Jeep史上初のバッテリー式電気自動車、アベンジャー!実車を目撃するため九州・宮崎へ。これを機に、Stellantisジャパン新代表取締役のインタビューを交えつつ、Jeepが推し進める電動化計画を再確認する。
アベンジャーはレネゲードより小さいスモールクラス
まさかこんなに早く実物を拝めるとは!? これが率直な感想だ。2022年10月のパリモーターショーで世界公開され、なおかつ2022年12月より販売が始まったばかりの新型『ジープ アベンジャー(Jeep_Avenger)』。
2月中旬に宮崎で行われたStellantisジャパンのディーラー・カンファレンス。その会場にアベンジャーがやってきた。一足早く全国のディーラーに披露するためイタリアから空輸し、会の終了とともに韓国へ送られるというから、地球規模の人気を誇るロックバンドのワールドツアーより慌ただしいスケジュールだ。
何はともあれ、Jeep史上初のバッテリー式電気自動車(BEV)。『ジープ グランドチェロキー (Jeep Grand Cherokee)』を頂点とするアーバンSUV連峰に属するように見えるが、流麗なボディラインと張り出しの強いフェンダーによる全体的なフォルムと、お馴染みの7スロットグリルを備えながらグリル内に特別なグラフィックを用いた面構えは、従来のJeepの流れを汲みながらも新しい水源を感じさせる。
注目は、グリル内にあしらわれた青い「e」のバッジだ。『ジープ レネゲード (Jeep Renegade)』やグランドチェロキーのPHEVは「4xe」と呼ばれるが、今後に続くBEVはこの「e」で示されるらしい。
巧みに疾走感をまとめ上げたアベンジャーのボディは、意外にもレネゲードより微妙に小さかった。たとえば全長は、レネゲードの4,255㎜に対して171㎜短い。全幅・全高・ホイールベースのいずれもコンパクトクラスのレネゲードが上回っていることから、ラインナップではスモールカーという新しい位置付けになるという。
とは言え、室内に窮屈さは感じられない。カーゴ容量も最大321ℓで、バッテリー搭載による積載量の犠牲はないようだ。
充電走行距離は約400㎞。駆動するのは前輪のみだが、SAND・MUD・SNOWなどの悪路を含めた6種のドライブモードが備わる。電気自動車らしさを覚えたのは、シフトレバーがないこと。シフト操作はパネル上のスイッチで行う。慣れの問題だが、最初はたぶん戸惑うだろう。
日本での発売は、2024年の春以降を予定。目の前のアベンジャーは欧州仕様そのままで国内登録も済んでおらず、試乗の機会は先送りとなった。ただ、撮影のために敷地内を低速で移動する様子を眺めて、なぜか「やっぱりJeep」と思った。フォルムなのか、7スロットグリルなのか、はたまたJeepのバッジがついているからか。まったくの新型ながら既視感を覚えた理由は、後に判明する。