【Jeepオーナーインタビュー】ラングラーは下道の王様！Jeepアンバサダー、岡部哲也氏インタビュー
元アルペンスキーヤーにしてJeepのアンバサダー。年齢を感じさせない颯爽とした雰囲気をたたえる岡部哲也氏に、昨年から再びラングラー アンリミテッド サハラに乗り始めた理由と、現役引退から間もなく30年を迎える現在の立ち位置をたずねた。
Jeepは人を助けられるクルマ
「最初に乗ったJeepは黄色のラングラーでした。オレンジにも白にも乗ったので、ラングラーはこの新しいJLのサハラで4台目になります」
車歴を語るその立ち居振る舞いだけで爽やかな覇気を感じるのは、かつて世界を股にかけて活躍したアスリートならではだろうか。なおかつ57歳という年齢を知れば、同世代はもちろん、若い世代にとっても麗しい歳の取り方の手本としたくなるに違いない。
▲写真協力：Key Sato
オリンピックへの出場は3度。ワールドカップでは日本人最高位2位という記録をいまだ保持。これが岡部哲也氏の、アルペンスキーヤー時代の主なプロフィールだ。引退した1995年には軽井沢を拠点にした、イタリア語で雪を意味するネーヴェという会社を設立。冬季のスキースクールに始まり、夏は約10年前に開業したツリートレッキングを軸に、1年を通じてアウトドア・アクティビティを提供する仕事を展開している。
他方、個人ではスキー競技の解説者や、BS日テレで放送されているスキー情報番組『Ski TV』のメインパーソナリティを担当。なおかつJeepのアンバサダーも務めているという、まさにマルチな活躍を続けている岡部氏は、1年前にグランドチェロキーから件の『ジープ ラングラー アンリミテッド サハラ（Jeep Wrangler Unlimited Sahara）』に乗り換えた。
「下道の王様ですからね」
それが、改めてラングラーを選んだ理由だ。
「長距離移動に焦点を当てれば、グラチェロのほうが楽ではあるんです。ただしスキーの仕事が集中する冬場は、高速道路だけを走れるわけじゃありませんからね。その雪道で抜群の安定感を誇るのがラングラーです。冬の北海道に行くときは、小樽の後輩が持っているラングラーを借りるくらい。昨シーズンは、福島、新潟、青森を回りました。冬場だけで3,000㎞は走ったかな」
▲写真協力：mantaroh
運転はご自分で？
「もちろん。Jeepも運転も好きですから。人を乗せていても安心してドライブできるのもいいですね。そう、大雪に見舞われた昨年の青森では、スタックしたクルマを救助しましたよ。雪道で困っている人にラングラーで近づくと、『これで助かった』と思えるみたいです。Jeepは人を助けられるクルマ。いつでも頼りになります」
ひたすら人を信じて、人のつながりを大事にして
話を聞いたのは、軽井沢のネーヴェのオフィス。その一角には、おびただしい数のトロフィーが置かれていた。スキースクールに通う子どもたちに見てもらおうと、生涯獲得数の3分の1程度をここに集約したそうだ。あくまでもしもと前置きして、ここから急に脱出する場面に遭遇したら、真っ先にどのトロフィーを持ち出すか聞いてみた。
「そんな質問は初めてですけれど、その古ぼけたヤツかな」
指さしたのは、外れかけたプレートに薄れた文字で『第28回小学生アルペンスキー大会教育庁杯』と刻まれた、確かに年代を感じさせるものだった。
「小学6年生のときに小樽の天狗山スキー場で行われた大会です。この優勝カップがどうしても欲しくてスキーを頑張ったんですよ」
大人になりヨーロッパで獲ったゴールドやシルバーのメダルを選ばないところに、岡部氏のスキーに対する思いが垣間見えたような気がした。
引退してから今年で27年。現役アスリートだった時期を超える歳月を、セカンドキャリアを築く形で過ごしてきた経営者に、現在の立ち位置をたずねた。
「40歳までは現役を続けるつもりでした。ところが27歳の年に病気になって、その数カ月の入院生活で将来に対する考え方が変わりましたね。元来ものづくりが好きだったから、スキーではない可能性について思いを巡らせるようになったんです」
予定より10年も早く引退を決めたとき、縁あって呼ばれた軽井沢で事業を開始。最初は、キャリアを生かす形でスキースクールから始めたそうだ。
