【Jeep®で行く白馬レポート最終編】また来たい場所から住みたい場所へ。四季折々で楽しめる白馬の魅力とは?
レストランのオーナーでありグラフィックデザイナー、和田野元区長でもある蓮井さんへインタビュー
前編では、景観にフォーカスしたおすすめスポットを、後編では奥深い味のグルメを紹介してきた⽩馬レポートもいよいよ最後。
今回は、後編で紹介したレストラン・ハミングバードのオーナーシェフである蓮井英史さんのインタビュー記事をお届け。お店のある和田野地区の元区長、グラフィックデザイナー、異なる立場から白馬の活性化に取り組む蓮井さんの生活を通じて、季節の白馬の魅力と新しいライフスタイルの提案を語ってくださった。
―― 蓮井さんが白馬で生活してきた中で、おすすめする場所はどこですか?
私はこの和田野という地域に居るんですが、白馬の中でもこのエリアが一番好きなんですよ。すごく落ち着く場所でね。まだ白馬に来て6年ぐらいの新参者ですけど、色々とやるうちに、ここをもっと快適にしようと思うようになって、一昨年は和田野の区長を務めさせていただきました。現在は、継続事業に取り組み、事務局としての任に当たっています。和田野を本当に安らげる場所に仕上げていくというのは、一つのテーマですね。和田野は木漏れ日の中に建物が佇んでいるというか、森と建物の調和が一番出来ているんですよ。
レストラン・ハミングバードのオーナーシェフ 蓮井英史さん。
―― ハミングバードのオーナーシェフ、和田野区長だけでなく、蓮井さんは白馬のエッセンシャルガイドブックを作り続けているそうですね。
元々、東京でグラフィックデザインの仕事をしてまして、エッセンシャルガイドブックは、毎年11月にリニューアルするんですが、海外から来たお客様が、一番安心して食べられるお店などをチョイスして作っていますね。白馬のゲストの方の多くは、世界中のウィンターリゾートを回っているんですよ。その方たちが必ず言うことは、駅に降りて、ゲレンデまで歩いて行ける。そんなスキー場は世界中でもここにしかない。なのに、なぜ白馬が世界ブランドであることを日本人は分かっていないの?と言うわけです。特に今年は海外からのお客様が多いですし、来年の予約も結構入っていると聞いていますよ。逆に、日本人の方が減少傾向ですね。ここまで来るのにわりと不便かもしれないけど、白馬を知ってる人には、この距離感がたまらないんですよ。
―― 今回はJeep®に乗って、首都高・中央道経由で白馬を目指したわけですが、景色の変化を楽しむと同時に、気分が開放していくんですよね。
以前、ニューヨークで19年暮らしていたんですが、大都会でもあそこの一時間ぐらいの周辺は、緑がいっぱいある地域なんです。現地のライフスタイルとしては、田舎に住み、都会で働くというものなんですよね。だから日本人も、白馬に住むとはいかなくても、ここに気持ちの拠り所となる拠点を置いて、東京とかの都市で仕事をするという具合に、ライフスタイルを変えても良い時期だと思っていて。田舎暮らしをしていると、心がすごく豊かになる。なおかつ仕事も思い切りやるというライフスタイル。そういった田舎を作りたいんですよ。今はインターネットの利便性をフル活用すれば仕事は出来ますし、物理的に遠いとはいえ、4時間ぐらい掛ければ、東京まで行けるのであって。
白馬ジャンプ台からみえる白馬の全景。
―― 白馬初級者には、白馬は冬というイメージが強いと思うんです。冬以外の白馬の特徴では、どんな点が挙げられますか?
まずスケールが大きいんですよね。グリーンシーズンの白馬は、冬より面白いと思いますよ。スポーツでいうと、冬はスキーやスノーボードじゃないですか。グリーンシーズンになると、まず歩くことから始まって、トレイルランニングや登山もありますし、それからマウンテンバイクでしょう。川もありますから、キャニオニングとかラフティングも出来ますし、山の頂上からハンググライディングも出来るでしょう。その時期は日本人のお客様が多いんですが、どちらかといえば、本当にアウトドア好きな人たちですね。
―― 4月の白馬にはどんな特徴があるんでしょうか?
4月の白馬は切り替えの時期なんですよ。まだ雪が残っていて、それが溶けていくでしょう。その一方では、まだ緑が十分に育っていないわけです。4月後半になると桜も咲きますし、山野草がすごい。白馬近くの栂池自然園には、天国とか極楽とかを表現したら、こういう絵模様なのかなというぐらい、一面に花が咲くんです。それは本当に綺麗ですよ。それから、5月ぐらいになって新緑が芽生え始めると、一気に緑が広がりますね。大袈裟な表現かもしれないけど、音が聴こえるぐらいに開くんですよ。一晩寝て朝になると、枝ぶりが全く違うぐらいにね。
北アルプスにそびえる白馬岳中腹の新緑。
―― 4月は雪溶け、5月は新緑の芽生えという中で、生活の舞台が変わっていくんですね。
四季の中でも、秋の紅葉から冬になる時期は、大どんでん返しが起こりますよ。雪がばっと降った瞬間というのは、今までの世界を一瞬で変えるじゃないですか。11月から12月の頭ぐらいには紅葉の上に雪が降って、山の頂上は雪の世界、中腹は紅葉の世界、山の下の方にはまだグリーンが残っている。それを三段紅葉というんですよ。
―― 季節ごとに全く別の世界がある。そこがすごく魅力的なんですね。
お店の前の道をずっと上って行くと黒菱ラインという道に出て、冬はスキー場だけど、夏は登山基地になる場所に着くんです。だいたい中腹の1,500mまで上がりますかね。星の数がこんなにあるの?というぐらいに、星と星の隙がないんですよ。ヘッドライトを消すと、この距離で何も見えないぐらいに真っ暗で、目が馴染んでくると、徐々に夜景が見えてくる。あそこは穴場ですね。他にも、蛍のシーズンに青木湖に行くと、カヌーで湖畔に出て、蛍がいっぱい見れますし、ナイトカヌーツアーのようなものをやっていますよ。白馬は、どこに行っても楽しめてしまうんです。
新海さん(Fiat Chrysler Japanブランド コミュニケーション)と蓮井さんに白馬について熱く語って頂きました。
―― 白馬を体験したことのない人には、これを機に思い切って訪れてほしいですね。
今はスマートフォンにすごくお金を使うようになったでしょう。そのお金があれば、スキーもスノーボードも出来るのに、重い機材を持って出掛けるのは面倒くさいとか、そういう価値観になっている。もうちょっと自然の中で体を動かすとか、そういうライフスタイルを身に付けないとね。もっと色んな世界を見るということを心掛けた方がいいと思います。バーチャルの世界の中で作っていくという今の風潮は、決していい意味ではなく、日本の社会を変えてしまう気がする。単に地域の活性化という次元ではなくて、日本の将来のために、いま田舎が頑張らないといけないんです。特に若い人たちの生き方を変えていきたいですね。
リゾート地という印象から、白馬には頻繁に行ける場所というイメージを持っていなかった。ところが、実際に白馬での時間を過ごしたり、蓮井さんの談話を聞いたりして思うのは、また必ず来たい!という気持ちで満たされているということ。きっと、それが積み重なってゆくことで、白馬に住みたいという気持ちに変わってゆくのでしょう。ぜひ休日は、白馬まで足を伸ばしてみてください。