小野塚彩那さんの自宅・民宿「勝田屋」へ訪問取材!飛躍を支える愛車『Grand Cherokee』と銅メダルの先へ
スキーもクルマも選択基準は、命を預けていい道具か、否か。
自分が知っている雪山といえば、リフトがかかって圧雪されたゲレンデのみ。風景もスキー場からの見慣れた景色しか知らない。なにかあればだれかが助けてくれる。でも、本当の雪山では自分だけが頼り。スキーの原点である山スキーがしっくりきた。
北海道ですっかりバックカントリースキーの醍醐味を知った彩那さんは、地元新潟に帰ってからも仲間とスキーで雪山に登った。しかし、しばらく封印は続く。2018年の <平昌冬季五輪>を見定めているからだ。ケガをしたら一生後悔する。いま彼女の生活のすべては、オリンピックのためにある。
「今シーズンの目標は、ワールドカップで結果を残し、オリンピックの出場権を得ることです。そしてケガをすることなく、オリンピックに向けて万全の準備をする期間にしたいですね」
これまで年末年始であろうと海外の雪山に籠り、トレーニング漬けの毎日を送ってきた。しかし、今年の年末年始は6年ぶりに地元の石打ですごすという。
「年末年始は帰省してひさびさに家族と年を越す予定です。この帰国がフィジカル的に、メンタル的にどう競技に影響するのか、不安もありますが、楽しみですね。石打ナイターのパウダーを滑りたいなぁ」
バックカントリースキー封印と言いながら、しっかりゲレンデパウダーは狙っている。難しければ難しいほど燃える。あの人はできるのに自分はできない。オリンピアンになるべくしてなった、強い負けん気を垣間みた気がした。
年末年始の帰省しかり、最近スキーに向かう姿勢というか、日々の心の持ちように変化がでてきたという。一点集中型の突っ込みタイプから、一歩引いて客観的に物事を俯瞰する着実タイプへ。
「20代前半まではとにかく勢いで深く考えずに行動することが多かったです。でも最近はいろいろリスクマネージメントをしながら行動に移すことが多くなってきましたね。歳のせいかな(笑)」
それはフィールドと自宅とをつなげるクルマにも通じるところがあるという。
愛車『Jeep® Grand Cherokee (グランド チェロキー)』 を新車で乗り始めたのは1年半前。現在の走行距離は3万7000㎞。ざっと1年で2万㎞という計算だ。いや、1年の半分しか日本にいないのだから年に4万㎞か。
「もともと運転は好きなほうだと思います。でもこのクルマに乗り始めてからもっと好きになりました。安定感があって、長く乗っても疲れにくい。後部座席を倒せば荷室までフラットになってスキーセットを5本積んだことも。トレーニングの合間に昼寝もできます(笑)。Jeep®はアメリカのスキー場でもっともよく見かけるクルマで、ずっと憧れでした。吹雪のなかでおばあちゃんがジープから颯爽と下りてくる。かっこいいなぁって。とくに雪道での安定感はすばらしい。スキーと同じで、クルマも命を預ける道具。どんな路面状況でも体と気持ちよくつながって、安全に移動できるものでないと納得して使えません」
丸腰の人間を厳しい自然へ連れていってくれるたくましい道具として、クルマをライフスタイルに位置づけているアメリカンスタイルにも共感できるという。
第一線で活躍するアスリートだから、頭のなかはスキー一色、というとそうでもない。いま1週間の休みをあげるといったら、なにがしたいですか? という質問に間髪入れずこう答えた。
「サーフィンをしたいです。日本海はこれからがサーフシーズン。波にもうちょっとうまく乗れるようになりたいです」
グリーンシーズンはサーフィンのほか、SUPでの体幹トレーニングも始めた。北アルプスや八ヶ岳など本格的な山登りも経験し「次は長く縦走したい」という。< 五輪> メダリストの視野は雪山だけでなく、四季折々のフィールドへ広がっていた。そして山から下りた下界でも好奇心は尽きない。
インタビュアーの出身地が同郷の三条市だとわかると、彩那さんの話は思わぬ方向へと転がっていった。
「三条市にあるアウトドアブランドの社長さんの本を最近読みました。書店で偶然見かけておもしろそうって。社長自らユーザーイベントに参加して、現場で生の声を聞いて商品に反映する。好きなことをして、周りの人に喜んでもらえる仕事っていいなぁと思いました」かくいう彩那さんもオフには子どもたちにスキーの楽しさを伝えるイベントに参加している。
選手として、ときには指導者としてウインタースポーツの未来を見据えるようになった。そんな彼女を後押しするかのように、新潟県は石打丸山スキー場内に世界基準のハーフパイプを建設中だ。新しい遊びを柔軟に取り入れ、自然との接触を楽しみ、社会的な立ち位置を考え始めた28歳はなんだか頼もしい。
帰り際、ブルーベリーをお酢に3カ月間つけ込んだ果実酢をお土産にいただいた。
「ソーダで割って飲んでください」その果実酢のように日々熟成し、深みを増している新潟娘はソチよりも輝かしい色のメダルを目指し、今日もどこかの空を舞っている。
今回使用したクルマ
『Jeep® Grand Cherokee Laredo』ボディカラー:ブリリアント ブラック クリスタル
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Text by S.Moriyama
Photo by W.Sugimura