Fashion

2011.10.05

伝説のデニムクリエイターが発信する “学べる”ジーンズショップ

アメリカンヘリテージのデニムを
NYでプレミアムオーダー

  • <main131 伝説のデニムクリエイターが発信する "学べる"ジーンズショップ古くからあるビル特有の高い天井、壁にはデニム生地が。昨今、繊維の大量生産化が進み、巨大なサイズで織られた生地が一反の横幅に合わせて切られるため、その端は閉じられていないものがほとんどだが、ここは“セルベージ”と呼ばれる生地端が閉じてあるセレベージデニムを60種類、レア物のヴィンテージ生地を合わせると合計100種類以上のデニムセレクションを誇る。
  • main216 伝説のデニムクリエイターが発信する "学べる"ジーンズショップスコット・モリソン氏。
  • main312 伝説のデニムクリエイターが発信する "学べる"ジーンズショップボタンやジッパー、リベットなどのハードウェアや糸もバラエティに富んだセレクション。
  • main44 伝説のデニムクリエイターが発信する "学べる"ジーンズショップクオリティチェックを待つ完成ジーンズ。
  • main52 伝説のデニムクリエイターが発信する "学べる"ジーンズショップソーホーのマーサーストリート。ファッション感度の高い、コンセプトを持ったショップを発見できる通りで、「3 x 1」にぴったりの立地。

sub1_thumb16 伝説のデニムクリエイターが発信する "学べる"ジーンズショップ

店内のアトリエには、いわゆる縫製作業を請け負うテーラーの他、最近ではマシンオートメーション化している生地の裁断を全て手作業で行うパターンナー、リベットを打ち込む職人、仕上がった商品の検査をするインスペクターが店内に常駐。幾度にもわたるウォッシュを要する場合は、LAの専門家に依頼している。

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「カスタム」用のメンズジーンズは4型。デザインの他、ウォッシュの回数も表記されている。商品はガラスケースに入っていて、NYらしさを強調するため、ギャラリーを模したディスプレイを取り入れている。

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スコット氏がギフトにもオススメする、デニム小物。ペンケースの付いたロールアップ小物入れ($125)、iPodケース($15)、ほかにボタンを好みのものに付け替えてくれるデニムトート($150)も。

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オフホワイトのクリーンな店構え。看板にある店名は、1本のジーンズには3フィート=1ヤードの生地が必要ということに倣って「3×1」。

NYソーホーの北の外れあたり、1ブロックもいけばチャイナタウンが始まるロケーション。「3 x 1」はそんな中でも、比較的静かな通りで知られるマーサーストリート、ローカルたちが混雑するメインストリートのブロードウェイを避けてわざわざ使うことも多いという通りに、2011年春にオープンしたプレミアムデニムのお店。チェーン店化したようなブランドのお店はほとんど見られず、ブランドのスタイルを見せる、しっかりしたコンセプトを持ったショップが並ぶエリアにショップを構えた理由を、「昔はソーホーにはたくさんのアパレル工場があって、その雰囲気も取り入れられたらいいと思っていたんです」と話すのは、オーナーのスコット・モリソン氏。デザイナーデニムブームの先駆ブランドのひとつ「ペーパーデニム&クロス」の創始者で、続いてさらにプレミアムなデニムを提供しようと「アーネスト ソーン」をスタート。このブランドも軌道に載せた後、デニムブランドのコンサルタントに従事。言わば、デニム業界では伝説の人。

たしかに足を踏み入れた途端、壁面いっぱいに反物状態で並んだデニム生地、ときにミシンに向かい、ときに制作途中のデニムを前に何やら真剣なまなざしでディスカッションする職人の姿をガラス越しに見るアトリエなど、アメリカンヘリテージであるデニムを知り尽くしたクリエイターでないと実現できないスペシャリティショップらしいディテールが一瞬で感じられる店である。そして、このアトリエを併設したスタイルというのが、このショップ最大のポイント。裾直しと好きなボタンを選ぶことができて、15分もあればその場で購入出来るデニムながら、1型最高24本までしか作らないため「リミテッド」と呼ばれるいわゆるレディートゥーウェア、既存の型から自分の好みを選んだ後、生地、ハードウェア、糸、ポケットスタイルを自由にセレクト~完成まで5日を要する「カスタム」、スコット氏とのマンツーマンセッションで、お客様の好みのデニムを作るテイラーメードサービスの「ビスポーク」という3タイプのジーンズは、すべて店内のアトリエで作られるハンドメイドなのだ。

「自分でデザイン画を持ってくる人もいれば、今は入手不可能になってしまった愛用のジーンズと全く同じもの作ってほしいという人、何のアイディアも持たずにイチからこのセッションで作り始める人など、その要望はさまざま。採寸からデザイン決定まで半日をかけることもあります。ちなみにビスポークの顧客のオーダーはデータで保存するので、もしNYに住んでいなくても、後から同じジーンズを違う生地でほしいとなれば、世界中どこへでもスウォッチ(見本生地)を送って、リピートオーダーにも対応しています」と、インターナショナルな顧客に対応、カスタムの傾向にも柔軟な姿勢を当たり前のように語るスコット氏だが、工場生産では受け入れてもらえないディテールをデザインしてもらえて、流れ作業ではなく一人のテーラーが全ての行程を手がけてくれて、サイズ展開も22インチから40インチと他では見られないほど幅広くて……こんなジーンズの可能性を無限に見せてくれるショップは他にはなかなか見当たりそうにない。でも、どうしてそこまで?

「ブランドが人気を獲得するために大衆化し、マスマーケットに対応するようになると、自分の求めていたものからはどうしても外れてしまいますよね。でも、ここでは商品のクオリティ、サービスも含めて、ベストのプレミアムジーンズを提供していきたいんです。クラフトマンシップ、生地やパーツのバリエーション、またデニムの知識にしても、この店が最高のリソースでありたい。だから、購入しなくてもぜひ立ち寄って、ジーンズやデニムについて見て学んでもらえたらうれしいですね」。

上質なのはできあがってくるデニムだけではない。そのストーリーテリングまでもがスマート。まさにジーンズファンならずとも、その本質に触れるべく訪れてほしいショップだ。

スリー バイ ワン

http://www.3×1.us

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