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2022.09.15

【Jeepオーナーインタビュー】目指すのは“ギターヒーロー”。ギタリスト・AssHが憧れ続けたJeepラングラーを手にした今と、ギターの存在を語る

ソロ活動と並行してサポートギタリストを務めたYOASOBIのステージで、その存在感が大絶賛されたAssH。彼が目指すのは、多くの人を魅了するギターヒーローだ。憧れ続けたJeep ラングラーを手に入れた思いととともに、アーティストとしての現在とこれからの夢を尋ねた。

80年代のロックに影響され、ギターを始めた少年が目指したもの

アスファルトの先に逃げ水が揺らめくほどの猛暑の中を向かってくる『ジープ ラングラー アンリミテッド サハラ(Jeep Wrangler Unlimited Sahara)』。一世代前のモデルながら、その白いボディは真夏の日差しを跳ね返すようにキラキラと輝いていた。
降り立った黒い服の青年が車内から連れ出したのは『Gibson(ギブソン)』の『ES-335』。17歳のときに一生物と見込んで手にしたギターは、今も彼を支え続けているそうだ。

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このクルマとギターは、自分がなるべき姿になるため欠かせない存在だという。

2010年代後半からソロアーティスト/サポートギタリストとして活動していたAssHがひと際注目を集めたのは2021年。大人気ユニット、YOASOBIのライブツアーメンバーとなり、武道館や紅白などの舞台で披露した切れ味鋭いカッティング奏法が多くの音楽ファンの目と耳に留まった。

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「連絡をくれたのがYOASOBIのコンポーザーのAyase本人でした。彼とは以前に同じライブイベントに互いのバンドが出演したことがあって、“何かヤバいヤツ”という記憶があったんですけど、向こうも僕のことを同じように覚えていてくれたらしくて。それが仕事っぽくなくて、AssHの思うままに弾いてほしい、YOASOBIを踏み台にしてもいいと言ってくれたんです。懐かしいAyaseとの個人的なストーリーもあったから、とてもうれしいオファーになりました」

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人との出会い、つまりは運と縁。AssHが現在の場所に立つのは、元来人を大事にする性格だったことが最たる要因だろうが、それを表に出したのはギターだった。

「子どもの頃は引っ込み思案で、人前に出るのが嫌いだった」という彼がギターを始めたのは高校生になる頃。「友人が弾いているのを見てモテるんじゃないかと思った」はよくあるパターン。ところが彼の体の中には、ギターを手にした瞬間に弾くべきフレーズが宿っていた。

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「父親がKISS、ガンズ・アンド・ローゼス、プリンスなどが好きで、物心がついたときには家で一日中ロックが響いていました。3歳くらいでしたね。ライブ盤で歓声が聴こえてくると次にかかる曲がわかったのは。そのうち聴くのも嫌になりました。なのにギターに初めて触れて、友人から聴かせてもらったレッド・ツェッペリンを耳にしたら、これだ! となって……」

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間もなくAssHは、より良いギターを求めて楽器店に向かう。

「店員とは思えない変な人がいたんです。まずは、それまで持っていた僕のギターに対して『そんなの使ってるのか?』と言い、次に『とりあえずここにあるすべてのギターを弾いてから選べ』と。その厳しい口調が逆に信用できたんですよね。そのときにいちばんしっくりきたのが、今も愛用している『ギブソン』の『ES-335』。高校生には高すぎたけれどローンが使えると聞いて、思い切って買いました。『長く使えるよ』と予言された通りになりましたね」

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▲AssHさんが愛用している、ギブソンの『ES-335』

その店員とは、後に独立し『Aki’s guitar shop』を開いた勝見明大氏。渡米してイーグルスやメタリカのギターリペアマンとなり、バンド活動に光を見出せずにいた22歳のAssHにアメリカ武者修行を勧めた、いわばAssHを発掘した人物である。勝見氏にはいつか、17歳の少年にすべてのギターを弾くよう促した理由を聞いてみたい。

「恩人はたくさんいます。YouTubeもなくお金もなかった高校時代、破格のCDやレコード探しを手伝ってくれたブックオフの店員さんや、バンドを組んだ人たち。時間を惜しんでギターを弾いて、それで上達したと天狗になりかけた僕を受け入れてくれたのも、皆大人の人たちでした」

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AssHが上の世代に好かれたのは、彼が生まれる前に人気を博した王道的ロックを弾いたからだと推察できる。そのあたりの嗜好は、AssHのYouTube動画でも顕著だ。

「なぜギターを弾くのかと聞かれれば、好きだからという他にありませんが、好んで弾いたのが男臭い80年代のロックというのは、やっぱりカッコいいからなんです。特にギターソロ。今は3分半以上もソロをやるなんて曲、ないですもんね。ジミ・ヘンドリックス、ジミー・ペイジ、エリック・クラプトン……。あの時代にはたくさんのギターヒーローがいました。けれど、その後がいない。だからAssHは、彼らに続くギターヒーローと呼ばれる存在にならなきゃいけないんです」

