「人生は、どこへ行くかではない。どう楽しむかだ」を体現する企画、UNMAP YOUR LIFE。今回は『ジープ グランドチェロキー L リミテッド(Jeep Grand Cherokee L Limited)』とともに青森県の名峰、百名山の一座でもある岩木山へ向かった。
青森県を代表する二座のひとつ、別名津軽富士
青森県の名峰、八甲田山(標高1,585m)とほぼ同緯度にあるもう一つの名峰、岩木山(標高1,625m)。どちらも日本百名山の一座として数えられる山だが、県内外から多くの登山客やバックカントリースキーヤ―が訪れる八甲田山に比べ、地元の人々が粛々と親しむ、どちらかというと控え目の存在感なのが岩木山だ。
麓の弘前市からは独立峰のようにどっしりと構える、八甲田山と並ぶ青森県のシンボルとしてふさわしい立派な山容をもつ。
「八甲田山を滑ったときに見えたあの大きな山を滑ってみたい」いつしかそんな想いを抱くようになり、今回気の置けない仲間とともに『ジープ グランドチェロキー L リミテッド(Jeep Grand Cherokee L Limited)』で青森県弘前市へ向かった。
▲独立峰のようなその山容から“津軽富士”とも呼ばれる岩木山。
▲遮るものがない開けた景色のなか。岩木山を眺めながら車を走らせる。
▲道路の両脇にはリンゴ畑が広がる。背後には八甲田山がそびえる。
▲途中で出くわしたでこぼこの雪道。Grand Cherokee L Limitedならなんの心配もなくドライブできた。
天候不良でも雪質良好。ノートラックの斜面が広がる
岩木山への登行ルートは主に4つある。山の南側にある百沢スキー場から登るルートか、東面にある弥生いこいの森から登るルート、同じく東面の大石の里から登るルート、そして北面の『青森スプリング・スキーリゾート』から登るルートだ。
百沢スキー場はすでに21-22シーズンの営業を終了しており、ほかの2つのルートもフルハイクアップで、登るのに時間がかかるという理由で、今回は北面から登るルートを選んだ。
『青森スプリング・スキーリゾート』はハイクオリティのスノーパークとハーフパイプが常設され、日本代表選手の合宿練習やコンペティションの開催地としても活用されている。
21-22シーズンは機械設備の故障により山頂まで上がれるゴンドラが動いていなかったため、クワッド1のリフトに乗車して中腹まで行く。ここでクライミングスキンを装着してゴンドラ山頂駅までおよそ20分歩く。
そして山頂にあるバックカントリーエリアの入り口から岩木山へと本格的に登っていくことになる。
▲スキー場山頂付近には登山口の入り口となる標識がある。
▲雲の中を歩く。白神山地を思わせる広大なブナ林が霞んで美しい。
▲ガイドしてくれるのは『秋田アドベンチャーガイド』を運営する藤村岳毅氏。秋田県や青森県東部を中心にガイディングしている。歩きながら山の植生や歴史など、興味深い話を披露してくれて山を登っている疲れも忘れてしまうようだった。
岩木山は3つのピークから成る山だ。その姿はちょうど“山”の字に喩えられる。一番高い山は真ん中の岩木山、そして南西に鳥海山(ちょうかいさん)(標高1,502m)、北東に巌鬼山(がんきさん)(標高1,457m)がそびえる。
山頂付近は森林限界になっており一本の木も生えない荘厳な世界が広がるが、『青森スプリング・スキーリゾート』から登る北面は日本海から吹き付ける強い風によって、雪面を波のようにうねうねした地形の“シュカブラ”だらけになっている。なので、山頂直下を滑ることはほとんどなく、登るのも手前の西法寺森(さいほうじもり)(標高1,288m)付近までだ。
西法寺森まで登っても視界が晴れる気配は一切なく、視界の開けそうな沢を目指して滑ることにした。
