力強いメッセージで世界の共感を得た ChryslerのスーパーボールCM
クリント・イーストウッドを起用し
ビッグ3復活ののろしをあげる
アメリカの3大スポーツといえば、ベースボール、バスケットボールそしてアメリカンフットボール。なかでもNFL(National Football League)として知られるアメフトの全米王者を決めるスーパーボールは、一国のプロリーグの決勝戦ながら、サッカーのワールドカップや、夏期オリンピックに匹敵する(あるいは時にそれらを超える)格別のショーケースイベントとして世界の注目を常に集めている。
去る2012年2月5日に開催された第46回スーパーボールでは、ニューヨーク・ジャイアンツとニューイングランド・ペイトリオッツが対決。前者が手に汗握る接戦を制したが、超一級の選手がしのぎを削る実際のゲーム以外にも、観客を魅了する充実のエンターテイメントを用意するのがスーパーボールの特徴。そのもっとも大きな檜舞台となるのが、”ハーフタイム”で、今年は、マドンナが登場し圧巻のステージを披露した。
これだけの注目度を誇ることから、スポンサーがこのハーフタイムに特別バージョンのTVコマーシャルをオンエアすることも多い。なかでもJeepブランドを保有するChryslerグループは、往年のハリウッド俳優、クリント・イーストウッドを起用し『It’s Halftime in America』と銘打ったCMを放映。ハーフタイムの言葉にかけて「アメリカという国も、今がハーフタイム。セカンドハーフ(=後半戦)が今まさに始まる。カムバックはこれからだ!」とのメッセージを込め、リーマンショック以降、停滞する経済状況からなかなか脱却できないでいるアメリカの現状にエールを送る内容となっている。
そのカムバックのお手本としてCMの中で紹介されているのが、Chryslerグループの復活。クリント・イーストウッドの口から具体的に社名が語られることはないが、未曾有の苦難を従業員の結束で乗り切り、文字通りのカムバックを遂げたChryslerの業績を讃えている。
「我々は一発のパンチでノックアウトされたりはしない」
「我々は結束して必ず復活の道を見つける。もしその道が存在しないなら、自分たちの手で切り開けばいい」
との力強いメッセージは、スーパーボール中継を観戦していたアメリカ国民のみならず、海を超えた国々の視聴者の心にも深く刻まれることとなった。