75年のヒストリーが証明するJeep®の実力と魅力を聖地モアブで体験してきた Part 2
オンでもオフでも完璧な振る舞いを見せる『Grand Cherokee』
次に試乗したのはJeep®のフラッグシップモデルであるグランドチェロキー。先日「75th アニバーサリーエディション」の第2弾として発表された75周年記念モデルは、フロントフェイスを一新し、燃費向上と安全装備も強化されるなど、魅力が詰まった特別限定車にマイナーチェンジが施された。昨今プレミアムブランドがこぞってSUVをラインナップするようになったが、そもそも「SUV」と「プレミアム」を最初に融合させたのはJeep®だ。60年代の初めに登場したグランドチェロキーの前身に当たるワゴニアこそが、プレミアムSUVの元祖的存在だ。
プレミアムSUVの中には、姿かたちこそSUVだが、オンロードでの動力性能や快適性に特化し、悪路走破性を二の次にしているモデルも少なくない。けれどグランドチェロキーがほかでもないJeep®のフラッグシップである以上、それは許されない。一級の悪路走破性を備えつつ、ライバルが売りにするオンロードでの動力性能や快適性も求められるのだ。
先ほどまで、車体の腹を打って亀の子状態になってしまわないか、また砂地でトラクションを失ってスタックしてしまわないかとドキドキしながらレネゲードを走らせたのと同じようなルートを、グランドチェロキーはまるで何事もなかったかのように走破してしまう。エアサス仕様の場合、最大で276mmのロードクリアランスがあるので、躊躇なく悪路へクルマを進めていくことができる。
「ラレード」には電子制御式フルタイム4WDのクォドラトラックⅡが、今回試乗した「リミテッド」にはクォドラトラックⅡにエアサスペンションが備わる。従来、路面状況によってモードを切り替えなくてはならなかったセレテレインシステムは、あらたにオートが加わったため、途中で道路の状況が変わったとしてもフールプルーフに運転できるのが特徴だ。オンロードでの快適性は言わずもがな。すごいすごいと噂に聞いていた全部載せJeep®の実力を目の当たりにした気がした。
日頃なかなか経験できない本格的な悪路で、丸一日Jeep®各モデルの実力に触れ、やはり本物は違うと理解したつもりでいた。けれど、本当にJeep®の実力を理解できたのは帰国後だった。ある時、撮影のために某FWDモデルでほんの少し砂地に入った瞬間にタイヤが空転し、スタックしかけたのだ。どっぷりとJeep®に触れた結果、これくらいなら(どのクルマでも)大丈夫だろうと基準がおかしくなってしまった。その時、初めてJeep®が特別なのだと理解したのであった。
Edit & Text: 塩見 智 Satoshi SHIOMI