インテリアデザインを刷新した新型Jeep Compassに試乗! 〜モダンで居心地のいいインテリアに囲まれて、オールマイティに使える魅力がさらに増した〜
グラスウォールのビルが似合う洗練されたデザインと、全長4,420mmという扱いやすいサイズ。Jeepのラインナップにおいて、Compassは都会派のキャラクターを持っている。そのCompassがマイナーチェンジを受け、新型へと移行した。モダンに生まれ変わったインテリアデザインを担当したデザイナーの言葉を交えながら、試乗インプレッションをお届けしたい。
パッと見た瞬間に、新しい『ジープ コンパス(Jeep Compass)』からソリッドで精悍な印象を受けたのには、ふたつの理由がある。
ひとつは、ヘッドライトとリアコンビネーションランプにフルLEDライトが採用されたことだ。ヘッドライトにはデイタイムランニングライトも内蔵されるため、昼間でもキラリとした存在感を放つ。ヘッドライトは従来型のキセノン式に比べて約2倍の明るさとなり、デイタイムランニングライトも備えることから、被視認性も高まっている。
もうひとつの理由は、ジープの象徴であるセブンスロットグリルの下に、車幅いっぱいに直線的な開口部が設けられたことだ。このデザイン変更によってボディがワイドに見えることで、どっしりと構えているような雰囲気を伝える。
コンパスのグレード構成は、『スポーツ(Sport)』『ロンジチュード(Longitude)』『リミテッド(Limited)』の3つ。2.4ℓ直列4気筒エンジンを搭載するのは全グレード共通で、スポーツとロンジチュードは6速ATが組み合わされ、前輪を駆動する。リミテッドは4輪駆動で、トランスミッションは9速ATを採用する。
今回は、リミテッドとロンジチュードに試乗した。
より広く、さらに上質に感じるインテリアデザイン
ドアを開けると、そこには従来型とはまるで異なる世界が広がっていた。ひとことで言うと、より広くなり、さらに上質になったように感じる。広くなったと感じる理由を、オンライン形式の取材会に出席したチーフインテリアデザイナーは、こう説明する。
「ダッシュボードの中央の左右に広がっている部分、クロームで覆われたこの部分をボルスター(長枕の意)と呼んでいますが、ここが広がりを感じさせるのです。以前のコンパスはより筋肉質なインテリアデザインでしたが、新型はシームレスに水平方向に伸びる、よりオーガニックな造形を目指しました」
確かにボルスターのおかげで、室内の幅が広くなったように感じる。では、上質になったと感じる理由は何だろうか? チーフインテリアデザイナーは、こんな風に語った。
「目指したのはテーラーメイドのスーツで、だぼだぼのジャンプスーツではありません。インテリアのテクスチャーにはソフトに見えるような素材を選び、機能をコントロールするためのスイッチやパネルに用いるメタルやガラスといった素材にもこだわっています。たとえばエンジンのスターターボタンをご覧ください。“ジュエリーのように”見えませんか? ドライバーとクルマの最初の接点だから、スペシャルな体験をしてほしいと考えたのです」
実際に腰掛けて見ると、ひじ掛けやシートなど、身体が触れる部分の感触も滑らかだ。また、センターコンソールの収納容量が約2倍になるなど、機能面にも配慮されている。
機能面の変化で一番大きいのは、ダッシュボードの中央に位置する10.1インチの大型タッチスクリーンだろう。空調やオーディオを直感で操作できるほか、クリスによれば情報の処理速度が約5倍に高められているので、反応が素早くなっている。
ここまで大掛かりなデザインの変更があった理由を、次のように説明した。
「ユーザーがクルマに求めるものは常に変化しています。Jeepが堅牢でタフなモデルだという根幹は変えない一方で、デザインやインターフェイスにはさらなる進化が必要です。私はインテリアデザインのスタジオを率いて6年になりますが、我々の仕事に誇りを持って、さらに前進したいと思います」
こうしたインテリアデザインの大がかりな変更のほかに、個人的にはリミテッドのフルレザーのシートと、ロンジチュードのプレミアムファブリックのシートはどちらもいい雰囲気で、甲乙つけがたかったことが記憶に残った。前者は贅沢で、後者は現代的だ。いずれにせよ、コンパスのインテリアが魅力的であることに間違いはない。
