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2024.08.01

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    RealStyleスペシャルコラム『オフロードで行こう!』by 藤村育三 Vol.3【オフロードな贅沢】

    RealStyleにも度々登場するJeepオーナー・藤村育三さんによるコラム『オフロードで行こう!』がスタート!Jeepと言えばオフロード性能だが、実は日々の生活の中にも色々なオフロードがある!?第三弾となる今回は【オフロードな贅沢】。

    遊びの達人であり、YJ-JK-JLと『ジープ ラングラー(Jeep Wrangler)』を3代乗り継いできたJeep乗りの藤村育三が、自由・冒険・本物・情熱など、7スロットグリルが象徴するものを「オフロード」という独自の切り口で語る。

    第三回は「オフロードな贅沢」。Jeep乗りの感じる贅沢さは一般のそれとはちょっと違うかも。いろんな贅沢があっていいと思う、贅沢のメインロードをちょっと外れて自分の贅沢を探そう!

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    ▲ハワイ大好きな日本人でも知る人の少ないモロカイ島。だいたい、オアフ、マウイ、ハワイ島くらいまではさらっと出てきて、ハワイ通はさらにカウアイ、ラナイ……。なかなかモロカイまで言える人は少ないが、ハワイの伝統文化がいまだに生活の中に根付いているところ。今回の写真はこれを含めライカで撮ったものが多い。

    「冷蔵庫はビンボーの象徴って知ってた?」

    このセリフを聞いたのは15年前、モロカイ島で出会った生粋のハワイアンから。
    フィッシュポンドというハワイ太古の知恵の結晶とでも言うべき漁法がある。今で言う「サステナブル」な養魚池(ぜひ興味ある人は調べてくださいね)。僕はその共存のスタイルと自然の地形に少し人間が手を加えたフィッシュポンドの造形に感動し、当時企画していた写真の個展のために写真を撮りに行った。

    モロカイ島のフィッシュポンドの番人に友達なんてもちろんいない。ドライブしてフィッシュポンドを見つけて、その隣にある小屋でたむろしてる現地の人に「写真を撮らせてくれないか?」と話しかけた。

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    ▲大体同じ場所に2〜3度旅に行く。そこで出会った人の写真を撮ったらそれをプリントアウトして次にあった時にプレゼントする。その土地と人とコネクトできたら旅、ただ楽しむのは旅行、僕の中でそんな区別がある。もちろんこの写真もプレゼントした。

    「ちょうど今、友達が獲った鹿を焼くから食べながら話そうぜ」と小屋の前のBBQグリルに招かれた。そこで色々とフィッシュポンドの話を聞いたときにでてきたのが冒頭のセリフ。
    「実は、冷蔵庫はビンボーの象徴って知ってた?俺らみたいにリッチだと必要ないんだよ」
    短パンにヨレヨレのTシャツ、どう見てもお金持ちに見えない彼は言った。

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    ▲個展でも展示したフィッシュポンドを撮った写真。ここに太古からあるハワイアンの自然と共存する叡智が詰まっている。僕のジュエリー ブランドの名前もここからとって”fishpond”にしました。

    「必要なものを、必要な時に、必要なだけとる。いつでもとれたての物を食べる、これが一番リッチな食事だろ。俺らは目の前の海で伝統的な方法で獲った新鮮な魚、裏庭で採れた野菜とフルーツ、たまに鹿を撃って食う。なんでも揃ってるんだよ。だから大型スーパーに行って1週間分の食料を大量に買って冷蔵庫で保存する必要がないんだよ。」

    「どうだ、リッチだろう?」
    ガツンときた、本当に豊かだなって。それ以来僕の贅沢な物差しに「必要なものを必要なときに必要なだけとる。ため込まない贅沢」が増えた。

