<ソチ五輪>メダリスト、小野塚彩那選手(フリースタイルスキー ハーフパイプ)が目指す、理想のアスリート像。
女子でも、ここまで飛べるんだよ
ー小野塚さんはフリースタイルスキー ハーフパイプ種目の選手ですが、もともとはアルペン競技の出身ですよね。
アルペンをやっていて、すごくよかったなと振り返っています。スキーの基礎が上達したというか、スキーのベースはアルペンですし、そこがあってこその今の私のスタイルでもありますから。私が<ソチ五輪>で銅メダルまで辿り着けたのは、絶対的にアルペンをやっていたからだと思います。今はこれまでの経験がすごくハマった状態にありますね。
ーアルペンからハーフパイプに転向を決めたときのことを聞かせてもらえますか?
家族を含め、周りからはかなり反対されましたね。アルペンは日本のスキー界で一番人口が多い競技なので、そこを捨ててまでハーフパイプに転向するのかと。それまでやってきた技術選というカテゴリーの中では、優勝するかしないかというところで期待されていた部分もあったと思います。でも、私は<五輪>に出たかったですし、全日本スキー技術選手権大会(スキーの総合技術を競う大会)をやっていても世界では活躍できないと思っていたから、ハーフパイプが五輪種目になったときに、思いきって転向したんです。アルペンでは速さを求めることしか知らなかったけど、今では自分のライフスタイルからもスキーに結び付いているものがあるような気がします。ハーフパイプに転向してからは型にとらわれなくていいということに気付き始めて、「スキーってすごく楽しい!」と感じるようになれたんです。
ーハーフパイプの何が小野塚さんを魅了したんでしょう?やっぱり「高く飛ぶこと」ですか?
単純に「滑って浮くこと」かな。パイプって横に滑っていくじゃないですか。スキーは真っ直ぐ下に向かって滑っていくけど、パイプは横に向かいながら下に降りていく感覚が新鮮でした。自分がこれまでやってこなかったスキーだから、「同じスキーなのに、こんなことができるんだ!」というエンターテインメント性が私にとっての魅力ですね。私は「女子でも、ここまで飛べるんだよ」というところを見せたいんですね。「え、女子なの?!」と驚かせたい。男子の中に入っても引けを取らない、ゴーグルを外したら女子だったみたいな驚きが理想ですね。私は他の人が真似できないことをやっていると思っていますから、そういう意味では、変わったスキーヤーなのかもしれませんけど(笑)。
ースポーツ競技である故に記録は大切だけれども、どれだけ自分を出せたのか、観客の印象に残ったか、そういった数字に表れない部分も大切だと思います。
すごく大切です。最近、海外の大会に出ていて思うのは、とにかく観客の歓声がすごいんですよね。私にとってハーフパイプの魅力は高さであって、私は他の選手より高さを出せるので、女子でかなり高く飛べる人はなかなかいないんです。滑りというよりも、高さを見せることで客席が沸いたときはものすごく嬉しいですね。日本人はそういったところで消極的ですから、そういう意味では「今日も客席を沸かせてみせるぞ」という気持ちでスタートしていますね。