東京・渋谷のMIYASHITA PARKで、2024年5月10日から3日間開催された新型Jeep Wrangler発表イベント。今回は、「Famous for Freedom／自分を楽しむために、人生はある。」というキャッチコピーのもと、若い世代にも親しみやすいコンテンツが用意された。完全レポート Part１では、誰もが気になる新型ラングラーの刷新ポイントを紹介する。

7スロットグリルのデザインを改めた正常進化版

何よりも、2020年に生まれ変わったMIYASHITA PARKを会場としたのは、「Jeepのイベントと言えばオフロード」という従来のイメージを覆すのに十分な効果を発揮していた。
なぜ渋谷で新型ラングラーの発表イベントを行ったのか。その理由にこそラングラー第4世代（JL）初のフェイスリフトに即したJeepの思いが込められているのだが、これは後半でお伝えしたい。
まずは、Jeepファンが気になって止まないニュー『ジープ ラングラー（Jeep Wrangler）』の刷新ポイントを報告する。

【エクステリア】

▲アンリミテッド スポーツ

▲アンリミテッド サハラ

▲アンリミテッド ルビコン

Jeep伝統の7スロットグリルがブラックテクスチャーに改められた。グレード別でグリルサラウンドに異なる仕上げを実施。アンリミテッド スポーツとアンリミテッド ルビコンはニュートラルグレーメタリック。アンリミテッド サハラがプラチナシルバーとなる。

Aピラーに添って伸びていたマストアンテナを、全グレードで初めてフロントウィンドウシールドに統合。オフロード走行時の小枝の引っ掛かりをなくした。従来のマストアンテナの位置には「Trail Ratedバッジ」を装着。

▲Photo：望月勇輝(Weekend.)

フロントウィンドウにコーニングゴリラガラスを採用。スマートフォンやPCなどで使われている強化ガラスに改め、飛び石等による傷つき防止を図った。

▲Photo：望月勇輝(Weekend.)

ホイールデザインを変更。アンリミテッド スポーツは、グレーアクセント入り17インチアルミホイール×オールテレンタイヤ。アンリテッド サハラは、18インチアルミホイール×オールシーズンタイヤ。アンリミテッド ルビコンは、専用17インチアルミホイール×マッド＆テレインタイヤ。

【インテリア】
アンリミテッド サハラとアンリミテッド ルビコンのフロントシートに、ラングラーでは初の12ウェイパワーアジャスタブルシートを採用。オフロード走行時でも速やかなドライビングポジションの変更が可能になった。

フロントおよびリアに、これまたラングラー初のサイドカーテンエアバッグを全グレード標準装備。

新型12.3インチタッチスクリーンを全グレード標準装備。第5世代Uconnect5システムのインフォテイメントは、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応。

【走行系】
アンリミテッド ルビコンに、従来のセミフロート機構より強固かつ堅牢な構造のフル・フロート・リアアクスルを搭載。リアアクスルの負担がトルクのみとなるので、最大牽引能力の向上に寄与するという。

【価格】
アンリミテッド スポーツ　799万円
アンリミテッド サハラ　839万円
アンリミテッド ルビコン　889万円

【限定車】
ビビッドなイエローボディのアンリテッド ルビコン ハイベロシティ（10台）899万円

▲抽選受付は終了しています。

ラングラー生産工場があるトレドノースの地形柄フェンダーデカールとJeep誕生年の1941のロゴ入りデールゲートデカール。および限定色のアンヴィルをボディカラーとした、アンリミテッド サハラ ローンチエディション（300台）849万円

先にも触れたように、2018年に第4世代のJLとなってから6年目に登場した新型は、安全性能や使い勝手を向上させた、いわば正常進化版と見ていいだろう。ただし、7スロットグリルの意匠変更はこれまでにない表情となっただけに、今回のフェイスリフトでもっとも印象的なポイントになった。
それから価格設定。世界的な資材不足や為替レート等の影響を受け、どのブランドも値上げが続いている中、アンリミテッド スポーツをエントリーグレードとして用意するなど、新型ラングラーをできるだけ求めやすい価格に引き下げた。この意欲的なチャレンジは、新型発表会を都心で開いた理由とも密接にリンクしていた。

新型ラングラーで、よりエイジレスなブランドへ

「渋谷でZ世代にJeepをアピールしたい」
これは、新型ラングラー発表イベントの幕開けとなった5月10日のプレス発表会で、Stellantisジャパン代表取締役社長の打越 晋氏が放ったメッセージだ。2台の新型ラングラーを展示したステージ上での言葉は、次のように続く。
「しかし我々は、流行の最先端を狙っているわけではありません。今の若い世代には、自分だけの特別な価値を見出そうとする傾向がうかがえます。そんな若い人々が集まるMIYASITA PARKで発表会を開くことで、新型ラングラーの新しい価値に触れてほしいと思いました」

▲Stellantisジャパン代表取締役社長・打越 晋氏

3日間のイベントでメイン会場となったのは、MIYASHITA PARK屋上の芝生ひろば。ここには先述の通り、ステージ上に2台。原宿寄りのホテル前に1台。さらにSouth 1Fの渋谷寄りにも新型ラングラーが展示されていた。すべてのエリアは、一般客が自由に行き来できる導線に即しており、打越氏の言葉通り、誰でもJeepを目の当たりにすることができた。

とは言えラングラーは、20代前半がコアとされるＺ世代に響く存在になり得るのか？ この疑問に対し、同じくプレス発表会に登壇したJeepブランドマネジャーの新海 宏樹氏は、数字をもとに回答を示した。
「ラングラーユーザーの平均年齢は43歳。これは、他のSUVユーザーより10歳近く若い結果となっています。また、Z世代に向けたSUV購入検討候補の調査でも、ラングラーは輸入車のトップに位置しています。我々が目指すのは、Jeepに関心のある若年層にリーチしながら、ユーザー層の裾野を広げ、よりエイジレスなブランドへと成長させることです」

そのプランニングに不可欠だった施策の一つが価格改定だった。日本のラングラーが置かれた状況を、Jeepプロダクトマネージャーの渡邊 由紀氏が説明した。
「アメリカとカナダの北米を除き、2023年のグローバルでもっともラングラーを販売したのが中国です。日本はそれに続く2位ですが、その差は4,402台に対して4,078台と僅かです。また、国内の輸入ミッドサイズSUVセグメントでラングラーは、2020年、2021年に連続1位となったものの、2023年は3位になってしまいました。それらセールスの面でもナンバーワンになるため、各グレードで値下げを実行した新型ラングラーには大きな期待を寄せています」

言うまでもなく、価格だけがクルマ選びの条件ではない。しかし、あらゆる商品の値上げ情報が飛び交う現時点で、ユーザーに寄り添った新型ラングラーの価格改定は朗報に違いないだろう。ましてや廉価版の登場ではなく、様々な新装備を追加した進化版となれば、現ラングラーオーナーにとっても悩ましい話になりそうだ。
果たして新型ラングラーは、エイジレスの発展を実現する存在となるだろうか。今後のオーナーイベントで、新旧入り乱れたラングラーが集結する様子を目の当たりにしたいと思う。

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商品に関するお問い合わせは、Stellantisジャパン株式会社まで。
ジープ フリーコール 0120-712-812（9：00～21：00、無休）
https://www.jeep-japan.com/

Text：田村 十七男
Photos：大石 隼土