    そんな話をしながら、鹿肉を焼き始めるとポツポツとご近所さんたちが集まり始めてフィッシュポンドを眺めながらのランチが始まった。
    「ビール飲むか?」と聞かれ「ビールはどこで冷やしてるんだ?」って聞いたら、生粋のハワイアンは音がするようなニカっていう笑顔で答えた。
    「冷蔵庫に決まってんだろ」

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    ▲お金で買えない贅沢さで溢れた村。

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    ▲村での一コマ。パプアニューギニアでいろんな村を回った経験がいまの僕の贅沢な価値の基準になっているかも。いろんな村で「この村に初めてきた外国人」だった(笑)。

    「なんでもある」贅沢と「なんにもない」贅沢

    便利な高級なモノに囲まれる贅沢もあれば、なにもないからこそ生まれる贅沢もある。

    電気もガスも水道もwifiもないパプアニューギニアのジャングルの中にある村々。
    そんな村をSUPで川を下りながら訪れ、実際に村人のお家にお邪魔して泊まらせてもらうっていう本当にリアルなアドベンチャーツアーを企画し、ナビゲーターを10年以上やっていた。

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    ▲ツアーを開催する前、地元の若手リーダー的存在のドミニクとこうやっていろんな村を訪れて、各村長に許可を得て回っていた。外国人が言ったことのない村にこうやって行けたのもすごく贅沢な体験。

    どんな場所なの?って人に聞かれるたびに「なにもないけど全てある」場所だよ。って答えてた。素敵な場所だと伝えたいがあまり、たくさんの写真を見せたり、いろんな言葉で描写したりしても、所詮行ったものにしかわからない感動は伝えられないので諦めて、結局こうシンプルに答えるようになったわけだ(笑)。

    まるで禅問答のような言葉だけど、これが正真正銘僕のピュアな本音がこれ。
    「なんにもないけど全てある」

    ジャングルの中にはなにもない。エンタメもバーもない、スマホもただのカメラになる、特に日が暮れるとなにもすることがない。日中は大自然の中でいろんな冒険を楽しみ、晩ご飯を村人たちと一緒に食べる。そのあとは火を囲んで語りあうだけ。

    (楽しませてくれる便利なものは)なんにもないけど
    (幸せを感じられる要素は)すべてある

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    ▲この笑顔がもう幸せ度を物語ってる。左のバネッサはもう立派な大人になって、村で重要な役割を果たすようになった。

    ただ火を囲んでみんなで話すだけ。
    朝起きてぼーっと海を眺める。
    こんなシンプルなことだけど、なんにも気を散らすものがないからこそ、「今」「ここで」目の前の人や土地と向かい合える。
    こんな贅沢な体験は現代社会だとなかなかできない。

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    ▲「海辺での親子」ライカというこだわりの塊で瞬間を切り取る。

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    ▲この子どもたちも毎年会うたびに大きくなり最後にあった時にはみんな大人。大人になってもこの笑顔は変わらず。

    感性が研ぎ澄まされ、焚き火のぱちぱちという音が最高なBGMになり、ジャングルの中から聞こえる野鳥の鳴き声が最高のエンターテイメントとして楽しめるマインドになる。
    肩書きも収入もなんにも関係ないフラットな「ただ一人の人間」同士が楽しめる贅沢な時間。

    なにもないからこそ味わえる贅沢。
    豪華なものをプラスしまくるのもいいけど、ひたすら削ぎ落とすシンプルさで味わう贅沢感ってJeep乗りらしくない?

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    ▲助手席にライカを座らせて、気が向いたら写真を撮りながら旅する。丸一日あてもなく運転して辿り着いたのはここ。まるでロバートジョンソンの歌にでてくるようなクロスロード。ドアを開けて車を降りたとき足のうらに感じた砂や頬に感じた乾いた空気をいまだにはっきりと覚えている。ここにもう一度行きたくても行けない、それも感慨深い。

    「おもいっきり迷う贅沢」

    地図もナビも見ないで知らない土地で丸一日、あてもなく運転したことはありますか?
    目的地に何時につくようにと運転するのは常識的で当たり前。その当たり前の目的地も時間もとっぱらってただ無目的に気の向くままにハンドルを切っていたらすごいところに着いた。笑

