Interview

2021.08.03

【Jeep Real Games】今しかできないことは全部やりたい!〜スラックラインライダー・福田恭巳氏〜

独自のカルチャーとパフォーマンスで人々を魅了する5種目で、世界屈指のバトルを披露するスポーツコンペティション『Jeep Real Games』。各競技のメンターを紹介する第2回は、スラックラインライダーの福田恭巳(ふくだゆきみ)氏が登場。

Jeepが実施するRealスポーツコンペティション『Jeep Real Games』。独自のカルチャーとパフォーマンスで人々を魅了する5種目(パルクール、BMX、ダブルダッチ、スラックライン、フリースタイルフットボール)で、世界屈指のバトルを繰り広げる。本大会における各競技のメンターを紹介する第2回は、スラックラインライダーの福田恭巳(ふくだゆきみ)氏が登場。前人未到の全日本選手権5連覇を達成した後、結婚・出産を経験。自分や環境が変化していく中でも最優先させたい思いをたずねた。

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▲メンター・福田恭巳氏と『ジープ レネゲード リミテッド フォーバイイー(Jeep Renegade Limited 4xe)

全日本選手権5連覇の女王に不可欠な資質

体操の平均台の半分しかない幅2インチ(約5cm)のベルトに両手をかけた瞬間、その周囲から重力が消えたように感じられた。無論、約1トンの張力をかけるというベルトの弾力を利用しているのはわかるが、一定のリズムで高々と弾み深々と沈む姿は、あまりに軽やかで自由だった。

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そんな様子だけでもこちらは息を呑みながら見守っているのに、「グラブしますね」とさらっと言っては空中で足をつかみ、「あまり得意じゃないんですよ」と前置きしながら前方宙返りをして見せる。かと思えばベルトの揺れを全身で吸収し、スプレットという大開脚を披露する。

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「演技では得点が低いんですけれど、キレイな姿勢を保つのが私の見せ場なんです」
それがスラックラインというスポーツ。厳密に言えば、アクロバティックな技を繰り出すトリックラインと呼ばれる種目。福田恭巳氏が生きてきた世界だ。

2011年から2015年まで日本オープンスラックライン選手権を5連覇。2013年にはスラックライン世界ランキング女子1位を獲得した。そうした戦績の記述だけでも、殿堂入りの女王の風格をそなえていると言っていいだろう。

けれどスラックラインの上にいる福田氏には、まったく別の印象を覚えた。いかに慣れた場所とは言え神経を張り巡らせてはいるのだろうが、それすら感じさせないほど、彼女の表情は明るい。というか楽しそうなのだ。

「大したことなんかしなくても、なんか笑っちゃうんです」
これは、後に福田氏が語ったスラックラインの魅力である。

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「練習した分だけ成果が出るし、それで人の心を動かせたときは言葉にできない達成感があるんです。ただそれよりも、やるたび楽しくなっちゃうスラックラインの面白さに惹かれ続けている感じですね」

返す言葉を失った。素人目には頼りなく見えるベルトに身を預けるというのに“なんか笑っちゃう”人が存在するなら、もはやその競技で他に勝てる人間がいない気がしたからだ。あるいは、競技の本質を自然とグラブできる感性こそが女王に不可欠な資質なのかもしれない。

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「自信があるものを最優先させることに迷いはありませんでした」

福田氏がスラックラインを目撃したのは高校2年生のとき。部活動のスポーツクライミングを練習していたジムで、当時はまだ珍しいアクティビティとして紹介されていた。
「週1回の体験を積むうちに、こっちかなと思うようになりました。クライミングのストイックさも嫌いじゃなかったのですが、人にパフォーマンスを見せたい。見て楽しんでもらいたいという気持ちが勝っちゃったんですね」

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そこには遺伝的要素も関わっているようだ。両親ともにダンサーで、祖母もかつては踊り子。自身も幼い頃にはダンスを習い、舞台に立つのが好きだったという。
「絶対優勝できると信じて、高校3年生で初めて全日本選手権に出たのは、2010年の秋です。ところが2位。両親も呼んでいたので余計にショックで、その悔しさが翌年からの優勝につながっていったと思います」