「お世話になった方の助言で、ありがたいことに自分の名前を出して始めたのですが、続けていくうちに、名前に縛られないもっともっとお客さまに楽しさを感じて親しみをもっていただけるようなアカデミーに進化すべきだと思って、違う名前にしたかったんです」
そうして岡部哲也スキースクールは、やはりイタリア語でリズムの意味を持つRITMO、リトモスノーアカデミーに改名され、現在に至っている。
▲リトモスノーアカデミーのユニフォームの胸元にはJeepのロゴも刻まれている。
「とにかく、みんなで何かをつくりたかった。ツリートレッキング中心のアミーチアドベンチャー軽井沢にしても、仲間がいなければできなかったです。現役時代、子どもの頃から支えてくれた両親を始めとして、人の助けなしには何もできないことを経験しましたからね。だから、ひたすら人を信じて、人のつながりを大事にして、地道に頑張ってきた。それがセカンドキャリアを考える現役アスリートの見本になるなら何よりですね」
▲写真協力：株式会社ネーヴェ
ちなみにと、今年40歳でアルペンスキーの現役復帰に挑んだ、このRealStyleに幾度も登場してくれた佐々木明氏の決断について聞いてみた。
「あれはセカンドキャリアじゃないですよね。後輩ですけれど、リスペクトしかありません。彼もまた一人の人間としてインパクトある発信をするために、もう一度オリンピックに挑戦する道を選んだんじゃないでしょうか」
佐々木氏は、2003年のワールドカップで自身初の日本人最高位2位を達成している。だが、15年前の1988年にその記録をつくったのが岡部氏である。
許可さえ下りれば富士山の頂上へ
ここからは、Jeepアンバサダーとしての岡部氏に登場してもらう。実は今回、岡部氏に東京から軽井沢まで2台のNew Jeep、2列シートのグランドチェロキーとコマンダーの試乗を依頼した。まずは、昨年の秋まで乗っていたグラチェロのインプレッションから。
▲『ジープ グランドチェロキー (Jeep Grand Cherokee)』
「ボリュームが増したせいか、よりどっしりとした安定感が高まった気がします。今度の2リッターのターボエンジンには軽いイメージを持っていたのですが、意外にも重厚感があって好感触です。さらに長距離が楽になるんじゃないかな。先代を引き継ぎながら新しくなったデザインも悪くないですね」
次はコマンダー。岡部氏の希望で、一つ手前のインターチェンジで降り、曲がりくねった旧碓氷峠を駆け上がった。
「ステアリングも足回りも、反応が凄くよかった！ コーナーでタイヤが吸い付く感じが好きですね。運転席横のピラーが寝ているにも関わらず視界が良好。ディーゼルエンジンも想像以上にレスポンスがよかった。軽油ですから、コストパフォーマンスの良さも期待できますね。なおかつコンパクトなのに7人乗りは驚きですよ。Jeepは1シーズンだけ乗ったコンパスも含め、スキーを車内に入れたい派の僕にとって、常に最適の空間を用意してくれる。人も荷物もたくさん収められるのは、日本各地を走り回るスキーヤーにとってありがたいんですよね」
撮影中も進んで車両移動を手伝ってくれたところを見ると、2台のNew Jeepはアンバサダーに気に入られたようだ。何も言わなければ再び走り出しそうな様子だったので、引き留めるようにして質問を投げた。現在の愛車であるラングラーで行ってみたいところは？
「富士山の頂上。許可さえ下りれば、走破できると思うんですよね」
これは、時にたがを外さないと滑り出せない元アルペンスキーヤーらしい発想だろうか。
「自分のクルマなら日本中を走り回って、この国をもっと知ってみたい。特に沖縄。ラングラーは似合うと思うんですよ。その旅はナビを禁止しようかな。現役時代にヨーロッパを転戦したときと同じように、紙の地図だけを頼りにしたらおもしろそうですね」
スキーだけではなくサーフィンもキャンプも好き。やりたいことだらけと言いながら、そこに仕事を加えなかったのは岡部氏の性格ゆえか。
「できれば2台同時に持ちたい。住まいのある都内と軽井沢の往復にはグラチェロ。軽井沢より北に向かうときはラングラー。これ、理想形ですよね」
その語り口が真剣だから、次に会うときは実現していそうな雰囲気が岡部氏にはある。あえて言えば、沸き立つ欲求を自らいさめようとしないからこそ、自然と爽やかな覇気を放てるのだろうか。あるいはそんな人こそ、Jeepのアンバサダーにふさわしいのかもしれない。
Text：田村 十七男
Photos：望月 勇輝