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20歳から憧れたJeep
ギターを弾きながら欲しいクルマに乗れる姿を見せたい

「Jeepもそうなんです」

彼にとっては白いラングラーも、ギターヒーローの文脈に沿った存在らしい。

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「20歳の頃から憧れていました。男らしい無骨なルックスで、僕の好きな音楽やギターと同じアメリカンカルチャーを代表するものだったからです。けれど高価なので、ようやく自分のものにできたのは2021年の6月でした。クルマ好きなDJの先輩に店へ連れて行ってもらって、先輩が買ったJLにも乗ったけれど、僕にしっくりきたのはこの白いJKだった。試乗しちゃったらもうダメで、ほぼ即決です。またしてもローンを組みましたが」

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納車後そのままリハーサルへ。各地のライブも機材を積んで自走するので、すでに1万キロ以上も走っているという。

「ハンドルを握っているだけで誇らしい気分になれます。ライブで疲れた後でも気楽に運転できるのがいい。Jeepが仕事のモチベーションになっているのは間違いないですね。だからと言って、このJKがすべてに優れているわけじゃないんです。時に小回りが利かない大きさに困ったり、燃費だって決して良くはない。何より、ある程度の稼ぎがないと買えなかった。けれどそれって、レスポールと似ているんですよね」

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『ギブソン』を代表するモデル、レスポール。その誕生から今年70周年を迎えるエレキギターの大定番だ。AssHは今年、アーティスト AIのツアーをサポートするのを機会にレスポールを購入したそうだ。

「レスポールには、重いとか弾きにくいとかいう評判もありますが、誰かが決めたことを言い訳にしたくないし、レスポールを使って僕ならではの音を響かせたかった。Jeepも同じで、デメリットとされる要素をすべて飲み込んで自分のものにする。運転が上手くなりさえすればどこにだって行けますから。そういう気概を持つことにカッコよさを求めるタイプなんです。それから、この世界の後輩たちにも頑張っていればJeepに乗れるんだと証明したい意地もありました」

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AssH 【Jeepオーナーインタビュー】目指すのは“ギターヒーロー”。ギタリスト・AssHが憧れ続けたJeepラングラーを手にした今と、ギターの存在を語る

▲AIさんのライブでレスポールをプレイするAssHさん。

これは、彼が繰り返し語るギターヒーロー像と密接につながる話だ。

「今の若い子たちは夢を描きづらいんですよね。あのクルマにいつか乗りたいという憧れがないし、そもそもクルマを持つ気にすらならない。それは時代背景もあって、現実的に生活がキツいですからね。ギタリストにしても、若い子たちには夢のあるカッコいい職業じゃないんです。たとえばスポーツ選手みたいに、スポンサーからクルマをもらえるような生活をしているギタリストはいません。だから僕は、少なくとも稼げるところを見せなきゃいけない。いや、お金持ちになりたくて音楽をやっているわけではないけれど、次の世代にいい影響を与えるのがギターヒーローなら、ギターを弾きながらも欲しいクルマに乗れる姿を示したかった。Jeepを手に入れて、それがいよいよ体現できました」

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AssHが思い描くヒーローは、決してギターが上手なだけではないようだ。だが、その若さで他人のことまで考えなくてもいいだろうと思ったりもする。

「29歳という今の年齢が若いのかどうか、自分でもよくわかりませんが、忙しくてほとんど休みがなかった2021年にそんなことを考えるようになりました」

ギターヒーローの真の姿を?

「根性論とか口にしたら煙たがられるでしょうけど、僕は案外それを支えにしているところがあります。ギタリストでいられるために多くの人から与えられた幸福を、根性を入れてより多くの人にお返ししていく。往年のロックを知りつつ、今を生きるAssHでなければ出せない音で。そのために不可欠なのは、体に馴染んだギターと、新たに仲間に加わったJeepという身近で大切な存在です」

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年内いっぱいは先に触れたAIのツアーに参加しながら、秋にはソロアーティストとしての楽曲リリースやライブを予定しているという。また先月末には、英語と日本語をネイティブとする4ピースバンド『Silver Kidd』を結成し、日本を拠点にグローバルな活躍を目指すという情報も解禁された。

新たな可能性を示すヒーローは不滅も条件だから、より大きな存在となりながらギターの魅力を、あるいはAssH自身が体感した、好きなものとの出会いで人生が変わる喜びを伝え続けてほしいと思う。そしてまた、その傍らには常にJeepがいてくれればと。

「最近、ルーフを開け放ったドライブにハマっています。思い立って夜の海まで向かうのが最高に気持ちいいんですよね」

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Text:田村 十七男
Photos:Masato Yokoyama

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