そうして前述の輝かしい成果を挙げていく。日本のスラックラインの先駆者という形容詞とともに。しかし、当人にパイオニアの自覚があろうとなかろうと、国内では未開拓な領域だっただけに練習の方法や場所を教えてくれる者はおらず、すべてを自力で切り拓いていくしかなかった。

「今はマットを用意して練習しますが、昔は敷かずにやっていました(笑)。やっと見つけた海外のスラックラインの動画に、地面が映っていなかったせいだと思うんですよね。でも、技の難度が上がるにつれ、スラックラインの高さも最初の80cmから現在は160cmになりましたから、そのうち“マットあったほうがいいかも?”となって。そうやって何かを一つずつ発見していくのも楽しかったんです」

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スラックラインのベルトを張るのに必要な森の練習場も、人伝で探し当てた。大会での優勝を目指していた時期は、機材を積み込んだクルマを運転し、しかも経費削減で高速道路を使わず片道1時間以上かけて通い詰めた。スラックラインの設営から撤収を含め、すべて一人きりで。そこまでスラックラインに賭けた思いの強さはどこから沸いたのだろうか?

「将来の目標というのが、私にはよくわからないんです。幼い頃から“今したい! 今しかない! 今なら行ける!”という感覚が強かったんですね。全日本の連覇中は特にそうで、自信があるものを最優先させることに何の迷いもありませんでした」

そして、“今”は確実に変化していく。しかし福田氏は、それに抗うことはしなかった。

「いろんな人のパフォーマンスから刺激を受けたい」

「なんだか消しゴムみたい」と無邪気な感想を口にする彼女に、「それはレネゲードが白いからでしょう(笑)」と誰かがツッコミを入れた。

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「Jeepと言えばジープ ラングラー(Jeep Wrangler)のゴツいイメージが強いですが、レネゲードには優しい印象がありますね。私でも運転しやすいから、旦那さんと娘と3人でキャンプに行けたら楽しそうです。娘にスラックラインですか? どうですかね……。もうすぐ3歳になりますが、なんとなくスラックラインに興味があるみたいですよ」

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6度目の全日本制覇を遂げた翌年の2018年。福田氏はスラックラインの仲間と結婚し、娘を授かった。元から細身の体型ゆえ、出産後の体力回復には思いのほか時間がかかったそうだが、それもまた……。

「子どもを産むのも今しかできないことだったし、娘と過ごす現在の暮らしも大事です。アスリートであり続けるなら結婚や出産は負担になるかもしれませんが、私は優先順位の考え方次第だと思います。普段のトレーニングは娘を保育園に預けている間に集中して、自宅にいるときはヨガやピラティスをやるとか。欲張りかもしれませんが、今しかできないことは全部やりたいです」

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彼女が言うやりたいことには、自身の競技再開もあれば、スラックラインの普及活動も含まれている。
「初心者でもチャンレンジできるJeep Real Gamesにスラックラインを選んでいただけたことには、心から感謝しています。第1回は、その気持ちに応えようと一人ひとり真剣に審査させていただきました。スラックラインには敷居が高いイメージがあるようですが、Jeepが応援してくださるので気軽に参加してください。私もいろんな人のパフォーマンスから刺激を受けたいですから」

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『Jeep Real Games』が提示するのは、“今したい”という衝動を解放する機会なのだろう。スラックラインという日本では未開だった土地を楽しさ優先で切り拓いた福田さんの話を聞いて、そんな確信を持った。

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今回使用したクルマ

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ジープ レネゲード リミテッド フォーバイイー(Jeep Renegade Limited 4xe)

【主要諸元】
全長:4,255mm/全幅:1,805mm/全高:1,695mm/最低地上高:170mm/車両重量:1,790Kg/乗車定員:5名/エンジン種類:直列4気筒マルチエア16バルブインタークーラー付ターボ/総排気量:1,331cc/使用燃料:無鉛プレミアムガソリン/最高出力:96kW(131ps)/5,500rpm[ECE]/最大トルク:270N・m(27.5kg・m)/1,850rpm [ECE]/4輪駆動/電子制御式6速オートマチック/全国メーカー希望小売価格¥4,980,000〜(消費税込)
※価格は2021年8月3日現在の価格です。

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Text:田村 十七男
Photos:濱上 英翔

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