新しく変わり続ける山小屋。こもれび山荘の日常
お客さんたちがリラックスしてすごせる雰囲気づくり
「お帰り、タケさん!」
小屋に入ると、スタッフたちが笑顔で出迎えてくれる。
タケさんはけっして、キリキリ働く感じの人じゃない。どこかちょっと抜けているというか、愛嬌があるというか。
そういう人柄だからか、周りのスタッフが自主的に考え、提案し、小屋を回している感がある。
「いやぁ~、みんな優秀ですごく助かってるんですよ」
そう言ってタケさんはノホホンと笑うが、いざトラブルがあったら真っ先に動くし、スタッフのようすをじつはしっかり見ていて、さり気ないケアなどもする。
「タケさん、シャイだからあまり表に出さないけど、そういうのって自然と伝わりますから。みんな安心してのびのび働いてます」
女性スタッフがそう言って笑う。
小屋の雰囲気が良いから、お客さんたちもリラックスしてすごせるし、山小屋では珍しく、伊那市産の地ビールを出していたり、昼食にシカ肉を使ったタコライスを提供するなど、独創的だ。
「マンネリになると、自分が一番つまらないですからね」
そのタケさんの言葉は、小屋の晩ご飯にもよく表れている。まずはサラダとスープが供され、その後、メインの料理がやってきて、最後はデザート。日本の山小屋でも数少ないコース料理なのだ。しかも日替わり。サラダや副菜などは、大皿でやってくる。
「こうやってお客さん同士で取り分けるようにすると、自然とそこでコミュニケーションが生まれると思ったんです。山小屋って知らない人同士が寝食を共にする場所だから、こうやってさりげなく交流できる場があれば、居心地も良くなるかなと思って。今年からスタッフともいろいろ相談しながら試してるんです」
晩ご飯中、タケさんからの挨拶がある。宿泊のお礼に始まり、天気、登山道の状況、コースタイムなどを伝える。おや? と思ったのは、登山のガイド本などに書いてあるよりも、かなり長めの時間で案内しているところ。
「小屋に泊まるお客さんは年配の方も多いですからね。あえて長めに言って、無理をしないように促しています」
山では安全マージンを取ることはとても重要なこと。そんなタケさんの考え方は、クルマについても同様だ。
自分のフィールドに似合うというのはクルマを選ぶ上で大切なポイントです
「ラングラーのことを、たまにオーバースペックだ、なんてことを言う人もいますが、僕から見るとラングラーの悪路走破性は安全マージンなんです。たとえば登山で絶対に雨が降らないと思っていてもレインウエアを持っていったり、非常食を多めに用意しておいたりすることと同じ。いざというときのためにどれくらい備えておけるか。その備えがあるからこそ心に余裕が生まれるし、結果として安全に繋がると思うんです」
翌朝、早朝4時から起き出して、朝食を用意し終えたタケさんの運転で、再び林道を走る。
「このへんは雪が吹き溜まるんです」と言ってタケさんが路肩にラングラーを停める。こもれび山荘はクリスマスとお正月には冬期営業もやっている。そのときに、荷揚げでいつも苦労するのだそうだ。
「雪が多いと上までクルマで上がれないことが多いんですよ。そうなるとソリに荷物を積んで、6時間のボッカです。でもこのルビコンだったら、登りそうだよなあ」
このクルマ、山にも似合いますけど、タケさんにも似合ってますよ、と声を掛けると、「そう?」と照れ笑いしながら、この2日間で何回目になるかわからない「いいなあ、やっぱり欲しいなあ」という呟きをもらした。
<プロフィール>
こもれび山荘支配人・竹元直亮さん
南アルプス、北沢峠にある『こもれび山荘』の管理人。山登りはもちろん、マウンテンバイク、釣り、パックラフトなど、アウトドアの遊び全般を楽しむ多趣味人。冬になると愛犬を伴って、狩りに出かけることも多い。
※『こもれび山荘』の2019年度の営業は終了しております。
今回使用したクルマ
『ジープ ラングラー アンリミテッド ルビコン (Jeep® Wrangler Unlimited Rubicon)』
商品に関するお問い合わせは、FCA ジャパン株式会社まで。
ジープフリーコール 0120-712-812(9:00~21:00、無休)
https://www.jeep-japan.com/
Text:Takashi Sakurai
Photos:Dai Iizaka