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2012.03.09

非日常的な空間、洗練された料理 驚きが連鎖するステーキハウス

東京アメリカンクラブの歴史が集約された
一流のホスピタリティ、サービスを堪能

  • main156 非日常的な空間、洗練された料理 驚きが連鎖するステーキハウス
    ブラックアンガスビーフの熟成肉を炭火で焼いた「ニューヨークストリップロイン」(336g ¥6,100)は、
    ハーブの効いたサルサヴェルデソースで。
  • main241 非日常的な空間、洗練された料理 驚きが連鎖するステーキハウス
    ラグジュアリーなメインフロア。プロデュースを担当したのは、
    「パークハイアット東京」の「ニューヨーク・グリル」を手がけた、ブライアン・マーカス。
  • main337 非日常的な空間、洗練された料理 驚きが連鎖するステーキハウス
    エントランスでは、天上までズラリと並ぶ、ワインセラーがお出迎え。
    倉庫のものを含めるとストックは10,000本以上。ヴィンテージが10年分そろう銘柄のものもあるとか。
  • main420 非日常的な空間、洗練された料理 驚きが連鎖するステーキハウス
    グラスワインも¥1,000台からとリーズナブル。クリーミーでコクのある、「ボーンマローフラン」(¥2,200)は、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの赤ワインとよく合う。
  • main513 非日常的な空間、洗練された料理 驚きが連鎖するステーキハウス
    メニューはすべてiPadというのもユニーク。
    写真が入っているので、メニューが一目瞭然でわかりやすい。
    写真は「トマホークロングボーンリブアイ」(700g ¥16,900)のページ。

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アーティスティックな料理を次々と生みだす、シェフのデビッド・クリスチャン・ウエノ。セレブリティのプライベートシェフのほか、イタリアのフィレンツェやナポリのレストランで働いた経験もある。

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柿、メープルシロップでグレーズしたベーコンとグリーンサラダ、ゴルゴンゾーラドルチェチーズのパンナコッタ(¥1,700)。ミックスして食べても美味。

京アメリカンクラブをご存知だろうか? 1928年に、在日アメリカ人と日本人のために設立された高級会員制社交クラブだ。現在は50ケ国以上からの3500名を超える会員を有し、レストランやパーティ会場、プール、スパ、フィットネスジム、図書館などを備えたクラブハウスもある、エクスクルーシヴなプライベートクラブ。会員になるには厳密な審査が必要で、今まで会員が同行しないかぎり、一般客はなかに入ることができなかった。2011年に老朽化から3年にも及ぶ再開発工事を終え、リニューアルオープン。そんな東京アメリカンクラブに、多くの人たちにクラブの存在を知ってもらい、雰囲気を味わってもらいたいと、クラブ創立80年あまりの歴史上初めて、会員以外も利用することのできるレストラン「デカンタ・ステーキ・チョップ・ワイン」がオープンした。

店のコンセプトはアメリカ西海岸にある、今一番新しいステーキレストランのスタイル。従来のステーキハウスはやぼったいログハウス風の店内で、ドーンッと分厚いお肉にたっぷりのマッシュポテト… というイメージだったが、ここは空間からしてゴージャス。エントランスにはブルーにライトアップされた5,000本以上のワインが並ぶワインセラー、高級ホテルのようなモダンなバースペース、東京の夜景が一望できる、パープルとシルバーを基調にしたラグジュアリーなメインダイニングエリアと、足を一歩踏み入れると非日常の空間が広がる。

「空間、料理、サービス、雰囲気、そのすべてを楽しんでいただければと。ステーキは歯ごたえが楽しめるブラックアンガスビーフとやわらかい食感のニュージーランド産の”和牛”を使った熟成肉の2種類。量より食材の質を重視しており、野菜は毎日、箱根の契約農家から最高にフレッシュなものを取り寄せています」とシェフのデビッド・クリスチャン・ウエノ。

実際、驚いたのは、料理のクオリティの高さとオリジナリティ。お店の人気ステーキ「ニューヨークストリップロイン」は、口に入れた途端、旨味とほどよい脂がジュワーっと口いっぱいに広がり、けれども後味はあっさり。いくらでも食べられてしまう。ステーキのおいしさもさることながら、ユニークなのはその脇を固めるメニューだ。「ゴルゴンゾーラチーズのパンナコッタ」は、メープルシロップでキャラメライズしたベーコンとフレッシュなサラダを合わせていただく前菜だが、ちょっぴり甘いベーコンのザクザクした食感、チーズの深い味わいとサラダとのコンビネーションが絶妙。「ボーンマローフラン」は、牛の脊髄を2日間煮込み、クリームと和えたやさしい味わいの一品で、添えられているオックステールのマーマレードと合わせて食べると、また違った表情を見せる。とにかく、食べていてワクワクしてくる、新感覚のおいしさなのだ。その自由な感性が生かされた料理の数々は、シェフの前職が元ファッション・デザイナーということも関係しているのだろう。「ファッションは素材や色、テクスチャーを選んで、全体のバランスを考えてデザインしていきます。料理も同じく、クリエイティヴでアーティスティックなもの。私は常に、お客さまに食を通して新しい体験をして欲しいと、一皿一皿に情熱を注いでいます」とシェフ。彼は、その豊かな表現力、確かな腕がかわれて、米CBSの長寿レイトショーのMCを務めトップコメディアンで知られるデイヴィッド・レターマンや、デザイナーのトミー・ヒルフィガーなど、大物セレブのプライベートシェフを務めた経験がある。

クラブがリニューアルする以前から長年かけてコレクションしたという35,000本以上のストックを誇るワインリストに並ぶのは、カリフォルニアやオーストラリアなどニューワールドをメインにした、世界各国のワイン。しかもボトル5,000円からと、高級ダイニングにしては驚くほどリーズナブルだ。料理に合わせて、ソムリエが確かな1本を選んでくれ、ワインダイニングとしても秀逸。高級会員制クラブのレストランということもあり、サービスは一流でありながらも、アメリカ的なフレンドリーさもあって居心地がいい。さまざまな国籍のサービススタッフ、客層もインターナショナルで、東京にいながらにして、さながら海外に旅行にでも来ているかのようなトリップ感だ。また、来店できるのは20歳以上と限定されているため、落ち着いた雰囲気なのもうれしい。

会員を優先させるため、1カ月前からしか予約ができないのが少々不便かもしれないが、この非日常体験を味わうためだったら苦にならない。ステーキ好きはもちろんのこと、味覚の驚きを求める美食家にも声を大にしてオススメしたい店である。

デカンタ・ステーキ・チョップ・ワイン

http://www.tokyoamericanclub.org/

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