2日目は『宮城蔵王えぼしリゾート』へ
滑走2日目は『宮城蔵王えぼしリゾート』(以下、『えぼしリゾート』)のスキー場トップから後烏帽子岳(標高1,681m)を目指す。
ゴンドラとリフトを使ってスキー場トップから歩けるとあり、バックカントリー愛好家も多い場所だ。スキー場は最長滑走距離4,3kmもあり、山頂の標高も1,350mと申し分ない。スキー場のふもとや中腹は初中級者が楽しめるコースが多く、上にあがるにつれ上級者コースも多くなるゲレンデだ。山頂のチャレンジコースは最大斜度35度の非圧雪バーンなので、降雪があった日は最高のパウダーランができる。
▲『えぼしリゾート』のベース。若いスキーヤー、スノーボーダーや家族連れも多い。
▲大きな松の木を縫うように歩いていく。ゲレンデを少し登るだけで一気に別世界に。
▲標高を上げると木に付く雪の量も変わり、徐々に樹氷になっていく様子が分かる。
歩き出しは雪が積もった樹林帯の中を歩く。雲がかかっていたが、徐々に晴れてきて後ろを振り返ると太平洋まで見通せる絶好のスキー日和になった。
今年は樹氷が育ったようで、例年なら後烏帽子岳周辺は樹氷と呼べるまで雪が付かないのだが、今年は立派な樹氷になっている。
▲昨日とは打って変わってまぶしい光が降り注ぐ。
▲山頂直下ではいつの間にかあたりは樹氷だらけに。
突き抜けるような青空と巨大なアイスモンスターに囲まれるなかを1時間半ほど歩くと後烏帽子岳の山頂に着いた。山頂は360度の大パノラマ。昨日歩いた刈田岳の山頂も見える。後烏帽子岳は宮城蔵王のなかでも蔵王連峰が一望できる好展望地。ガイドの半田さんも自身の“パワースポット”と表現する場所だ。半田さん曰く
「ハイシーズンの蔵王は9割雲の中です。なので、昨日の真っ白な景色も蔵王らしいのですが、この蔵王連峰が見渡せる景色も、“これぞ蔵王”です」
1日目はあいにくの天気かと思ったが、2日間で全く違う蔵王らしい景色を見ることができて、なんだか得した気分だ。
▲昨日歩いた刈田岳方面もはっきり見える。
▲蔵王山の主要ピークを半田さんに説明してもらう。目の前にそびえるのは屏風岳(1,817m)。
▲アラスカなどの海外の山岳地帯に負けない迫力をもつ屏風岳。コンディションがよければ滑れる。
絶景を堪能した後は、いよいよスキー。後烏帽子岳山頂から『えぼしリゾート』の中腹まで、樹氷や木々の合間を縫って斜面を駆け抜ける。
斜面のコンディションは表面にうっすらと新雪が積もっており、スピードに乗るとターンを刻むたびに雪煙が舞う。
▲早速晴天のなかを心地よい一本。樹氷と太陽の組み合わせが蔵王らしい。
▲吹き溜まっているところを狙って巨大なスプレーを上げる半田さん。
後烏帽子岳の山頂付近は気持ちの良いオープンバーンもあり、標高を下げるとツリーランに変わる。森の中は風の影響が無く、新雪も溜まっていた。一度のツアーでいろいろなコンディションを味わえるので充実感も大きい。
▲森の中もノートラックの斜面が広がる。
▲沢や起伏など地形変化も多いためアクティブに滑れる。
▲『えぼしリゾート』のグルーミングバーンでクールダウンしながら帰る。
最後は『えぼしリゾート』のゲレンデを滑って下山する。先ほども半田さんが述べたように蔵王のハイシーズンは降雪の影響で晴れる日こそ少ないものの、裏を返せばパウダー遭遇率が高く、風の吹き方によっては新雪が溜まる場所もある。樹氷とパノラマの絶景と最高の雪に出会えた蔵王の旅だった。