【Jeepオーナーインタビュー】“異なれ”の精神でJeepと共鳴する、車いすバスケットボール界の革命児・鳥海連志
自分が叶えたいことを叶えていくために“異なれ”
本物を目指した先のオリジナルと続く挑戦
これまで目標としていた大舞台で確かな結果を残し、それ以降はゆっくり休息を……と思いきや、銀メダル獲得の立役者で大会MVPを獲得したニュースターが放っておかれるわけもなく、鳥海氏はさまざまなメディアに引っ張りだこの時期が続く。それはスポーツ界のみならず、アートやファッション界など多岐にわたった。
「東京が終わってからの数ヵ月はメディア出演をはじめ、バスケットボール以外の仕事をたくさんさせていただいて、いろいろな人に出会えました。今までにない体験を通して、僕の中で今は“いい循環の中にいる”感覚がすごくありますし、純粋に楽しかったですね。今後は個人的にはYouTubeをやりたい。現状では発信するメインはインスタグラムですが、出会いとかを含めてなかなかうまく発信できないので。ひとりでやるのは難しいのでまだ踏み込めていないですけど、それこそYouTubeでJeepに乗って車中トークとかやりたいですね」
ここまで話してきて、鳥海選手の涼やかな眼差しと整理された言葉からは、俯瞰的に物事を捉える性格が伺えた。ただしそのことを本人に伝えると、「半分は正しくて、半分は違います」という意外な返答が。
「ええと……僕は言葉を選ばなければ自己中心的な性格ですし、“自分が叶えたいことを叶えていく”というのが、人生において大切にしていること。例えばJeepに乗るためにはロジックを立てて、戦略的に実現させていくことが必要ですよね。普段からそういう考え方を意識的にしているので、そういった部分が俯瞰して見る、みたいなところに繋がっているのかと。ただ簡単に言えば、ずる賢いんですよ」
そう言いながら見せる笑みにはまったくといって嫌味が感じられず、もしかしたら鳥海連志という人間のそういった自己プロデュース力、言葉を変えると“やんちゃさ”のような部分に魅力が詰まっているのかもしれないと感じた。そしてそんな彼が大事にしている言葉がある。それは「優れるな、異なれ」。
「オリエンタルラジオの中田(敦彦)さんが言っていた言葉で、聞いたときに僕の中にすっと入ってきて、それ以来ずっと大切にしています。リオのときを思い返すと、僕はスタメンではなくてベンチスタートでした。車いすバスケは障がいに応じて持ち点が決められているのですが、僕と同じ2点で、ただ僕とは違う仕事人のようなプレーをする先輩をずっと追いかけていました。ただあるとき限界を感じて、そのタイミングで出会った言葉が『優れるな、異なれ』。先にもう誰かがいるのであれば、その道の先頭は自分ではないし、異なった道を行けば、自分がその道の先頭になれる。そう考えて自分のオリジナルのプレーというものを見つめ直した結果、今のプレースタイルとなり、東京でスタメンを勝ち取って結果を残すことができたのだと思います」
誰とも被らない、本物のバスケットボールプレーヤーを目指した先にたどり着いた、鳥海連志というオリジナル。“異なれ”の精神で自らを確立した彼が、Jeepと共鳴したのも必然と思える。
「選手としては勝ち続けることが価値であることは間違いないですが、それとは別軸で大切にしなければいけないのが“人間性”。やはり選手として有能でも、人間性が欠落していると、それはプレーに出てきてしまう。人間性は意識的につくっていかないといけないと思いますし、競技者としてよりも、ひとりの人間としての方を僕はメインでいつも捉えているかもしれないです。これまでは東京で結果を残すという目標に向けて進んできましたが、それが終わって一度燃え尽きたところはあったので、去年の夏以降は練習をバリバリやるというよりは、楽しみながら自分がやりたいと思うタイミングでやるバスケットボールライフを過ごしていました。ただ年が明けてからは新たに目標設定をしているので、今はその目標に向けて、またバスケに取り組んでいます」
選手としては以前から興味があり、“東京”と“コロナ”がなければすぐにでも実現したはずの「海外へのチャレンジ」を探っているという鳥海氏。この約半年の間で、劇的に周囲の眼差しが変わったパラスポーツ界の新たなアイコンだが、彼が自分を見失うことはなさそうだ。むしろどっしりと地に足つけて、まるで未開の荒野を突き進むJeepのように、これからも鳥海連志だけしか歩めない道のりを切り拓いていくだろう。
▼PROFILE
鳥海連志(ちょうかい・れんし)
【INFORMATION】
ジープ横浜港北
〒215-0026 神奈川県横浜市都筑区荏田南2-10-25
TEL:045-945-0167
営業時間:10:00~18:00
定休日:火曜・第一、第三水曜(祝日は営業)
http://m037.gstcoltd.jp/
Text:ラスカル(NaNo.works)
Photos:大石隼土