ここで、“ジュエリーのような”スターターボタンをプッシュして、試乗をスタートする。
快適な乗心地と頼りになるエンジン
リミテッドで走り出してすぐに感じるのは、余裕のある加速フィールだ。その理由は、すぐに思い当たった。“小排気量エンジン+ターボ”というダウンサイジングしたパワートレーンが主流となる中で、コンパスは2.4ℓの自然吸気エンジンを積むのだ。ターボエンジンに比べてナチュラルにパワーが盛り上がるこのエンジンのおかげで、加速が上品だと感じるのだ。
上品だと感じるもうひとつの理由は、9速ATとの連携のよさ。ほとんど変速ショックを伝えないから、加速がシームレスなのだ。注意深く観察すると、早め早めのシフトアップで省燃費を心がけていることがわかる。
コンパクトなサイズから想像するよりも、はるかにしっとりとしている乗り心地も好印象だ。特に高速道路では、スピードを上げるほどに乗り心地はゆったりとするので、どこまでも遠くへ行きたくなる。高速道路の走行でもエンジンのパワーは十二分で、合流や追い越しでも、涼しい顔でステアリングを握っていられる。
エンジンに頼りがいがあることと、穏やかな乗り心地に関しては、乗り換えたロンジチュードでも共通だった。
新たに加わった安全装備が、死角にいる車両との衝突回避を図るためにステアリングを自動で補正する“アクティブ レーン マネジメントシステム”。たとえば斜め後方にいる車両に気づかずにステアリングを切ると、衝突を防ぐように反力を与えるというものだ。
この機能を試すことはかなわなかったけれど、フロントカメラが道路標識を読み取ってメーターパネルに表示する“トラフィックサイン・レコグニション”の恩恵には授かった。高速道路上で、法定最高速度が低くなる場面で、速度オーバーしたまま走り続けるというリスクを減らしてくれる。
仮に速度オーバーしたままだと、法定速度を認知して速度を制御する“インテリジェント スピード アシスト”が作動する。
都市部の狭いコインパーキングに停める時には、サラウンドビュー カメラが人や障害物の存在を教えてくれて重宝した。これはリミテッドに備わる装備で、車両を真上から俯瞰する映像をタッチスクリーンに表示する。従来から装備される歩行者・サイクリスト検知機能付衝突被害軽減ブレーキやブラインドスポットモニターなどと合わせて、安全装備はより安心をもたらすようになっている。
前述したようにリミテッドは4輪駆動のセレクテレインシステムを備える。今回はドライの舗装路面での試乗だったので大活躍の機会はなかったけれど、トグルスイッチの操作で「SAND/MUD」「SNOW」「AUTO」という3つのモードを選べるほか、悪路での駆動力を高める「4WD LOW」と「4WD LOCK」を選択することができる。「悪路でも雪道でもドンと来い!」と思えるのは、心強い。
居心地のいい室内空間、快適で余裕ある乗心地とパワートレーン、そして充実した安全装備と本格的な4駆システム。都会派のキャラクターを持つコンパスだが、実際に乗ってみれば、家族や仲間と遠出するにも適したクルマだということもわかる。都市部から荒野まで、これ1台ですべてをこなすオールマイティなモデルで、今回のインテリアデザインの変更によってその魅力がさらに増したのだ。
今回使用したクルマ
『ジープ コンパス リミテッド(Jeep Compass Limited)』
【主要諸元】
全長:4,420mm/全幅:1,810mm/全高:1,640mm/最低地上高:180mm/車両重量:1,600Kg/乗車定員:5名/エンジン種類:直列4気筒マルチエア16バルブ/総排気量:2,359cc/使用燃料:無鉛レギュラーガソリン/最高出力:129kW(175ps)/6,400rpm[ECE]/最大トルク:229N・m(23.4kg・m)/3,900rpm [ECE]/4輪駆動(オンデマンド方式)/全国メーカー希望小売価格¥4,350,000〜(消費税込)
※価格は2021年7月1日現在の価格です。
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商品に関するお問い合わせは、FCA ジャパン株式会社まで。
ジープフリーコール 0120-712-812(9:00~21:00、無休)
https://www.jeep-japan.com/
Text:サトータケシ
Photos:安井 宏充(Weekend.)