UNMAP YOUR LIFE ~山形県 天元台編~ 自分を解放する、こだわりの時間

UNMAP YOUR LIFE ~山形県 天元台編~ 自分を解放する、こだわりの時間

「人生は、どこへ行くかではない。どう楽しむかだ」を体現する企画、UNMAP YOUR LIFE。今回は2022年10月に登場したニューモデル『ジープ コマンダー』とともに、“東北のラストフロンティア”とも呼ばれる山形県の天元台を目指した。

パウダースノーが眠る東北最後の秘境

天元台は山形県と福島県の県境付近、磐梯朝日国立公園の一部である西吾妻山(標高2,035m)の麓にある。地図では南東北にあるので距離を見れば関東から比較的近く、山奥にあるわけでもない。しかし、福島県から天元台方面へ抜ける西吾妻スカイバレーは冬季通行止めになる。そのため冬は北上して米沢を経由し、南下してアクセスするしかない。

天元台はその絶妙なアクセスの煩わしさとともに、山を挟んだ反対側にある会津エリアのスキー場の人気に影を潜めていた。ここは内陸部にあるが、日本海側から吹き付ける湿った空気を、北部にある月山と南部にある飯豊連峰の間を通り抜け、西吾妻山が受け止めるために大量の雪が降る。良い雪は降るが、ニセコや白馬のようにパウダースノーを求めて訪れるインバウンドや国内の滑り手の目に届いていないことから、“東北のラストフロンティア”、この地を知る人々はいつしかそう呼ぶようになった。

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▲パウダーを感じながら森の中を滑れるのが日本の山の魅力。日本に多く訪れるインバウンドのスキー・スノーボーダーはこれが狙いなのだ。

旅の道中でもその名にふさわしい雪が降り続いた。米沢市内から天元台へ向かう峠道の路面は、湿雪が固まった滑りやすい状態だった。
こんな時は油圧版クラッチによるオンデマンド型の4WDシステムが頼りになる。路面に応じて「SAND/MUD(砂・泥)」「SNOW(雪)」「AUTO(オート)」にセットすれば、スロットル、変速、トラクションコントロールなどすべての制御システムを総動員して安定の走りを遺憾無く発揮していた。

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▲ほんの数分で車体に雪が積もる程の降雪量。

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▲雪のオフロードのような場所でも、なんら心配はない

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▲路面に応じて「SAND/MUD(砂・泥)」「SNOW(雪)」「AUTO(オート)」にセットすれば、スロットル、変速、トラクションコントロールなどすべての制御システム。

1日目はスキー場のパウダースポットを巡り、ツリーランエリアを滑る

天元台高原はロープウェイで上がった標高1,300mの世界を中心に広がっている。西吾妻山の稜線にかかる尾根上にスキー場があるので縦に細長い。山頂まではリフト3基がかかっており、ゲレンデトップの標高は1,800mにもなる。東北エリアでも屈指の高さを誇るスキー場だ。
そのため雪質の良さはお墨付き。日本海側から吹く風に乗る雪雲は、重たい雪を降らせる印象があるが、ここ天元台では白馬や志賀高原さながらの軽い雪が連日のように降り続ける。標高が高い尾根の上ということはそれだけ風の影響も受けやすい。確かに吹き曝しのゲレンデは雪が薄くなる傾向にあるが、森の中は雪が溜まる。その溜まった雪を狙って、森の中を滑る「ツリーラン」をしようというのが今回の狙いだ。

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▲天元台高原はゴンドラで上がった先の山の中腹に広がる。

天元台はコース脇のパウダースポットはたくさんあるが、バックカントリーエリアはポイントが限られる。なかでも、今回の滑走ポイントは明道沢だが、パウダーを味わうだけであればバックカントリーへいかずとも、ゲレンデの中でも十分。

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▲緩やかな斜面にもっさりと雪が溜まっている。

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▲斜度は緩やかなので、ゆっくりと滑りながら楽しむのに適している。

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▲ゲレンデ内の雪の壁に当てこめば、雪がスプレーのように舞い上がる。

天元台は縦に細長いスキー場だが、コース脇のツリーランエリアも雪がどっさり積もっていて面白い。森の中は木の間隔がタイトだが、思った通り雪が溜まっているところがたくさんあった。これ程いい雪がたくさん降るスキー場だが、ゲレンデには修学旅行生や地元の小学生のスキー授業をしている姿が目立つから面白い。これが白馬や妙高エリアだったら、この雪を狙った国内外のスキーヤー、スノーボーダーがたくさんいるだろう。パウダー競争率の低さがはっきりと伺えるので、焦る必要もない。

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▲針葉樹林の森に囲まれた幻想的な世界。

数本滑って体が温まってきたら、明道沢を滑りに向かう。本当は吾妻山山頂で景色を拝みたかったが、あいにくの天気だ。翌日の天気の方が期待を持てそうなので、山頂へ上がるのは2日目にすることに。
沢へ向かうラインはノートラックだ。誰かが滑った形跡はない。やはりパウダー狙いに来る人は多くはないようだ。天元台のバックカントリーエリアにはコメツガやアオモリトドマツなどの大きな針葉樹林が林立している。細かな地形の起伏がうねるように続いていて、その地形のうねりに合わせて雪が深く積もっているから、ところどころで全身に雪を浴びる。

