シェフのきっぷのよさにリピート必須 由比ケ浜で味わう至福のフランス料理
素敵なサプライズに出合える、昼下がりのブランチ
藤本恵史シェフには何度も驚かされる。とにかくサービス精神が旺盛。その姿勢は、たとえばランチのメニューにすでにあらわれている。前菜「トマトのガスパッチョ ウニ、魚介、桃と」が運ばれてきたときに、旬の北海道産ウニの下には甘エビ、ホタテ、蟹など魚介類と桃がゴロゴロと隠れているのを見て、2,500円のコースがこんなに贅沢でいいの!? とうれしくなってしまうほどなのだ。「妻には原価のことを考えてない!って怒られるんですけど、やっぱり、ウニを使った一皿があったらうれしいじゃないですか。ついお客さんを喜ばせたくなっちゃうんですよね」と藤本シェフ。そのサービス精神は、池尻大橋の大人気フレンチ「OGINO」仕込み。確かな技巧から生まれる正統派フランス料理でありながら、脅威のコストパフォーマンスで客を楽しませるというスタイルをそのまま引き継いでいる。
「荻野シェフから多くのことを学びました。お客様に対する姿勢ですとか、料理のすべてですね。僕自身が実感したことなんですが、ちょっとした心遣いやサプライズがすごくうれしかったり、楽しい思い出にかわったりするじゃないですか。わざわざお店に来てくださるお客様が、料理でもサービスでも、”良かったね”とか”楽しかったね”とか、何かしら帰りがけに思い出してくれるような店になったらうれしいです」と、藤本シェフは笑顔で語る。
2皿目の「スープ・ド・ポワソン」は、「été」 の定番メニューになりつつあるほど人気の高い一品。蟹や地元で捕れた新鮮な魚の旨味とコクたっぷりのスープは、リピーターが多いというのも納得。その時期、捕れた魚で作るので、旬の魚のおいしさが堪能できる。
前菜、スープ、メインディッシュとすべてプリフィクス。この日のメインディッシュは「シャラン産鴨のロースト シェリービネガーのソース」をチョイス。肉料理は藤本シェフの真骨頂だ。口に入れた途端、ジューシー、かつ芳醇で野趣あふれる鴨肉の旨味が口いっぱいに広がる。絶妙な火入れ具合はさすがの一言。
デザートは3種類を選ぶのだが、「メロンのブランマンジェ」や「マンゴーとパッションフルーツのゼリー ココナツミルク和え」など、甘いものが苦手な人でもあっさり食べられるデザートが多いのがうれしい。必ずオーダーして欲しいのが、「好きなだけチーズケーキ」。ケーキを好きなだけカットするというこれまた太っ腹なデザートなのだが、濃厚かつクリーミーなチーズケーキは絶品で、半分ぺろりと食べてしまった男性もいるほど。ちなみにワインとの相性もぴったり。これで、サービス料、消費税込みで2,500円は破格としか言いようがない。「秋になったら、ジビエはもちろん、セップ茸やジロール茸などおいしいきのこも出てきますしね。トリュフは豪快にお客様の前で削りたいな?と。また、妻に怒られるかもしれないですが(笑)」と藤本シェフ。そのきっぷの良さとシェフの人柄に惹かれて、一人カウンター席を陣取る男性客が増えているというもうなずける。
もちろん、鎌倉や由比ケ浜へのデートに組み込んでもパートナーに大絶賛されること請け合い。昼間の海を眺めることができるという意味でもあえてランチから昼下がりのショートトリップをお薦めしたい、スペシャルなレストランがまた一つ誕生した。
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