【Jeep×ART】#1 Jeepでこそ訪れたい美術館。建築家・隈研吾の名を世界に知らしめた『那珂川町⾺頭広重美術館』
Jeepであれば、どこへでも行ける。そして、オーナーの可能性を広げる行き先は、何もアウトドアだけではない。Jeepでこそ訪れたい、名建築や美術館などのARTスポットを巡る新企画。第1弾は、世界的な建築家・隈研吾の出世作と称され、歌川広重の芸術と伝統を表現する栃木県の『那珂川町馬頭広重美術館』。
Jeepオーナーであれば、ブランドのスローガンをきっと知っているはず。「Go Anywhere, Do Anything.(どこでも行ける、何でもできる)」──その言葉通り、Jeepは行動の可能性を広げ、ライフスタイルを充実させてくれる最高の相棒だ。それであれば、また新たな扉を開けてみよう。今回のJeep旅の目的は“ART”。Jeepの歴史を遡れば、ニューヨーク近代美術館には軍用Jeepが展示され、「きわめて稀な機械芸術表現のひとつ」と称されるなど、JeepとARTは密なる存在だ。その関係性を探るため、栃木県の『那珂川町馬頭広重美術館』に『ジープ コマンダー(Jeep Commander)』を走らせた。
歌川広重の膨大なコレクションと、隈研吾の出世作となる美術館
栃木県の北東部で茨城県境に位置する那珂川町は、2005年に旧馬頭町と旧小川町が合併して誕生。清流・那珂川が町の中央を流れ、田畑や山林が町の60%以上を占める自然豊かな地に『那珂川町馬頭広重美術館』はある。県外からは観光バスや路線バスで訪れる方が多く、クルマであれば都心から約3時間。正直、アクセスの良い土地では決してない──だからこそ、Jeepを走らせる価値があるとも言えるだろう。
那珂川沿いの温泉など、地域資源を活かしたスポットが魅力の那珂川町。加えて現在では個性的な美術館のある“アートの街”としても知られ、その代表的な存在が2000年に開館した『那珂川町馬頭広重美術館』だ。
そのきっかけとなった人物は、栃木県塩谷郡熟田村狭間田(現さくら市)出身の実業家で、美術品の蒐集家として知られた青木藤作氏。青木氏の死後に遺族から、歌川広重のコレクションを寄贈するという申し出があったことにより、那珂川町にはそれまで存在していなかった美術館の構想が生まれたという。
寄贈された4,000点以上の作品群は“青木コレクション”と呼ばれ、その中には歌川広重の名作『江都八景』や『富士十二景』などの肉筆浮世絵をはじめとする、貴重な肉筆画や版画などが数多く存在する。
そして、その作品群を網羅する美術館の設計を手掛けた人物こそが、世界的な建築家の隈研吾氏だ。近年では2021年に東京で開催された国際的なスポーツの祭典で、メインスタジアムの国立競技場を手掛けたことで知られる隈研吾氏だが、そのキャリアにおける“出世作”こそが、何を隠そう『那珂川町馬頭広重美術館』なのだ。
フォトジェニックな建築とJeepコマンダーでタイムスリップ
隈研吾氏が『那珂川町馬頭広重美術館』を設計するにあたってとりわけ重視したのは、歌川広重が描く浮世絵の世界観と、那珂川町の豊かな自然との「調和」。また、隈研吾建築都市設計事務所のホームページには、「歌川広重が木版画の中に作り上げた独特の空間構成を建築化しようと考えた」と紹介されている。
そのイメージが具現化された平屋建ての美術館は、外壁が地元産の八溝杉(ヤミゾスギ)を使った格子に包まれており、それは浮世絵で描かれる“雨の線”をイメージしているという。そして上空から注ぐ太陽の光を受けて生み出される陰影は、1日の中で時間とともに刻々と変化し、豊かな表情を生み出していた。
さらに内壁の烏山和紙や、床の芦野石なども地元産の材料という点も大きな特徴。当時の隈研吾氏は、その土地土地の素材を建築に取り入れ始めていた時期であり、その手法を確立させたのが『那珂川町馬頭広重美術館』と言われている。加えてその手法は、地域のコミュニティを再生させる意味合いも持っていた。
『那珂川町馬頭広重美術館』の敷地内に足を踏み入れてまず感じたことは、心に静寂をもたらす空間の気持ち良さ。そして、圧倒的にフォトジェニックな様式美に目を奪われる。さらにその場所に、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのように現れたコマンダーの姿は、「東洋と西洋」「過去と現在」「自然と機械」などの相反する事象がひとつの場所に同居する──そんなイマジネーションを掻き立てられた。
同時に美しく均等に並ぶ格子の直線は、Jeepの美しさの特徴であるフォルムの直線とリンクするとともに、格子の隙間から温かく注がれる日光によって、コマンダーのボディは艶のある表情を浮かべていた。
『那珂川町馬頭広重美術館』は、訪れる動機がふたつある。ひとつは、歌川広重の浮世絵や定期的に開催される企画展を見たさに。そしてもうひとつは、隈研吾氏が手掛けた美術館そのものを見たさに人々が訪れる。そのどちらをも一度に堪能できる『那珂川町馬頭広重美術館』には、Jeepで訪れる十分な価値があった。
Jeep×ARTを探る旅。名建築や美術館へクルマを走らせよう
美術館とJeepの邂逅に五感を刺激されて、『那珂川町馬頭広重美術館』をあとにする。ただしせっかくクルマで来たのだから、その利便性を活かして、“建築”をテーマにもう少しだけ寄り道をしてみよう。
栃木県益子町の県道沿いに2016年10月にオープンした『道の駅ましこ』は、益子産の農産物・加工品・工芸品などを販売しており、地産地消の食材を使った食事を味わえるレストランカフェも施設内にある。
そしてこちらも建築そのものが見どころ。屋根架構の材料には八溝杉が使われており、屋根(ルーフスケープ)は、周囲の山並み(ランドスケープ)の勾配とリンクしている。確かな存在感を放ちながらも自然と調和するその姿は、隈研吾氏の作品と同様に、この地域の魅力を建築そのものを通して表現していた。
JeepとART、そして建築との関係性を探った今回の『那珂川町馬頭広重美術館』への旅。Jeepと共鳴し、刺激を与えてくれる名建築や美術館などを求めて、また再びクルマを走らせることにしよう。
今回使用したクルマ
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【Information】
那珂川町馬頭広重美術館
〒324‐0613 栃木県那須郡那珂川町馬頭116-9
TEL:0287-92-1199
http://www.hiroshige.bato.tochigi.jp/
道の駅ましこ
〒321‐4225 栃木県芳賀郡益子町長堤2271
TEL:0285-72-5530
http://m-mashiko.com/
Text:ラスカル(NaNo.works)
Photos:大石 隼土