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▲ツリーランエリアはさらに深い雪が保存されていた。

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▲フワフワの雪が体をスッと抜けていく感覚が堪らない。

手付かずの自然が広がるエリアなので木同士の間隔はすこし狭めのため、地理感を把握するまではゆっくりと滑った。ここの森は元々斜度もそれ程ない。最初こそはスピードのあるツリーランを楽しく感じていたが、天元台のバックカントリーの楽しみ方は違う。スピードがなくても雪が軽くて大量に降るから、板が埋まることもないし、ゆったりと極上の浮遊感を味わえるのだ。一部に急斜面もあり、そこはアドレナリン全開で滑り切ってしまった。

しばらく滑ったら雪上で歩行を可能にする「シール」を装着してスキー場へ戻る。ハイク時間も短く良質な雪をコンスタントに回せる好条件が揃うスキー場は国内でもそう多くはない。

2日目は樹氷の間を歩く西吾妻山バックカントリーへ

翌日の朝は予報通り太陽の光が差している。このグッドコンディションのゲレンデを滑らないわけにはいかない。西吾妻山を目指す前に、2、3本グルーミングバーンと非圧雪斜面を滑った。最高な1日の始まりだ。

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▲朝イチのゲレンデには眩い陽が差していた。最高の2日目の始まりだ。

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▲綺麗に圧雪された斜面で滑るのも、パウダーを滑るのと同等の心地良さがある。

しかし、肝心の吾妻山山頂は雲を被ったままだ。視界はないかもしれないが、来たからには行ってみることに。自然は我々の都合に合わせてくれない。いつもベストコンディションとは限らないが、その時々で違う景色に出会えるのもバックカントリースキーの魅力のひとつだ。

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▲スキーで斜面を登るためのシールを板の裏に装着する。

西吾妻山の山頂付近は平らに開けている。視界があれば、遮るものがなく頭上に広がる青空と雪に埋まった樹氷たちの絶景が眺められるのだが、この日はあたり一面が白く覆われている。1月中旬に1週間程度続いた暖気の影響でここでも雨が降ってしまったらしく、樹氷は「ミニスノーモンスター」に落ち着いていた。
しかし、この小ぶりなモンスターでも異世界は十分感じられる。東北の山奥らしい雰囲気のなかを心地良く1時間半ハイクアップ。西吾妻山はゲレンデトップから標高差200m程しかなく、歩く距離が短いながら絶景が楽しめるため人気のスポットでもある。この日も数組の登山客を見かけた。

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▲山頂付近ではミニスノーモンスターたちが出迎えてくれた。

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▲かかとが上がる装具を装着しているのでスキーでも歩ける。

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▲樹氷を横目に見ながら滑るのも天元台の醍醐味。

中大巓に着いたらシールを剥がして、休憩もそこそこにスキータイムだ。昨日滑った場所よりも標高の高いところから滑れるので、さらに雪も良く、より長く良いポイントを探しながら滑れる。そして昨夜も降雪があったので、雪が深く溜まっている。連日欠かさず降るとはさすが天元台だ。

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▲2日目も雪のコンディションは良好。

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▲木々の間を颯爽と駆け抜ける。いい雪が降り、板が走る。

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▲森の中に佇むだけで非日常を感じられる。

この日もノートラックを滑り続けることができた。しかも、軽い雪が降り積もったので、極上の浮遊感だ。中大巓から滑り出した方が滑れるラインの選択肢がグッと増えるため、スティープな斜面も滑れた。この雪の軽さは、ちょっと板を踏み込むだけで全身が沈み、サラサラの粉雪を頭まで被れる。

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▲今回ガイドをしてくれた近藤さんは天元台高原で「吾妻山 ペンションエーデルワイス」という宿を営みながら、マウンテンスクール&ガイズというガイドサービスも行っている。

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▲パウダーを滑る近藤さん。バックカントリースキーの他に、雪山登山、夏山登山もガイドしてくれる。

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▲標高を落としても最後までパウダーを滑ることができた。

途中から昨日と同じ明道沢へ滑り込んだが、昨日滑ったトラックも雪で埋まっており、リセットされていた。しかし、今日はさすがに何本か別グループのラインが刻まれている。しかし、それも気にならない程エリアは広いので関係なし。最初から最後まで天元台らしいパウダースノーを味わえた。

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▲最後は広い斜面を滑るパーティラン。

旅の疲れを癒してくれる温泉と米沢牛

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今回、旅の拠点としたのが、天元台高原の麓にある白布(しらぶ)温泉の『東屋(ひがしや)」だ。温泉は開湯700余年の歴史があり、いまもこんこんと湯が湧き続ける。四季折々の自然が彩る露天風呂や、一つの岩石をくりぬいた「一枚石の石風呂」など魅力的な温泉がある。宿の名物である滝風呂は高さ3mの位置から温泉を流し、患部に当てることで整体治療効果をもたらすという。2日間滑った疲れもすっかり癒してくれた。
館内も木の温もり溢れる空間で、旅行客をあたたかく迎えてくれる。夕食には米沢牛や山形名物の玉コンニャク、米沢名物の鯉などを用いた豪勢な料理が食卓に並び、古き良き郷土の美食をたっぷりと堪能できた。

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▲雪景色を楽しみながらお湯に浸かれる広い露天風呂。

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▲滝風呂と内湯。少し熱目な湯温が冷えた体を温めるのにちょうど良い。

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▲広々とした客室。

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▲「日本秘湯を守る会」の会員宿でもある。

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▲米沢牛のしゃぶしゃぶや郷土料理など風情を感じる料理が味わえる。

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