奄美大島初のEV充電スタンド寄贈記念 ~マングローブの子どもたちに会える村へ~
2021年7月に世界自然遺産に登録された奄美大島。その南西部に位置する宇検村で行われた、ナショナル ジオグラフィック日本版とJeepのコラボレーションによるEV充電スタンド寄贈セレモニー。その開催を機に、6年前から実施されている村のマングローブ再生事業のお話を伺うためJeep Renegade Trailhawk 4xeで奄美大島を訪ねた。
村を挙げてのピースフルなお祭り
RealStyleが初めて奄美大島に訪れたのは、この島を含む「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が国内5番目となる世界自然遺産に登録された、2021年7月26日の少し前だった。あのときは梅雨が明けたばかりで、高い空から降り注ぐ強烈な日差しにすっかり焼かれた。そんな記憶があるから、前回から1年足らずで再訪できた2022年3月半ばの奄美大島も、もはや初夏に迫る気候だろうと想像していた。ところが、訪れたタイミングで曇天が続いたせいもあったのだろう。同じ時期の東京とそん色ない気温だった。それを拍子抜けなどと言うのは余所者の身勝手。ただ、週末に開かれるイベントが雨に祟られなければいいと、そこは地元の方々と同じはずの願いを抱いた。
奄美大島南西部、ワニが口を開いた形に似ている焼内湾(やけうちわん)を抱えた宇検村の観光拠点施設で、3月20日に『エフエムうけんまつり』が開催された。幸いなことに朝から天気がよく、開始時間の10時までには地域の人々が三々五々集まってきた。その様子は、まさに村祭り。来訪者には紅白の餅が配られ、奄美市からバスでやってきた奄美市立朝日中学校吹奏楽部の演奏にあわせて踊り出す人もいた。会は瞬く間にピースフルな雰囲気に包まれていった。
地元FM局の開局12周年を祝う形で行われたこのイベントには、2つの主要プログラムが用意されていた。1つは、村長による“ゼロカーボンシティ宣伝”。もう1つは、“EV充電スタンドの寄贈セレモニー”。
ゼロカーボンシティ宣言とは、環境省の施策に則り、地方公共団体が2050年の二酸化炭素実質排出量ゼロに取り組むことを表明するものだ。2022年2月末時点で、全国40都道府県の598団体が宣言を行っている。宇検村は、『Cool宇検Bio Project』の名のもとにバイオガスの有効活用を図りながら、脱炭素社会と地域創生の実現を目指している。
そしてEV充電スタンドの寄贈。これにはJeepが深く関わっている。
島で初めてのEV充電スタンド
ナショナル ジオグラフィック日本版とJeepのコラボレーションで進められている『Real Tabi』。このプロジェクトでも2021年に奄美大島がクローズアップされた。島内を巡るのに使用されたのは、『ジープ レネゲード トレイルフォーク フォーバイイー(Jeep Renegade Trailhawk 4xe)』。
ドライブモードでELECTRICを選べば、排ガスゼロで48kmの走行を可能にするプラグイン・ハイブリッド・モデル(PHEV)だ。そのJeep史上初のクルマで世界自然遺産に登録されたばかりの島を走りたい。それは、余所者ほど高まる思いと言っていい。
ところが、Renegade 4xeを走らせても、奄美大島にはEV充電スタンドが1基もなかった。そこでナショナル ジオグラフィック日本版とJeepはクラウドファンディングを実施。
寄贈セレモニーで村長が充電器に貼ったステッカーに記された通り、全国84名の支援者の寄付金をもとに、島で初めてのEV充電スタンドが設置されたのである。ビデオで参加したステランティスジャパン株式会社のJeepブランドマネージャー・新海宏樹氏は、ビデオで次のようなメッセージを贈った。
「寄贈したEV充電器が、宇検村のゼロカーボンシティ宣言の一助になるとお聞きし、アメリカのJeep本社ともども非常に喜ばしく、誇りに感じています」
そうしたセレモニーがイベント内で行われ、村民が笑顔で拍手する光景は、やはり微笑ましいものだった。島でまだ1基とは言え、これが奄美大島の脱炭素計画を推進していく始まりの一歩になる可能性は大きい。というような感想は、暖かな日差しに包まれた村祭りの気分に促されたところも、正直に言えばある。
しかし今回の旅で、ゼロカーボンシティ宣言やEV充電スタンド設置以前から、あるいは世界自然遺産登録の気運を高めた取り組みが宇検村にあることを知った。それもまた今は若葉のような段階だが、一歩を踏み出さなければ何も変わらないという意識から芽生えたものだった。