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2013.08.23

「なにもしないこと」に意味がある――東京じゃない東京で過ごした新島旅行記

saroのおもてなしに触れ、感動的な青い海と白い砂浜に魅せられ続けた三日間

東京なのに南の島にいるような、不思議な気分。何も考えずに、ぼんやりと海に浮かんだり、時間が許す限りビーチに寝転がったり、汗だくになるまで島中を練り歩いたり。新島はどんな過ごし方も受け入れてくれる、大らかな空気で満ちあふれた場所だ。

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大島、利島、神津島、式根島、三宅島、御蔵島などと合わせて、新島は伊豆諸島に数えられる。面積約24km、人口約3,000人の小さな島は、東京より少し暖かい気候で、8 月は太陽がジリジリと照りつける。それでも空気は澄んでいて、晴れた日の夜には満天の星空を眺めることだってできる。 だから、ここは東京だけど東京じゃない。都会の喧噪から離れ、島にゆったりと流れる時間を求めて、Real Style編集部は新島を訪れました。

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新島へのアクセスは、海と空、好みに合わせたルートをチョイスできる。もしも早く到着したいな らば、ジェット船か飛行機がおすすめ。例えば、ジェット船は竹芝桟橋から新島港まで約 2 時間半、 飛行機は調布飛行場から新島空港まで約 40 分。そうではなく、じっくりと旅情を味わいたい人には、 約 8 時間半に及ぶ大型客船の旅がぴったりだ。ちなみに新島を含めて、伊豆諸島にはクルマを運ぶ ためのフェリーはないので、伊豆諸島へのクルマの輸送については、東海汽船・辰巳営業所までお 問い合わせを。クルマのサイズ・重量によって料金が変動するので、新島で愛車を走らせたい場合 は、事前に確認しておこう。

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ジェット船に揺られること約2時間半、新島に着岸。船から降りると、どこまでも広がる青い海と感動的な白い砂浜が続く、新島特有の風景に驚かされる。この島にはどんな魅力が秘められているのか。早くも散策に出てみたい気持ちでいっぱいになる。

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今回は二泊三日の取材日程で、新島の魅力をじっくりと探ってきた。宿や商店は港からすぐにある本村地区に集中している。新島滞在中、毎日の寝床と食事のお世話になったのが、本村地区にあるカフェ+宿 saro(サロー)だ。(※現在は閉店しています。)

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saro は古くからあった民宿をリノベート後、2009 年に晴れてオープン。2階建て一軒家の1階はカフェスペース、2階には宿泊部屋が設けられている。都会の一流ホテルのようなゴージャス感は縁遠いけど、ここでしか味わえない居心地の良さを求めて、saroを訪れる旅行客は後を絶たない。

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地魚、アシタバといった地物をふんだんに使ったsaro自慢の料理は、ただお腹を満たすだけでなく、心をほっとさせてくれる。心のこもった美味しい食事を朝晩たらふく食べてときには読書をしたり、ハンモックやソファでゆっくりしてみたり。はじめて訪れたのに、どこか懐かしい感覚は、幼い頃の夏休みに親戚の家を訪れたときの風景と重なる。saroのおもてなしに触れて、取材から帰ってくると、自然に「ただいま」と声に出すようになっていた。

宿+カフェ saro(※現在は閉店)
東京都新島村本村 3-3-4(旧丸山民宿)
TEL:04992-5-2703
E-mail:saroniijima@gmail.com
http://saro-niijima.jp/

saro 主人・高野要一郎さんに聞きました。
夏から秋にかけての新島のいいところ。

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——9 月、10 月に新島を訪れる旅行客の方たちは、どんなふうに新島を楽しんでいますか?
暑さが落ち着いていくこれからの季節は、のんびりしに新島を訪れる人が多いですね。長期で滞在する人もいれば、夏に来て、また落ち着いた時期に来る人もいます。新島の10月は極端に寒くはないので、なんとなく夏の名残を感じるような季節で過ごしやすいです。のんびり本を読んだり散歩をしたり、帰ってきたらご飯を食べる。その後は星を眺めながら、ぼーっとする。それだけでも十分に楽しめますよ。

——高野さんにとって、秋の新島の理想的な楽しみ方を教えてください。
実は、新島には紅葉がないんですね。景色としては夏とあまり変わりませんが、海は秋でもすごくキレイですし、なんといっても、夕焼けの時間帯が印象的です。特に展望台から眺める秋の夕暮れは、陽が落ちていく幸せ感というか、saroを出た瞬間、辺り一面にオレンジ色が広がる、いわゆるマジックアワーみたいな光景を味わえます。その色は秋じゃないと出ないんですよね。

「なにもしない」を愉しむための、とっておきの場所

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東西に約3km、南北に約11kmの細長い形をした新島には、その土地に根付く自然と歴史を感じさせる観光ポイントがたくさんある。標高300mを超える山の展望台や、静かに過ごせる北部の若郷地区へはクルマの手配がマスト。それ以外の主な観光ポイントは、自転車か徒歩でのんびり巡るのも楽しい。

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羽伏浦海岸
白い砂浜、透き通る海、どこまでも続く海岸線に圧倒される、新島随一のサーフスポット。天気のいい日は是非、日の出の時刻に訪れていただきたい。何も遮らない海の向こうから、ゆっくりと太陽が顔をのぞかせる絶景は息を呑むほどに美しい。

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湯の浜露天風呂
古代ギリシャの神殿を彷彿させるオブジェがひと際目を引く絶景露天風呂。24時間年中無休で入浴料無料。どの時間に入っても癒される。足湯も有り。露天風呂は水着着用。

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羽伏浦キャンプ場
羽伏浦海岸に歩いて行けるキャンプ場は、色とりどりのテントで溢れかえる。広大な敷地内には、テニスコートやバーベキュー場などが整備されており、快適なキャンプライフを堪能できる。利用無料、トイレ、シャワー、炊事場有り。新島スポーツ広場で申し込み。

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シークレットポイント
森を抜けていくと目の前に広がる海の大パノラマ。長い階段を降りて振り返ると、そびえ立つ壮大な岸壁と海。空と海と砂浜が織り成す三色の色彩をいつまでも眺めていたい。

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石山展望台
向山にあるコーガ石採掘場内をぐんぐん進むと、眼前に空と海と島影だけが広がる大パノラマが現れる。断崖絶壁に佇むモヤイ像に、思わずカメラを向けたくなる。ちなみに渋谷駅のモヤイ像は、新島から寄贈されたもの。

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富士見峠展望台
新島随一の高さを誇る宮塚山の展望台。本村の全景と式根島、神津島、三宅島、御蔵島、晴れた日にはその名のとおり、伊豆半島と富士山までをも見渡せる。

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若郷前浜海岸
新島の北側、本村からトンネルを抜けた若郷地区にあるビーチ。羽伏浦とは対照的に濃いグレーの砂が特徴的。波も静かで人も少ない穴場。

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本村地区の路地
新島・本村地区には、コーガ石で出来た石造りの民家が建ち並び、朽ちた壁や塀が素朴な雰囲気の路地がそこかしこに伸びている。島に漂うのんびりとした空気に誘われて、路地をさまよいながら、あてもなく出掛けるのも新島観光の醍醐味の一つ。

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一日ではその魅力をとても満喫できないほどに、新島はたくさんの表情を見せてくれた。その土地の歴史と文化、暮らす人々の生活が織り成す風景を通じて、誰にとっても居心地のいい場所が見つかりますように。あなただけの特別な場所を探しに、ぜひ新島を訪れてみてほしい。

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Edit & Text:Shota Kato / Photos:Shota Kato

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