美しい山を旅するモデルKIKI――その魅力に迫るインタビュー。
やっぱり山は特別。登山が日常になってほしくはない。
ー参考までに、どれくらいのペースで山を訪れているんですか?
前後の行程を含めると、去年は70日くらい山に行っている日数がありましたね。例えば、前日には松本の美味しいご飯屋さんに行って、早朝に眠い目をこすって山に向かうとか、山に滞在するだけじゃなくて、その行程も含めて楽しいんです。日本の山の良いところは、やっぱり温泉が麓にあることですね。
ー山で過ごす時間が増える中で、ご自身にとって何か変化はありましたか?
雨が降ったときの着替えとかはもちろん持っていくんですけど、“汗をかいたときの着替え”という感覚がだんだんと無くなってきましたね。それは単純に、身軽でいたい、そのほうが楽しめるということが大きくて。今流行っているウルトラライトのような、全て軽いものにはこだわらないけど、なるべくかさばらないものを選んでいます。誰か荷物を持ってくれる人が一緒だったら、そこまで深くは考えませんけど(笑)、毎回、その状況で考えるのも楽しいですね。
ー登山での経験が日常生活に変化を与えたことはありますか?
例えば、天候の変化ですね。山に行って雨が降るのを嫌だなと思ったら、そこから先の行程がつまらないものになってしまう。でも、雨なりの良さを見つけられると、臨機応変に構えられるようになるんです。それは街に帰ってきても同じことだと思います。山では無理は禁物なんです。街はいろいろと便利なので、自分が知らないうちに無理をしてしまっているんじゃないかなと思うところがあって。その便利な状況が、実はどこかで自分に負担をかけているんじゃないかと思うようになりました。
ーKIKIさんにとって山に行くことは日常になっているんでしょうか?
いえ、山はやっぱり特別です。山に住みたいとはあまり思っていなくて、それは街に住みながら行っているから良いんだろうなって。決して登山が日常になってほしくはないんです。