Jeepがサポートする『フジロックの森プロジェクト』。次の10年に向けて生まれ変わる苗場の風物詩
この森あってのフジロック。新たな意識で自分たちの場をみんなで作る
午前中の作業を終えると、昼食休憩に。フジロックにおける食のオアシス・苗場食堂でボリューム満点のカレー(おかわり自由!)と地産地消の野菜を使ったサラダが振る舞われ、参加者たちは午後に向けてエネルギーを蓄えた。
午後の作業も引き続き木材の運搬がメイン。今回は新たなルートも作業していたため例年以上に運ぶ木材が多かったようだ。それでも参加者たちが黙々と作業する姿からは「自分たちがフジロックを作り上げるんだ」という想いが伝わってくる。
ほぼ作業がひと段落ついた段階で、参加者の方々に今日の感想をお聞きしたのでご紹介したい。
小林さんファミリー
「新潟県内に住んでいて、このイベントは4回目です。子どもができてからまだフジロックには行けてないんですがこの活動のことを知って、キャンプも好きだったので参加するようになりました。やっぱり自分たちで作業をしたところを歩くと特別な気持ちが湧きますし、前は絵も描いたりもしたのでそれが残っているのを見るとうれしいですね。まだ子どもはあまりわかってないかもしれませんが、いつか家族で行けるといいなと思います」
マチコさん(左)&ケイコさん(右)
「フジロックは毎年行っているんですが、このボランティアは数日前に告知を見て、今回友だちと初めて参加しました。今年はフジロックがなかったので夏も寂しすぎて、ここにただ散歩に来たりもしてましたね」(マチコさん)
「作業自体は思ったより大変で、これまでこういうことをしてくれていたんだなと思うと、本当に感謝しかないですね。来年のチケットは取ってあるので、本当に開催してくださいっていう気持ちです!」(ケイコさん)
夕方4時、この日の作業を終えて参加者たちが苗場食堂の前に戻ってきた。もちろん作業の疲れはあっただろうが、その顔には大好きなフジロックに少しでも貢献できたことへの誇らしさのようなものを感じた。この日の全スケジュール終了後、来年の開催に向けてSMASH・石飛智紹さんにその想いを語ってもらった。
「お客さまも我々も含めて今年は大変残念な年になってしまいましたが、少しでもフジロックを楽しんでもらおうという気持ちで、夏には〈Keep On Fuji Rockin’〉という企画でYouTube配信をしました。特にサンボマスターの生ライブはお客さんの気持ちを代弁してくれたと思いますし、何よりあの時の“投げ銭”が全体の3割ぐらいを占めたことを知って、皆さんの熱い想いが詰まっていると感じましたね。来年に向けてはコロナの収束を願いつつも、うまく共生してやっていけるように進めていきます。今回のプロジェクトに関しては、この森あってのフジロックですし、お客さまの中にも“この場所に戻ってきたい”という想いが相乗効果であると思います。来年のフジロックに向けて、多くの方たちがチケットをキープして待ち望んでくれていますし、コロナ禍の中でやっていくには今まで以上にお客さま、主催者、出演者みんなで自分たちの場を一緒に作る意識が必要。あとはもう元気に過ごすしかないですよね。難しいことも多いですが、元気に過ごして来年またここで会いましょう。この森でお待ちしています」
ボードウォーク、みどり橋、そしてJeepとフジロックでまた会おう!
今年の作業の中で、ある剥がされたボードウォークの木材に目が留まった。それは2011年、東日本大震災の時に福島市が開催したイベントで、この場所に訪れた小学生たちが絵を描いた木材だった。
作業をしていた方に話を聞くと、老朽化のため今年でボードウォークとしての役目を全うしたとのこと。残念ながら開催延期となってしまった今年のフジロックだが、ボードウォークも新たなみどり橋という仲間と次の10年に向けて歩き出した。来年こそはフジロック――生まれ変わったボードウォークと新たに誕生したみどり橋、そしてJeepと苗場でまた会おう!
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Text:ラスカル(NaNo.works)
Photos:市川秀明