▲一本目のランは極上のパウダーの中を。前日に降雪はなかったが、数日前に降った雪が残っていたようだ。
▲写真のように踏めば跳ね返りも楽しめる雪。
関東では春の訪れを告げる陽気が続いていたが、本州最北端のここではまだまだハイシーズンのようなパウダースノーが温存されていた。比較的訪れる人も少ない岩木山だからだろうか、どこを見てもノートラックの斜面が広がっている。このラインも滑りたいし、あのフェイスも魅力的だ、そんな会話をしながら誰が、どこをどのような感じで滑るか? 胸を躍らせながら話す時間も楽しい。
▲薄く雪が積もったブナ林の中を滑る。
▲このようにパウダーも舞う。
▲最後の一本はみんなでパーティラン。極上の雪質で最高の一本を滑った。
ガイドの藤村氏曰く、「岩木山は当たり外れがない山なんです。晴れればそれはそれで素晴らしい景色ですが、曇りや雪といったイマイチのコンディションでも雪のクオリティは担保されていてやっぱり楽しい。それが岩木山なんです!」
滑りたい斜面があちこちに広がっていて、天候の悪さを忘れてしまうくらいしっかり楽しんで1日目を終えた。
2日目も朝は曇りだがお昼にかけて徐々に晴れ間が広がる予報だ。同じようにクワッド1のリフトから登行を開始する。昨日と違って、曇ってはいるものの視界がある。昨日見えなかった西法寺森の小ピークが歩いている途中から見えた。
▲山の中腹からは弘前市内と陸奥湾も見えるようになる。
▲バックカントリーエリアには現在地を示す指標が設置されている。
西法寺森手前の目標地点まで来たら上空を覆っていた雲も無くなり、一気に視界が開けた。我々の到着を待っていたかのように岩木山山頂も姿を現した。この絶好の機会を逃すまいとハイクモードからスキーモードにしてドロップ。
▲左上に見えるのが岩木山山頂。一面真っ白な斜面へドロップする。
▲厳しい自然環境を生き抜くブナの巨木がぽつんと生える。
山頂付近の雪質はところどころ凍っていて注意が必要だ。しかし、弾力のあるクリーミーな雪で板を踏むとほどよい跳ね返りも楽しめる。絶景のなかで最高の一本を滑りきり、みんなが安堵の表情を浮かべる。
その後は良さそうなポイントを探しつつ標高を下げて、『青森スプリング・スキーリゾート』のボトムを目指す。
▲ガイドの藤村氏もスプレーを巻き上げながら颯爽と滑り降りる。麓のつがる市方面の景色もいい。
▲木の下など風を受けにくい場所では雪が溜まっていた。
▲本州の他のエリアではもう春雪という時期でも、まだまだフレッシュな雪質。スキーが走るので爽快感も抜群。
▲下山は『青森スプリング・スキーリゾート』から。
終わってみれば、シーズン最後の最高のパウダーデイだった。岩木山はスキー場を経由すれば体力を温存でき、人の出入りも比較的少ない。それでいて滑走欲をそそる斜面が豊富、というスキーヤー、スノーボーダーにはこのうえなく魅力的な山だった。
今回岩木山を滑るにあたり、旅の拠点として選んだのが山のふもとにある『アソベの森 いわき荘』。百沢スキー場のすぐそばにあり、スキー客も多く訪れるホテルだ。
▲料理は囲炉裏で焼く炭火焼プラン。陸奥湾名物のホタテも並ぶ。
▲食事スペースは古民家をイメージした風情ある空間に。数百年前にタイムスリップしたような気持ちになる。
▲温泉を出たあとの休憩スペースが広々としているのも嬉しい。
▲玄関に入ると広々とした吹き抜けのロビーに。リッチな旅の気分を演出してくれる。
▲エメラルドグリーンに輝く百沢温泉は「ナトリウムマグネシウム炭酸水素塩塩化物泉」とその泉質名も長く、さまざまな効能がある。
地元の海鮮食材をはじめとした豪華な料理に舌鼓をうち、今日の滑りの話を仲間と語らう。温泉では身体を休めながら次のトリップのイメージを膨らませる。さあ、次はどこへ行こうか。