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    ▲U2の有名なアルバムのタイトルにもなった、ジョシュアツリー。モハベ砂漠でU2を聴きながら走る。

    昔、アメリカを車で横断した。
    まだスマホもなく、レンタカーにオプション料金でつけたナビの性能も悪かった時代。みんながよくやるルート66をめぐる一人旅を僕もやってみた。確かに楽しい。ロードムービーの中に自分が迷い込んだような独特の浮遊感が心地よい。ただ、10日ほどたったころ小さなダイナーでハンバーガーを食べながら地図を見ていて、こう感じた「地図を見て運転するのに飽きた!」(笑)。目的地と現在地の距離感、そこまでの時間とガソリン……そして決めた。よし!今日はナビも地図もみないで丸一日走って迷ってみよう。迷うためにひたすら走る。適当に一日運転したら自分がどこに行っちゃうんだろう?? そう思っただけでちょっとしたワクワク感に包まれた。

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    ▲美術館で絵画をみているような感覚で次々とシネマティックな景色に出会える。

    結果、これはなかなか面白かった。知らない土地でフリーウェイを降りてただひたすら交差点を適当に曲がってみる。窓から出した左腕にあたる太陽のジリジリと風を感じ、ラジオから流れる地元のDJの選曲を聴きながら、エドワード・ホッパーが描いていたような景色を楽しむ。その結果たどり着いたのが冒頭の写真。助手席にあったライカを手に車を降り風景を切り取った。

    どこに行く必要もないのにひたすら走る、糸がきれた凧になった贅沢。今振り返っても人生のトップ3ドライブに入っている。

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    ▲やりたいことを全部積めて、どこにでも行けるラングラー。

    「自分の贅沢にいくら必要か知ってますか?」

    例えば2025年に本当にやりたいこと、欲しいモノ、行きたいところを全部書き出してみてほしい。そしてその値段を合算してみる。意外とそんなに非現実的な金額にはならないもの。僕は毎年年末に次の年にやりたいことをリストアップ、その合計金額をだし、それを12で割ったものを毎月稼ぐべき金額の指針にして「ハッピー予算」と呼んでいる。

    そしてその逆の金額も割り出す。社会人として最低限機能しつつ家族を養う「ミニマム予算」。この二つの数字が頭にはいっていると、「お金がない!!」っていう漠然とした不安から解放される。いくら足りないかが明確になるからだ。

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    ▲Jeep乗りの贅沢ってそんな実はお金かからない(笑)。

    不明確なものは不安になる、明確なものに対してはアクションを取れる。ミニマムとハッピー、二つの基準値があれば、「なんかお金たりない」っていう漠然とした不安は「●●●●円稼ごう!」と明確なモチベーションやチャレンジになる。僕は常々、貧乏は罪ではなく、いくら足りないのかを知らない(知ろうとしない)のが罪だと思っている。いろんな事情が重なってお金が足りない時も長い人生の中でたくさんあると思う、だけど明確にいくら足りない!ってわかったらあとはもう行動に移すだけ。漠然と「なんか足りない」って感じるのが一番不安。

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    ▲自然を全身で感じることのできる車ってそうそうない。

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    ▲遊びを仕事にして、仕事で遊ぶ。そしてラングラーに乗ると移動そのものも遊びになる。

    まあ世の中の一般的な「贅沢」っていう概念とはずれてるかもしれないけど、Jeep乗りの戯言だと思って読んでもらって、ちょっとでも皆さんの役に立てれば嬉しく思う。
    次回は、じゃあどうやって楽しく稼ぐ? 「オフロードなビジネス」論!

    コラムVol.1はこちら!

    コラムVol.2【オフロードな思考】はこちら!

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    https://www.jeep-japan.com/

    Main Photo:安井 宏充(Weekend.)
    Text&Photos:藤村 育三

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