人気料理家・ワタナベマキさんがレクチャー!アウトドアでもおうちでも楽しめるキャンプ料理&ギア
秋冬キャンプにおける楽しみといえば、旬の食材を使ったキャンプ料理。そこで今回は、アウトドア&おうちでも作りたいキャンプ料理のレシピと、調理する際に便利なギア(道具)を、料理家のワタナベマキさんがご紹介。料理初心者でも簡単に作れる前菜&メイン&デザートをお試しあれ!
コロナ禍でおうち時間が増えている昨今、アウトドアに行けないときに自宅で楽しむ“おうちキャンプ”が人気を呼んでいる。アウトドアに精通しているキャンパーは自分の得意料理を持っているものだが、キャンプ初心者はどんな料理を作ったらいいのか悩むところ。そこで今回は、アウトドアでもおうちでも作りたくなるキャンプ料理をご紹介! 先生役として料理家のワタナベマキさんを招き、初心者でも簡単に作れる前菜&メイン&デザートの全3品を調理。そのレシピと調理の際のポイント、使ったギアなどを紹介してもらった。
アウトドア好きになったきっかけとおうちキャンプの魅力
グラフィックデザイナーを経て28歳のときに料理家の活動をスタートしたワタナベマキさんは、素材の味をシンプルに引き出すナチュラルレシピが支持されて雑誌やテレビなどで幅広く活躍し、これまでレシピ本も多数出版。また、現在中学生の息子がいる母としても多忙な日々を送っている。現在の道に進むきっかけは料理好きの祖母や母の影響だったそうだが、実は父から受けた影響のひとつに“アウトドア”があったという。
「父が釣り好きだったので、小さい頃からアウトドアでの遊びやキャンプに親しみはありました。大人になってからは、やっぱり子どもが生まれてからよくキャンプに行くようになりましたね。川や湖などが多くて、運転は好きな方なので行くときはクルマ。実は昔、夫が赤の『ジープ チェロキー(Jeep Cherokee)』に乗っていた時期があったんですよ」
意外なアウトドアやJeepとの繋がりを教えてくれたワタナベマキさん。最近は息子さんが大きくなり、家族みんなでキャンプに行く機会は昔ほど多くはないそうだが、それでも身近な存在であることは変わりない。
「友人と行くときは料理業界の人が多いので、みんなけっこうこだわった料理を持ってきますよ。キャンプでは洗い物を少なくしたいので、お肉は特にですが野菜もできるだけ家で切っておくと、現地に着いてすぐご飯とかでもラクですよね。定番でいうと煮込み料理はいつも作りますし、ラーメンを作ったりもしますね」
そして今流行りのおうちキャンプについても好意的で、その魅力やご自身のエピソードをこう語った。
「ベランダやテラス、お庭などで外の空気に触れて食べる料理はいつもよりおいしく感じるので、おうちキャンプのような楽しみ方はいいなと思います。私も子どもが小さいときは、日当たりの良い窓際の地べたに座ってキャンプっぽくごはんを食べたりしましたし、それだけでもいい気分転換になりますよね」
アウトドアでもおうちでも食べたいキャンプ料理3品&お役立ちギア
今回ワタナベマキさんに作ってもらったのは、「①パパッと簡単に作れる前菜」「②がっつり! 食べ応えのあるメイン」「③大人も子どもも喜ぶデザート」という、アウトドアでもおうちでも食べたい全3品。それぞれのレシピと作る際のポイント、さらに調理で使ったワタナベマキさん愛用の料理ギアも教えてもらった。
①パパッと簡単に作れる前菜“スキレットで作るねぎ餅”
サクサクの食感を熱々で味わう前菜は、作る楽しさもポイント
「生地をこねたり伸ばしたりっていうのは、アウトドアでもおうちでも子どもと一緒にやったら楽しいですよね。ねぎ餅はすごく簡単なのですが、あえてポイントを挙げるとしたら、ちょっと多めの油で揚げるとサクサクの食感になると思います。あとは熱々のときにすぐ食べるのがやっぱり美味しいですね」
〈材料・分量〉
台湾ねぎ餅
中力粉・・・300g
塩・・・小さじ1/2
ぬるま湯・・・150〜200ml
細ねぎ・・・4本
ごま油・・・大さじ1
こしょう・・・適量
〈つくり方〉
1.中力粉に塩とごま油を入れ、ぬるま湯を少しずつ加えて手に付かなくなるまで混ぜる。手で生地を伸ばして丸めることを繰り返し、表面にツヤが出てきたらひとまとめでラップをして、冷蔵庫で30分ほど休ませる。
2.1の生地を4等分にして、打ち粉をした台にのせてめん棒などで伸ばしながら、20×15cmくらいに伸ばす(厚さは5〜7・8mm)。
3.表面にごま油を適量(分量外)と小口切りにした細ねぎをのせて、こしょうを振る。
4.手前から3回ぐらい折り畳み、長い辺を縦にして手前から巻いていく。巻いた状態のものにラップをして、さらに30分ほど冷蔵庫で休ませる。
5.打ち粉をした麺棒で表面を叩いて広げ、麺棒を転がしながら約1cmの厚さになるまで広げる。
6.フライパンに大さじ1のごま油を入れ、弱めの中火で両面にしっかりと焼き目が付くまで焼いたら完成。
〈料理ギア〉
turk(ターク)『クラシックフライパン』
キャンプ料理でお肉をはじめ食材をおいしく仕上げてくれる“鉄フライパン”。このジャンルにおける代名詞的存在が、1857年にドイツの鍛治職人が創業した老舗ブランド・タークだ。“100年使えるフライパン”と称されるクオリティは、食のプロや玄人キャンパーのお墨付き。サイズ展開も豊富で、幅広いシーンで活躍する。
「これはもう日常使いしているフライパンで、家では朝にパンケーキを焼いたり、目玉焼きをつくったりと、いろいろな料理に使います。キャンプのときもおうちでも使える万能なフライパンですね」
②がっつり!食べ応えのあるメイン“鶏と大根のしょうが鍋”
キャンプ向き&身体が温まるぽかぽか鍋は秋冬にぴったり!
