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2016.03.25

春の陶器市で盛り上がる栃木県。益子焼の人気陶芸作家・寺村光輔さんにインタビュー!Jeep®にも通じる“ものづくり”への姿勢とは。

人気陶芸作家・寺村光輔さんインタビュー

160309_YK_00141-706x470 春の陶器市で盛り上がる栃木県。益子焼の人気陶芸作家・寺村光輔さんにインタビュー!Jeep®にも通じる“ものづくり”への姿勢とは。

――寺村さんは吉祥寺の陶芸教室で陶芸に出会われたそうですね。当時、どんなところに惹かれたんでしょうか?

今はもうないんですが、井の頭公園のすぐそばに陶芸教室があったんですよ。その頃は土を触る時の感触であるとか、上達していくことの楽しさに惹かれていたんだと思います。そこに2~3年間通っていたところ、同じ教室に通われていた方から国際基督教大学(ICU)のアトリエを紹介して頂いて独学で陶芸を学んでいきました。その時、以前からそこにいた方々が益子から原料を調達していたので、僕も益子の土や釉薬を知りました。そして「一度益子に行ってみよう」と大学3年生の夏に初めて益子にやってきたんです。

――初めて益子に来られた時、どんな魅力を感じましたか?

いい空気の流れている街だな、と思いました。その時はまだ住むとは決めていなかったんですが、その後陶芸の面白さや深さがだんだんと分かってきて、さらに本格的に勉強しようと思って益子に住むことにしたんです。

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――好きなものに引き寄せられるような形で益子に来られたんですね。

それで親方の工房に入らせていただいて、陶芸家としての修行が始まりました。ひたすら工房で働いて、夜は自分の勉強をして、帰って寝るだけという生活でしたね。ろくろの練習をしたり、釉薬のテストをしたり・・・。

――そうした日々の中で自分のやりたい陶芸が見つかっていったのでしょうか?

そうですね。たとえば、天然の灰を使っているのもそうです。りんごの灰やお米のもみ殻の灰で、藁の灰など毎年色々な灰を試しますが、同じようなやり方で焼いても、同じものにはならないのが面白いんです。また、土も益子本来の鉄分を含んだ粗い土を多く使うことで、生地から鉄分が噴く。僕はその風合いが、益子の土本来のよさだと思っているんですよ。

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写真下:鉄分の多い益子の土の成分が引き出されて、益子焼ならではの味わい深い模様に。

――それ以降、陶芸家として活動をしていく中で、印象に残っている出来事があれば教えてください。

独立して3年目の頃、初めて自分の個展を開いた時に、かなり気合を入れて準備をしたんですが、全然売れなかったんです。そこで、以前から素敵だと思っていた水道橋の『千鳥』さんというお店に持って行って感想を伺ったところ、店主の方がしばらく迷われた後に「釉薬の質感や土の感じがいいですね」「でも、うちは食器屋なので、何に使うかを提案できなければ紹介はできません」と言われてしまい。修業時代はひたすら量産しやすい同じサイズのものを作っていましたが、独立直後はその反動もあり、僕は一定の形で作ることを辞めていました。そこをはっきりと指摘されたことが、僕のその後の転機になっていったんです。

――つまり、使う方のことを考えて器を作るのが大切ということですね?

そうです。器を手に持って食事をするのは、世界的に見ても日本だけなんです。なので、重さのバランスや質感がとても大事になってくる。また、器は料理が盛られて初めて完成するものです。ですから料理が引き立つように余計な装飾はせずに、食器は食卓の中の脇役でありたいと思うようになりました。ところが、ある料理家の方にその話をした時に、その方は「いやいや、料理も食卓の脇役なんだ」とおっしゃっていて。「どんな人と、どういう環境の中で食事を共にするかの方が大事だよ」と言われていたのが、さらに印象に残っていますね。

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――では、寺村さんがお仕事をしていく上でこだわられているのはどんなことでしょう。

ひとつひとつの工程を手を抜かずにやること、ですね。一見当たり前のことではありますが、灰を燃やしたり土の配合を自分で作ったりと、実際に器を作るまでには様々な準備が必要です。でも、その手間を惜しんでしまうと、本来出したい質感を出すことはできない。ですから、そこは一番のこだわりと言えるかもしれません。そうして出来た器をお客様に選んでいただいたり、「作家ものの器を買うようになってから料理への意識が変わった」と言っていただいたりすると、とても嬉しい気持ちになりますね。

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――そうして伝統芸能の世界に身を置きながら、同時に新たな可能性にトライしていく寺村さんの姿には、多くのJeep®オーナーの方々が共感すると思います。寺村さんは、Jeep®にどんなイメージを持たれていますか?

学生の頃、Jeep®を乗っている方を見て「かっこいいな」と思ったり、憧れがありましたね。実は今、お世話になっている美容師さんがJeep®に乗っているので、たまに乗せてもらうこともあるんですよ。

――益子からドライブをする際、オススメの景色や場所があれば教えていただけますか?

益子は、田植えをする直前の水を張っている状態の風景がとても綺麗なんです。ちょうど田植えは陶器市の前後に行なわれるので、僕は準備があってゆっくりと見ることは出来ませんが、陶器市に向かう際などにはやっぱり綺麗だなと思います。それから、那須方面は益子からも日帰りで行けるエリアなので、これからの季節のドライブはオススメですよ。いいクルマに乗れば、ドライブも楽しいと思いますしね。

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――最後に、寺村さんの過去のドライブでの思い出を教えてください。

修行時代、後輩と一緒に夏休みを使って青森の窯元までクルマを乗り継いで行ったことがありました。途中で立ち寄りをして温泉に入ったり、アウトドアグッズを使って寝たり、道の駅に立ち寄ったり――。今思うと、若いからこそ出来たことだったのかもしれないですが(笑)。その時、青森の窯元に着いて飲んだ水が美味しかったことを、とてもよく覚えています。

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今年の<益子 春の陶器市>は4月29日(金)から5月8日(日)まで。ぜひ、現地で寺村さんの陶器の魅力に触れてみてはいかがだろうか。

Text:Jin Sugiyama
Photos:YosukeKAMIYAMA