加してくれますしね」
このあたり、たずねたこちらが拍子抜けするくらい軽やかに話した。
「海外のさまざまな大会に出ましたが、設備が不十分で用意してきた技が出せない機会を何回か経験して、それなら実力を120%発揮できる大会を自分で開いてみようと思っただけなんです。僕らが全力で開催すると、選手が楽しかったと言ってくれる。これが一番大事!」
その『ARK LEAGUE』に着目したのが、神奈川県・寒川町だった。ストリートスポーツで活性化を図ろうとした町の行政は、閉館した屋内プールでの大会開催や練習場所設営の計画を内野氏とともに進めていく。そして2019年に『ARK LEAGUE 2019 IN SAMUKAWA』が開催され、屋内プールの撤去に伴って2020年に『THE PARK』がオープンした。
内野氏は大会が開催された年に寒川町への移住を決意。なおかつ今年になり、JR寒川駅近くにスポーツバー『THE ROOM』を設けた。「すっかり住人ですよ」と笑ったが、本格的な練習場所が少ないストリートスポーツにおいて、練習拠点と住まいの近さはことのほか重要だという。
「国内には約480カ所のスケートパークがあるんですが、それぞれに遠方から苦労して通っている選手がたくさんいるはずです。そんなパークをラングラーでツアーしたいですね。仲間といっしょに映像記録も残しながら。ラングラーは、父親が持っていたショートボディに1年半ほど乗った経験がありますが、昔も今も“地上最強”のイメージは変わりませんね。時計のG-SHOCKっぽいんですよ。タフだけど親しみやすい感じが僕に合っている」
トップアスリートとして最前線を走る一方で、世界大会の主催や練習場所の開設にも奔走する。これが現在の内野氏のスタイルだ。そこで一つの疑問が沸く。なぜそこまでやるのか? すべてはフラットランドの普及活動かと問うてみたら、やんわりと、しかし確実に否定された。
「主役はプレーヤー。彼らが本気の技を見せれば、その後にはオーディエンスもサポーターもついてくる。これは世界のトップレベルで戦っている僕だからわかる世界観です。“国際的なスポーツイベント”でストリートスポーツが注目されたのはありがたいけれど、今必要なのはシーンを大きくすることではなく、カッコいいシーンを守り通すことです」
結果としての普及拡大より、原因となる挑戦の連続。現役アスリートならではのプライオリティを感じさせる考え方だ。内野氏が繰り返し口にする「カッコいい」の意味も、その思考に根差しているに違いない。そんな強い思いを内に秘めているからだろう。メンターを務めている『Jeep Real Games』に向けて、丁寧に言葉を選びながらこんな期待を語った。
「参加者が本気でチャレンジできる、よりJeepらしいタフさとこだわりを兼ね備えた大会にしていきたい。そのためにも、ストリートのカッコよさを証明し続けていく。何より楽しみながら。それが僕の役目です」
今回使用したクルマ
『ジープ ラングラー アンリミテッド ルビコン(Jeep Wrangler Unlimited Rubicon)』
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ジープフリーコール 0120-712-812(9:00~21:00、無休)
https://www.jeep-japan.com/
【Information】
THE PARK
住所:神奈川県高座郡寒川町倉見1385
TEL:0467-37-9860
URL:https://www.thepark-samukawa.com/
THE ROOM
住所:神奈川県高座郡寒川町岡田1-1-9佐藤ビル2F東
URL:https://www.instagram.com/theroom_smkw/
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Text:田村 十七男
Photos:濱上 英翔