「よく家でも参鶏湯などを作るのですが、それをしょうがなどで簡単に作れるバージョンの鍋というイメージです。下準備した材料を鍋に入れて、あとはことこと煮込んでおけば、その間は手が空くのでキャンプ向きの料理ですね。それとしょうがは身体をすごく温めてくれるので、秋冬にぴったりだと思います」
〈材料・分量〉
鶏手羽中・・・4本
鶏もも肉・・・1枚(250g)
大根・・・300g
長ねぎ・・・1/2本
しょうが千切り・・・1かけ
くこの実・・・大さじ1
ナツメ・・・5個
もち米・・・大さじ2
紹興酒・・・50ml
水・・・500ml
塩・・・小さじ1
しょうゆ・・・小さじ1
ごま油・・・小さじ2
〈つくり方〉
1.鶏肉はペーパーで水気を取る。手羽中は骨に沿って2ヵ所ほど切れ目を入れて、もも肉は4cm大に切り、全体に塩を少々振る。
2.大根は皮をむいて厚さ2cmの半月切り、長ネギは斜め薄切りにする。
3.鍋にごま油を入れ、しょうがと1を入れて軽く焼き目が付くまで炒めたら、2も加えてさっと炒める。
4.さっと洗ったもち米、くこの実、ナツメ、紹興酒、水を加えてひと煮立ちさせてアクを取り、ふたをして25分ほど弱火で煮る。
5.塩と醤油を加えて、味をととのえたら完成。
〈料理ギア〉
LOGOS(ロゴス)『ダッチオーブン&スキレット』
キャンプ初心者でも使いやすい料理ギアを幅広くそろえるロゴスからは、メインもデザートも調理できるダッチオーブン&スキレットセット。フタはダッチオーブンとスキレットのどちらにも使用可能で、スキレットのハンドルは着脱できるのでオーブン料理との相性も抜群! “焼く”ד煮る”を同時進行できるアイテムだ。
「下がダッチオーブンで上がスキレットになっているセット。キャンプなどでもいろいろな料理をつくれますし、女性はあまり大きな鍋やフライパンだと持てないので、このぐらいのサイズがちょうどいいと思います」
③ 大人も子どもも喜ぶデザート“洋梨とりんごのスパイスフランベ”
ほんのり甘く温かいデザートはいろいろな組み合わせで楽しめる
「秋冬ということなので、デザートも温かいものにしました。バターなどの味付けに、大人が食べるときはラム酒などを少し多めに入れます。パンにのせたり、アイスクリームと一緒に食べたりしてもおいしいですよ」
〈材料・分量〉
洋梨・・・1個
りんご・・・1個
バター・・・15g
グラニュー糖・・・大さじ1
シナモンスティック・・・1本
〈つくり方〉
1.洋梨とりんご、それぞれの芯と種を取り除き、食べやすい大きさに切る。
2.小さめの鍋に1、バター、グラニュー糖、シナモンスティック、大人用はラム酒などを入れ、ふたをして弱火にかけて12分ほど蒸し煮にして完成。
〈料理ギア〉
STAUB(ストウブ)『ココット』
フランスの伝統的な製造方法で作られた鉄製の鋳物ホーロー鍋・ココットが、美食家たちから“魔法の鍋”と呼ばれて愛されるクックウェアブランド・ストウブ。熱伝導と保温性に優れた鍋は素材そのもののおいしさを引き出す。さまざまな形、大きさ、カラーをラインナップしているのであなた好みを探そう。
「これも普段から使っているもので、今回みたいにデザートのフルーツなどちょっとしたものを煮たり、フォンデュのようにして使ったりしますし、あとはパンケーキなどもつくれるのでいろいろと便利ですね」
今風の楽しみ方で“鉄板キャンプ料理&ギア”を見つけよう!
「おうちキャンプではいつも家で作るのとは一味違った豪快な料理を作るのもおすすめですし、キャンプで作ってみたい料理をおうちキャンプで練習してみてもいいと思います。あとは最近の料理道具はおしゃれでかっこいいものが多いので、お鍋のまま食卓に出しても映えますよね。私が作る料理や使う道具は“アウトドアとおうちどちらでも”というものが多いので、ぜひ今日紹介した料理や道具を参考にしてみてください」
アウトドアへ行けないときはおうちキャンプで気分転換! そしておうちキャンプで作った料理や使ったギアを、今度はアウトドアで実践するのが今風の楽しみ方かもしれない。ぜひ今回紹介してもらったワタナベマキさんのレシピや楽しみ方を参考に、あなたの“鉄板キャンプ料理&ギア”を見つけてほしい。
●プロフィール
ワタナベ マキ
グラフィックデザイナーを経て、2005年に「サルビア給食室」を立ち上げ料理家としての活動をスタート。雑誌や書籍、広告、テレビなど多方面で活躍の場を広げながら多数のレシピ本を出版。
Instagram:https://www.instagram.com/maki_watanabe/
Text:ラスカル(NaNo.works)
Photos:大石 隼土